訪問研究0週目

10月1日から日本学術振興会の「若手研究者海外挑戦プログラム 」によってイタリアに派遣されています。以後、本プログラムで奨励されているアウトリーチ活動の一環として非定期にnoteを公開していきたいと思っています。はじめに本渡航に際して尽力くださった皆様にお礼申し上げます。


若手研究者海外挑戦プログラム

本プログラムは海外で3ヶ月以上研究活動をしたことがない博士学生を対象に、90日を超える訪問研究を対象として滞在費(100〜140万円)と渡航費などを支給するものです。滞在費は渡航先の地域によって変わり、期間には依りません。

私はこれまで数週間の語学研修に参加したことはあったのですが、いつか留学してみたいという気持ちはあり、これまでにも留学プログラムの説明会には何度も足を運んできました。一方、長期計画を立てて何ヶ月も先の予定を考えるのが非常に苦手で、派遣の半年以上前から動くことが必要となる留学というものはついつい先延ばしにしてきたのでした。何年繰り返したでしょうか、気づくと博士課程まで進学し人生の大半を占める学生生活にも終わりが見えてきました。学生のうちに留学するなら今しかないこと気づき重すぎた腰をあげて申請に至りました。

申請にあたっては研究テーマと、テーマに沿った受け入れ先の研究者が必要となります。私の場合は、日本でもイタリアでも会ったことのあるロボット・CV系のイタリアの研究者に研究テーマを伝えて受け入れを依頼し、承諾を得ました。

申請は2020年の8月頃に行い、2020年12月に採択の通知を得ました。当初は2021年4月の渡航を目指していたのですが、COVIDの影響を受けて何度も計画を修正した後結果的に10月から渡航することとなりました。このとき、ワクチンを打てたら、という条件付きでしたが、当時はようやく一部の大学でワクチン接種がはじまったくらいで、自分がいつ打てるのかは全く分からない状態でした。文科省の留学向けワクチン接種プログラムに連絡して梨の礫を得るなど奔走しました。結果的には所属大学での拠点接種によって無事に条件を満たすことができました。

手続きなど

メールを見返すと、5月頃から協定書の文言をチェックして保険会社に確認をとっています。本格的に動き出したのはワクチンが打てることになり渡航の見込みがたった7月からです。受け入れ先と所属大学の事務との間で伝書鳩のようなことをしていました。8月頃にビザを研究者向けのものから交換留学ビザにすることになり、急いで必要な書類を集め始めます。今回は大学ではなく研究室からの派遣という形式になっているので、私が用意しなくてはいけない書類も多かったのではないかと思います。途中、受け入れ担当者がバカンスをとりはじめ、なかなか書類が集まらなくなるトラブルもありましたが、9月に入ってようやくビザ申請を行うことができました。

若手研究者海外挑戦プログラムの滞在費は渡航後に振り込まれるのですが、大使館のビザ担当には渡航後に生活が可能な資金があることを示す必要があり、結果的に私の貯金残高を示すことになりました。ほかの先進国も同じように就学ビザでの出稼ぎを防ぐ措置を執っていると思うので、本プログラムの利用を検討している人はある程度は貯金をしておく必要がありそうです。また、本プログラムは91日以上の派遣を対象としており、そのため91日滞在することになったのですが、一方でEUは90日以内の渡航であればビザが不要なため、ビザ担当者には90日以内にできないか聞かれました。

所属大学では現在、海外渡航に際して学内の複数の会議に渡航を認めてもらう必要があり、7月初旬からはその書類作成もしました。

渡航に際して

現在イタリアへの入国ではワクチン接種証明、PCR検査での陰性、Passenger Location Formの記載が揃うと自主隔離が不要となります。Passenger Location Formは渡航経路を記入するものです。PCR検査は到着72時間以内のものである必要があり、渡航日に6時間程度で判定をするクリニックを利用しました。これらの書類は出国前に航空会社が確認しただけで、その後は一切提示を求められることがなく英語の陰性証明書代…という気持ちです。なお、ワクチン接種証明は受け入れ先機関と保健当局のおかげでEUのワクチンパスポートに変換してもらえるようです。

本プログラムでは許可が出れば、滞在費に加えて、渡航費の支給も受けることができます。当初提示した日航の便は拒否され、少し安いが8時間のトランジットがある全日空は許可が出ました。とはいえこのご時世なので、日本の航空会社の便を使うことができてよかったです。COVIDのために、航空便がキャンセルになることがままあります。私は現時点までで2回キャンセルにあい、便を変更する必要がありました。便が変わるたびに日本学術振興会への連絡が必要となり、さらに日程が変わる場合は受け入れ機関側の受け入れ承諾書を変更して日本学術振興会の承諾を得なくてはなりません。



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