見出し画像

生きる働く#02 育休を取った夫の視点

※この記事は、第1子出産後に夫の育休取得に関して社内向けにインタビュー形式で記事にしたものです
※2017年に書いたもので、数値や制度など含め内容は当時のものです

良くない前例になったとしても、やってみないと何もわからない

― 旦那さんにお聞きします。4ヶ月の育児休職を最初そのつもりがなかったとお聞きしました。なぜでしょうか?
私の職場は特に男性率が高く、周りに育休を取っている人がいなかったので育休を取ることに抵抗があったんです。育休から復帰したときにちゃんと仕事が出来るのか不安だったり。思えば、自分の周りに「育休から戻ってきて活躍してる先輩がいなかった」のが大きかったと思います。じゃあ自分が育休を取って良い前例になれるか、そんな自信はなかったです。

― では、なぜ育休を取ることを決断できたのですか?
妻に怒られました(笑) というのと、話をしている中で自分の考えが余りに狭いことに気づき、仮に自分が良くない前例になってしまったとしてもやってみないことには何も分からないと考えるようになり、取ってみようと思いました。

― 育休を取ると言ったとき、まわりの反応はどうでしたか?
自分が思っていたより、意外にも反応は良かったです。応援してくれたり、育休中にやることへのアドバイスをもらえたり。逆に「育休取っても男は何もできないよ」とも言われ、『なんだよ』と思いましたが、取ってみて、できること・できないことが分かりました。やはりどれだけ頑張っても子育てはお母さんにはかなわないですが、自分がやれることも沢山あると思いました。

― 分かります・・・自分も父親として頑張りたいから、どうにかしてやっと寝かしつけたりするんですが、お母さんだと簡単にできてしまってそこに悔しさみたいなものはありますよね。

― では、育休を取って、実際に職場に復帰して、どうでしたか?
最初に気にしていたのが何だったんだと思うほど、ほとんど問題なく復帰できました。上司が昔1年ぐらい休職していた同僚の話を出して、その同僚が「意外とみんな変わってない。むしろ自分が休職していた間に成長した分のほうがデカイ」と言っていたのを思い出しました。それを実感してます。
ただ、やはりしばらく抜けていたという事実は感じました。能力的な面というよりは、期間的な面で。休む前と同じ様な話をしていると思っていても、やはり情報が欠落しているのでついていけない、ということもあったり。

― なるほど。でも、デメリットは思ったより小さく、メリットは大きいというのは、これから育休をとりたいと考えている男性社員には心強いですね。私も育休を取りましたが差がつくどころか、新たな視点や仕事への向き合い方が明確にアップデートされたと感じ、むしろキャリアへ好影響なんじゃないかと思います。

育休=赤ちゃんの世話?

― 育休中はどうでしたか?
自分の何もできなさに驚きました。育休取得は渋っていましたが、いざ取得を決めた後は頑張ろうと思っていてモチベーションも高かったんですが、一瞬にして崩れました。まず料理。おにぎりすら握れなかったのにはショックでした(笑) さすがにもうちょっとできるだろうと思ってたんですが・・・。母に料理を教えてもらいました。
最初はズタズタでしたが、お互いが仕事に復帰したときに、家事も育児も、妻と自分、どっちでもできる状態になれたのは良かったと思います。良い準備期間になりました。
あと、自分が当事者になるまで知らなかったのですが、産後しばらくは肉体的にも精神的にも非常に母親は不安定な状態になります。実際に毎日一緒に居てみると、ちょっと耳にしていたようなレベルをはるかに超えていて、これに関して僕ができたことは全く何もありませんでした。そういう大変な状況をそばで見ることができたことはすごく良い経験になりました。それと同時に、育休=赤ちゃんの世話ではなくて、どちらかというと妻のケア(家事など含めて)が大きいのだなと知ることができました。

― 同じような境遇の男性社員に育休取得をすすめたいですか?
何が何でもと積極的にすすめるというより、取りたい人が取れる環境になればいいと思ってます。自分と同じように渋ったり、取ることに支障を感じたりすることなく、もうちょっと楽に「育休してみようかな」が実現できるようになればと。周りに取っている人がいなくて不安だったので、それが無いだけでもハードルが下がると思います。

― では、今回育休取得したように、男性で育休をとる人が増えることで状況が変わってきますかね。
家庭環境によって考え方も違うだろうから、全員にすすめられるものかどうかは分からないです。でも、みんなが取ってないから、取らないというのは違う。ちゃんと取るべきかどうかを考えられて、近くにモデルケースがいて、自分で決断できるようになっていけばいいなと思います。

― 奥さんに対する感謝や期待はありますか?
まず何よりも、子どもを産んでくれたことに感謝しています。あとは育休中に何回か感謝する場面があったけど・・・すぐには思い出せません(笑) 期待に関しては、特に改めて期待するというよりは、これまで通りでいいのではと思います。

― 感謝した内容をすぐ思い出せないのは、本当に日常的な感謝だってことですよね。期待もし過ぎず、これまで通りに夫婦で子育ても仕事もやっていこう、という心構えは素敵だと思います。

―最後にこれから育休を考えている人たちに、アドバイスお願いします。
育休は、総合的には絶対プラスだと思います。育休に対する考え方は、部門によって温度差が激しいです。そういうギャップが少なくなるといいのかな。前例をたくさんつくるしかないと思うので、もし取りたい人がいるなら応援したいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?