『流浪』
あの子が自ら死を選んだのは、他人に同情して欲しいからではない、と、思った。
でも私の友人は毎日のようにあの子を想って泣く。
なぜ気付いてあげられなかったのか。
きっと一人で辛かっただろうに。
寂しかったよね。ごめんね。と。
「そうだね。」なんて。
ちがう。ちがうよ。
私は心の中で何度も思う。
あの子はそんな事を思って欲しくて死んだんじゃない。
あんたに何がわかる。
と、聞かれたら、何もわからない。
私はそう答えるだろう。
本当に何もわからないのだから。
でも、それはみんな一緒で、誰もあの子の本当の気持ちなんてわからなくて。
わからないから苦しくて。
もう一度あの子に会えたら、
幸せになれた?
と、あの子に問いたい。
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