は?尻打ってから時止まってんだろうが

高校生。体育館用シューズが存在する学校に通っていた人はいるだろうか。
体育館用シューズが一般的なのかを知らないが、私が通学していた高校は体育館用シューズで運動をしていた。

初めてマイ体育館シューズを手に入れた高1。
いつ書いたのかは覚えていない。恐らく「恥ずかしい」というショックから記憶が飛んでいるのだろう。ショックで記憶が飛ぶとよく聞くよね。
ただ、それについて覚えている唯一の記憶がある。

高校に入り最初の体育の時間。
席が近いという理由だけで仲良くなったカオリ(仮名)とアイ(仮名)(このパターンで仲良くなっても大抵は2学期にはもう違うグループに各々いくものだが、2人とは卒業まで仲が良かった。ありがとう。この間ラインの友達リスト見たら名字が変わっていました。おめでとう。)と私は準備運動を終え一通りオリエンテーションを受け、先生とそれと既に率先して動いてくれるクラスメイト達が授業の準備をしてくれているのを尻目に、ダラダラとよもやま話をしていた。
私が体育座りを崩しあぐらをかいた時、私が履いている体育館シューズを見て
カオリが「それなにー?」と聞いた。
私の左足用体育館シューズの内側に
「OMOIDE IN MY HEAD」と油性ペンで書いた奴は誰だ?
私だ。
私はちゃんとカッコいいと思って書いたんだ。
でも、バンドを聴かないカオリとアイはナンバーガールを知らない。
「それなにー?」と聞かれても「大好きなバンドの曲名だよ!」と言えばよかったんだ。
それで「変なの」って言うような子達じゃないし、たとえ言われたって私が好きならそれで良かったのに。
って今なら思えるが、高一の私は顔が真っ赤になって斜め下を向きながら「えー」とか「うーん」とかを空中に投げ続けた。
するとカオリは
「ディスコ(仮名)が考えたの?」。
正直追い打ちをかけられた気持ちになったのが最後で、その後私がなんて答えたかはもう覚えていない。
でもその後もギャル趣味なカオリやマイと、三度の飯よりビレバンが好きだった私はお互いの趣味を押し付けるでもなく分かり合いながら同じグループに属し仲が良かったし、同じ趣味を持つ子達とコピバンを組んだり、夜通し練習だ!と言いながら花火をするなどちゃんと分かりやすい青春もした。
なのに私はあのとき堂々と「大好きなバンドの曲名だよ!」と言えなかったし、これ書きながら本当に心底仲良くしてくれてたのかな?!なんて不安になり始めている。

時間が経った今、私は好きなバンドや好きな漫画を大声で言えるし、最近はもっぱらK-popに大ハマりしていることをバンドをやっている友達やメンバーに話し、ちゃんとうざがりながらも聞いてくれる。それに当時私だけが知っていると思っていたバンド達は全然そんなことなくてかなり有名で、そのバンド達を一番の憧れとし、私より上手に上手に自分らが演奏する曲に落とし込むのがたいそう上手すぎる人達が億万といる。
共演している人も億万といるね。
こんなのは上京してから知った。

それでも当時は私が作り上げた(と思っていた)
城が簡単に崩れそうになったこと、
私は城を誇ることができなかったという事実が、この世の全てだった。

さてよもやま話はこの辺にして、今日の結論は
今でも城に対し色々と不安になることもあるが、それでも同じように顔を真っ赤にしている奴がいたら、一緒に野菜ジュースを買いにコンビニに行きたい。


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