『ゼンディカーの夜明け』スポイラー② ナヒリ

 ドラえもんのひみつ道具で『スカートめくり用マジックハンド』というものがあります。もう道具名の通りの代物で、そのためだけにしか使えない(たぶん)んですが、別に21世紀でもドン・○ホーテあたりに売っていそうだと思います。

 22世紀は現在よりもおおらかな時代になっているのかもしれない、と希望を抱くもすこです。

 前回のジェイスに引き続き、今回はナヒリを見ていきます。

・ナヒリの性能

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+1:1/1の白のコー・兵士トークンを生成する。装備品をコントロールしているならそれにつけてもよい。

 4マナで+しながらトークンを生成できるPWは基本的に強い(電池おじさんは例外)です。ソースは八十岡翔太さん。

-2:デッキの上から6枚見て戦士か装備品を1枚手札に加える。残りはランダムでデッキボトム。

 アドを取る能力です。対象が限定される代わりに射程が長い感じ。

-3:対象のクリーチャーかPWに、あなたがコントロールしている装備品の数の2倍に等しいダメージ。

 装備品の数を参照する除去です(テキスト読み上げ)。『反逆の先導者、チャンドラ』を考えると4点飛ばせればかなり強いですが……。

・第一印象~あるいは、PWについての一考察~

 第一印象はもう忘れてしまったので、先にPW一般について話をします。
 まずは『灯の再覚醒、オブ・ニクシリス』。これだけでピンと来る読者もいるかも知れませんが、PWの典型的なデザインの話です。

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 引く、殺す、勝つ。5マナPWに必要な機能がすべて詰め込まれているこのPWは、その上で強すぎたり(あ、同盟者ギデオンさんこんにちは)地味過ぎたり(主キオーラさんこんにちは)することなく、堅実にスタンダードで活躍を見せました。そしてこの、"+でドロー、マイナスで除去、奥義で勝ち"はある種テンプレ的なデザイン原型となり、多くのPWがこれを踏襲した忠誠度能力を持つことになります。

 これは筆者の勝手な想像ですが、とかく見誤りやすいPWのカードパワーを、テンプレに落とし込むことで把握しやすくするという側面もあったのではないでしょうか。セットの顔役であるPWに特殊すぎる能力をもたせるのはリスクが大きいと、少なくともある時期のデザインチームは判断していたように思えます。

 たとえば、『反逆の先導者、チャンドラ』がなぜエターナルにまで顔を見せるほど強いのかは、「ニクシリス+αなのに4マナ故」と端的に表せます。

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 また、スタンダードを席巻した『ドミナリアの英雄、テフェリー』も基本はニクシリス型ですが実質3マナ運用も可能です。さらに、除去の対象は土地以外全てに拡大されています。

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 前回の記事に書いた「忠誠度が1残ったPWは強い」の本当の意味は、ニクシリス型PWが除去をしたあとに居座れたら最強、なのです。

 もちろんこの時期にもテンプレPWばかりだったわけではないのですが、その中でヒットに至ったのは不当に軽い望みリリアナと、無色な後継カーンくらいではないでしょうか(ギデオンは肉になれているときが一番強いのでクリーチャー扱い)。

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 ファートリのこと、ときどきでいいから思い出してください。

 この時期は「強いPWに個性がない」と批判されたりもしていましたが、PWに個性が出まくったWAR(と、どう見ても強すぎるレン6やオーコ)に鑑みると、本当にPWの調整はデリケートなのだなと思わざるを得ません。 

 長くなってしまいましたが、ナヒリに戻りましょう。彼女はどちらかといえばテンプレから外れています。というよりも、書いてあることはテンプレ寄りなのですが

・装備品や戦士など、特定のタイプを参照するため+1以外の汎用性が低い。

・すべての忠誠度能力に最初からアクセス可能(ただし奥義はない)。

 この2点で差別化が図られています。端的に言えばデッキを選ぶのですが、トークンから入れない場合のプレイ感がそもそも想像不能なのです。いや、想像はできますがあまり意味がなさそうというのが正しいか。なぜかというと、このカードの能力はカードプールに依存するからです。要するに、

ざんねんながら このきじは むいみです(デロデロデロデロデ)

ということです。

・どんなデッキに入る?~装備品と戦士~

 しかし、とりあえずはある物だけで間に合わせてみましょう。

 装備品はミラディンで登場したカードタイプですが、最初期にぶっ壊れ(青赤剣、〆、十手など)が出来たあとはデザイン側が萎縮してしまったのか数年に一度ヒット作(黒緑剣、殴打頭蓋など)が出る程度で、基本的にあまり恵まれていません。『カラデシュ』では近い性質の機体が登場し、これまた装備品と似通った運命をたどりました。
 ではローテーション後のスタンダードに残る装備品を見てみましょう。

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 "equipment"で検索したので一部他のカードも混ざっています。

 トーナメントレベルでプレイされているのは『エンバレスの宝剣』と『影槍』くらいでしょうか。装備品をサーチするクリーチャーや装備品の色マナをサポートするランドはありますし、カードパワーは構築レベルですが、これらはエルドレインで登場した都合、騎士推しの側面も有しています。

 クリーチャータイプの話をしたので、ついでにもう一つナヒリが参照するタイプである、戦士についても同様に絞り込んでみました。

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 こちらはかなり有望なカードが数種類あります。中でも『軍団のまとめ役、ウィノータ』や『高山の犬師』、『歴戦の神聖刃』などは先述の『エンバレスの宝剣』も含めて一時期スタンダードで話題になった"パウブレード"を構成していたパーツであり、すべてナヒリの-2でサーチ可能です。ウィノータや宝剣を活かすためにカードパワーの低いカードを多数採用しているデッキですので、単純にカードパワーが高く噛み合いの良いPWの登場は歓迎されるでしょう。

 やはり素直に考えれば、戦士デッキで運用することになりそう。-3には期待せず、+1で継続的に戦力を産み出し、-2で息切れ防止。だいぶ趣は異なりますが、『遍歴の騎士、エルズペス』のような感じでしょうか。

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 -3を活かす方向性は、装備品の性質上"それだけを詰め込みました!"というデッキが成立し得ないのがきつそうです。生体武器のような装備品が大量に登場すればその限りではないですが……そういえば、M20にはアンコモンで生体武器(のようなもの)のサイクルがありました。2マナ、3マナで有用な装備品というとヤバい香りしかしませんが、有色アーティファクトならあるいは?

・おわりに

 結局何もわかりませんでしたが、ZERに収録される他のカード次第ではナヒリがトップレアになるかもしれません!


 いかがでしたか?

 

 

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