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店舗でしか得られない経験がある。経験を糧に、声をあげ、挑戦するスタッフをサポートしたい。関西エリア エリアマネージャー 森涼湖

仕事内容や大変なこと、やりがいなど、マザーハウスではたらくリアルをスタッフに聞く「スタッフインタビュー」。
今回はマザーハウスに中途入社し、現在は関西エリアのエリアマネージャー、森涼湖に話を聞きました。

プロフィール

森涼湖

森 涼湖 / もり りょうこ
関西エリア エリアマネージャー

2015年 中途入社 
コミュニティデザイン事務所のインターンを経験後、肌着メーカーの百貨店営業へ転職。 2015年にマザーハウスへ入社し、あべのsolaha店(当時)配属。同店配属期間中に名古屋星が丘テラス店の立ち上げ経験などを経て、2017年からなんばパークス店の店舗統括責任者に。2019年に、関西エリアのエリアマネージャーとなり、大阪、京都、神戸の全店舗を統括している

モノづくりという点では、前職とも共通点がありますね。どうしてマザーハウスに転職しようと?

 大学時代に国際協力について学んでいた際に、マザーハウスの存在は知っていました。発展途上国で生きる人々との関係性を、「支援する側」・「支援される側」として捉えるのではなく、ビジネスを通じて、国境という枠を越えて同じ人間として対等な関係を構築していくことに感銘をうけ、いつかマザーハウスのようなことがしてみたいと思うようになったんです。
 ただ、私が就職活動をしているときには、まだマザーハウスは新卒採用を始めていませんでした。自分なりに将来活かせる経験をしたいと考え、コミュニティデザインという手法で日本の地域課題の解決に取り組むデザイン事務所に飛び込みました。ただ、そこで思い知ったのは、地域に入り込んでアウトプットを出すには、それなりに社会人経験や仕事人としてのスキルが必要だということ。三重県の山間の村で住み込みでインターンとして生活しながら、自分に出来ることの少なさに愕然としました。一度「会社」という場所で社会人としての経験を積まなければならないと思うようになりました。

それで就職活動をしたんですね。百貨店への営業職という選択はどうしてですか?

 就職活動の方向性はすごく悩みましたが、マザーハウスへ挑戦したいというところから逆算して、小売りビジネスを知ろうと考えました。
 アパレルメーカーの百貨店向け営業職に就き、2年間、卸売業を経験したのちにマザーハウスに転職しました。でも、入社してから想定外だったのは、小売りの経験者があまり社内にいなかったことですね。様々なバックグラウンドのスタッフがいるからこそ、新しいアクションがたくさん生まれていますが、一方で、小売りのプロフェッショナルとしては、まだまだノウハウの蓄積が必要だと感じています。そこに、前職での経験や感覚を活かせているんじゃないかなと思っています。

努力を続けて入社したマザーハウスですが、実際の仕事はどうでしたか?

 そうですね…。正直に言うと、仕事である以上、楽しい・おもしろいと思うことよりも、めんどくさい・つらいと思うことの方が圧倒的に多いです(笑)。
 例えば店舗だと毎朝の掃除や入荷検品、ディスプレイ変更、戦略立案などやるべき仕事はたくさんあって、その一つひとつはとても地味な仕事の繰り返しです。
 でも、それら一つひとつの仕事は、生産地の職人が丹精込めて作り上げたプロダクトや、その背景にあるデザイナーの想いなど、マザーハウスが紡いだ物語とお客さまが出会う空間として店舗があり続けるためには、とても大切な「手間」であり、どんな些細な作業も欠かすことはできません。それを理解したうえで、自分たちなりの強い意志をもって「どうこだわっていくか」が、店舗に立つ者としての腕の見せ所だと思っています。
 今できるベストを尽くして、細かい部分にも魂を込めて仕事をしていると、それがお店全体の空気感やおもてなしとしてお客さまに伝わって、すごく喜んでいただけることがあります。その瞬間を生み出すために、日々努力を重ねているんじゃないかなと思います。

一つひとつの仕事が、お客様につながっていますよね。エリアマネージャーになって、変化はありましたか?

 エリアマネジャーとしては、日々お客様に直接接する機会は少ないです。ただ、店舗スタッフとして働いていたときに、お客さまがマザーハウスのプロダクトを気に入ってくださったり、その背景にある物語に心動かしてくれた瞬間を感じたことがたくさんあります。そうした瞬間は、店舗でしか感じることができない経験であり、日々の仕事に励むうえで、大事な糧になっていると思います。
  エリアマネージャーになってからは、その充実感を、今店舗を支えるスタッフにも感じてほしいと思って接しています。スタッフが、その経験を活かして「さらにチャレンジしたい」と成長していく姿を見られたときには、本当にやってて良かったと思えます。また、そうした経験を積み上げることで、人としても成熟してほしいと思っていて、今は後衛の位置から日々サポートしています。

関西エリア全体を見ていく重要な仕事ですが、最も心に残っていることは何ですか?

 エリアマネージャーという仕事でいうと、関西エリアの経営者として、歴史ある、これまでずっと大事にしてきた何店舗かのお店を閉めるという決断をせざるを得なかったことですね。それは、とても大きく心揺さぶられるできごとでした。
 もちろん、ブランドとして未来を作っていくために、本当にここに今、店舗があることがベストなのかを検証し、考え抜いた結果ではあります。ですが、お店を閉めるということは、私たちにとっては、心動いたお客さまとの思い出がたくさん詰まった場所であり、お客様にとってはずっと通っていた愛着のある場所を失くしてしまうことでもあります。だから、非常に悔しいし、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。でも、いつか誰かが決断しないといけないのであれば、自分がその役を引き受ける、という覚悟で決断をしました。
 ただ本当にありがたかったのは、どのお店でもお客さまが最後に、「これまで沢山の出会いをありがとう」、「次のチャレンジを楽しみにしています」と、寂しく思いながらも応援し続けてくださったことです。ここまでお店をつくって関係を紡いできてくれた、それぞれの店舗のスタッフの皆に対しても、誇りを感じるとともに、これからも絶対に、新たな出会いやワクワクをたくさんお届けできるお店を作っていきたいと心に誓っています。

店舗側から、まさに会社を動かす決断やアクションを担っていますが、森さんからみたマザーハウスはどんな会社ですか?

 マザーハウスでは、店舗や個人のビジョンを、自らの言葉で発信することが求められます。代表などマネジメントも、描いているビジョンはあると思うのですが、それさえも「みんなでつくるもの」というスタンス。スタッフ一人ひとりが会社を通して実現したいことを考えて行動していく必要があると思っています。
 なので、「途上国に関わりたい」、「社会問題を解決している会社で働きたい」、という受け身な姿勢よりも、マザーハウスを通して何がしたいのか、何のためにその仕事をするのか、という目的や意義を自ら考え行動することがとても大事だと思っています。

課題に対して自分で考え、改善や解決の糸口を見つけ、アクションすることが大切なんですね。

 はい。私の経験談ですが、最初に配属された店舗では、環境もあって来店数が少なく、よりたくさんの商品を届けられる店舗と比べて劣等感を感じてしまうこともありました。それでも、「この場所だからこそ伝えられることがきっとあるはず」と、諦めずチームミーティングを重ね、情に厚い大阪のお客さまに、人間味ある職人のストーリーを伝えることでお客さまと生産地をつなごう!と目標を設定しました。
 そこで、店長をはじめ、東京の事務所の先輩にも相談して、取り組んだのは周年記念のフライヤーづくりでした。自分の言葉で職人のストーリーを綴る「あべの店便り」を制作し、お客さまにお届けしました。結果、たくさんのお客さまが「お便り見たよ」とご来店くださり、作り手の顔が見えるお買い物の楽しさを一緒に味わうことができ、成果に繋がっていったんです。
 そんな風に、店舗や途上国の可能性を広げるための取り組みが評価されます。挑戦した上での失敗はむしろ大歓迎。「こんなことがしてみたい!」と声をあげれば、店舗や事務所関係なく様々な立場の仲間たちが応援してくれるので、そこが働いていてとても楽しいところです。だから、マザーハウスはチャレンジ次第で自分の可能性を広げられる会社だと思っています。

より広く長い視点で会社をとらえる必要がある立場ですが、今後取り組んでみたいことはありますか?

 直近、コロナ禍で、社会が大きく変容していく様子を目の当たりにしました。また、コロナの影響で店舗が休業になる期間があり、社内で開催された社会について学ぶゼミに参加したこともあって、歴史や社会の構造について考える機会が増えました。これまで以上に断絶していく社会の中で、今の若者や子どもたちの未来について、より考えるようになりました。
 子どもたちには、こうした世の中だからこそ、スマートフォンの中にあふれる情報に頼らず、自らの五感や足を頼りに世界を知り、感じてほしいと思っています。
 マザーハウスは一貫して、国境を越え、ともに汗を流し、時にはぶつかりながらも、違いを乗り越えて、肌ざわりのある関係性を構築してきました。こうしたマザーハウスの実践を少しでも多くの子どもたちに伝えていくことで、心と体を使って、考え行動するきっかけをつくっていきたいと思っています。コロナ渦で大変な状況ではありますが、子どもたちを巻き込んだプロジェクトができればと、ひそかに考えているところです。

読んでいただいてありがとうございました!マザーハウスをもっといろいろな角度から楽しんでいただける毎日の出来事を、生産地やお店からお届けしていきます!