研究訪問9週目

9週目です。CVPRの提出も博論の提出も終わったので、研究室に来る人も少し減った気がします。

さて、俗に世界三大珍味というとキャビア、フォアグラ、トリュフが一般的です。そのうちトリュフは香りの良いキノコで、フランスやイタリアで生産されています。ピエモンテのトリノに行った際にはcarne crudaという牛の生肉のユッケのようなものに、トリュフのスライスをかけて食べました。一般にトリュフは黒いキノコなのですが、イタリアでは白トリュフも採れるようです。白トリュフは毎年秋が旬で、菌床栽培ができないそうなので、この時期だけの珍味となるとのことです。産地のAlbaではこの収穫時期に白トリュフ祭りを行っているので覗いて参りました。

Albaはピエモンテにある小さな街で、白トリュフの他はワインなどを生産しているくらいで、あまり交通の便は良くありません。トリノから1時間ほどかけて到着した駅から数分歩くと会場に到着します。会場の近くに行くと警官やスタッフなどが増えてきます。国際フェアを謳っており、事前にチケットを買う必要があったので大きなイベントだと想像していたのですが、中庭にテントを並べた文化祭のような雰囲気の小さなイベントでした。白トリュフに加え、地元の特産物を売った小さい屋台もたくさんあります。大きなテントの中では白トリュフ農家でしょうか、ケースの中に白トリュフを並べて売っている人たちがいます。


白トリュフなんてどう使っていいか分からないし、どれも100ユーロを超えるような高価な物なので距離を置いて写真を撮っていたら「そんな写真撮っても白トリュフの何たるかは分からないよ」(想像による翻訳)と声をかけられて、いくつか実際にケースから出して香りを嗅がせてくれました。価格が高いものほど香りも強い気がします。「ベースラインの黒トリュフはこんな香りだよ」(想像による翻訳)と黒トリュフも嗅がせてくれて、確かに香りの強さが全然違うことが分かります。白トリュフは10日間くらいの寿命しかないらしく、使い道も分からないのでニコニコしながら別れを告げました。

私はワインのテイスティング付きの入場券を買ったので、白トリュフを理解した後にグラスをもらい、ワインを飲みに行きました。とはいえ特にワインに詳しいわけでもなく、さらにピエモンテ縛りがかかったら何も分かりません。そこで隣の人が感激して何度も便の写真を撮っている地元産のBaroloを頼みましたが、やはりとても美味しく一緒になって感激しました。地元の特産品の屋台の中にはワイン生産者のコーナーもあり、グラスを持って歩いているとワインを飲ませてくれます。生産者が薦めてくれるワインはどれも美味しくてたくさん飲みたい気持ちは山々だったのですが、日本酒の試飲会でも生産者の人と楽しくして記憶をなくした記憶があるので、誘惑から逃れるように会場を後にしました。

近所のレストランに入って昼食としました。いくつかのメニューは白トリュフをかけることがでるので、比較のためにもcarne crudaに白トリュフをかけたものを頼みました。白トリュフはレストランでも高くて、例えば目玉焼きにしろトリュフのスライスを載せたものは30ユーロほどしました。昔のブログ記事などを読むと、白トリュフは食卓で好きな量だけ削って料理にかけてくれる量り売りが行われていたようなのですが、COVIDのせいかそれはできず、適量をかけたものが運ばれてきました。黒トリュフが食べる度に香りを感じる、くらいだとすると白トリュフは口の中を香りで満たしてくれるくらいに差はあり、確かに美味しいのですが、そもそも香りが強いので実用上は屋台で試食させてもらった1瓶10ユーロくらいの白トリュフ入りクリームの方が良い気がしました。そんなしみったれた感想を抱きつつ、バスの車窓から見えるブドウ畑のワインに思いをはせながら帰路につきました。

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