少年会議

─登場人物紹介

少年①:委員長タイプの少年。仕切りたがり。(演者男女可)
少年②:一匹狼で馴れ合いを好まず、口少ない少年だが、よく突っ込み役に回る。(演者男女可)
少年③:ムードメーカー的な元気っこ少年。ポジティブ。良くも悪くも率直。(演者男女可)
少年④:僕っ子で大人しめでかわいい少年だが…。(演者男女可)
少年⑤:自称、中世的でミステリアスな少年。わりとよくしゃべる。(演者男女可)

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── ここは、とある会議室。五人は円卓に座っている ──

少年①:「…さて、君たちに集まってもらったのは他でもありません。長年議論してきましたが、そろそろ決着をつけたいと思いまして」
少年②:「…長年って、俺らまだ十四歳なんだけど」
少年③:「お、ナイス突込み!」
少年④:「人が話してる時に割り込むのはよくないよ~」
少年⑤:「だってさ、なーんか癪に障るよね、そこの眼鏡君が仕切ってる感じがさ」
少年①:「あーもううるさいうるさいうるさい!!…だってしょうがないでしょう、この中だと仕切り役ができるのは私くらいじゃないですか…」
少年⑤:「そんなことないよ~、僕だってやろうと思えばできるよ?……で、何を議論してたんだっけ?」
少年②:「そんなんだからあの眼鏡に仕切られるんだろ」
少年③:「お、ナイス突込み!」
少年①:「貴方さっきからそれしか言えないんですか?!」
少年④:「あ、あのー!!!…僕も、今何を議論しているのかわかってないんだけど…」
少年①:「だから、どの少年が一番人気があるかですよ!!!」

───── 間 ─────

少年②:「…それって、俺らの中でってことか?」
少年③:「みたいだな!」
少年①:「貴方ちゃんと『ナイス突込み』以外にも喋れるんじゃないですか」
少年⑤:「…というか、代表的な僕らの中で、ってことかな」
少年④:「それってどうゆうことなの?」
少年⑤:「ほら、僕らって個々の人間というか、典型的な少年のカテゴリー代表って感じで今ここにいるわけでしょ?少年①君は、眼鏡で黒髪、敬語でいかにも委員長タイプだ。少年②君は、一匹狼で馴れ合いを好まない口数が少ないタイプ、少年③君は…まぁ、ムードメーカー的な元気っ子かな。少年④君は、僕っ子で大人しめでかわいいタイプ。そして僕は…中世的でミステリアスな美少年って感じかな」
少年②:「自分で言う…」
少年③:「いいじゃんいいじゃん、自己肯定感高めな感じで!!俺そうゆう子嫌いじゃないぜ!!」
少年①:「…まぁとにかく、そうゆうわけです。少年と一言で言っても、世の中の作品にはいろんな少年がいます。ここで議論されている『人気な少年』というのは、台本上で演じるうえで、どのタイプの少年に人気が集まるのかです!!」
少年④:「…それって、演者さん達がどんなタイプの少年を一番演じたいと思っているかってこと?」
少年①:「そうゆうことですね」
少年⑤:「だったら断然僕じゃない?だってみんなミステリアスな美少年、好きだよね?」
少年②:「美少年は自称だろ」
少年⑤:「自称でいいんだよ。台本上に『美少年』って書けば、それがその本での真実になるんだから」
少年①:「ちなみにここにいる少年は全員『美少年』という設定ですが」
少年⑤:「え、そうなの?」
少年④:「みんなきれいって前提なら、迷っちゃうね…。あ、でも僕は少年⑤さんが言ってくれた通り、『きれい』より『可愛い』寄りの美少年だよ!」
少年③:「お前も大人しい顔して自己肯定感高めじゃん!いいねぇ!!!」
少年④:「えへへ」
少年②:「…下らねぇ(席を立ち)」
少年①:「ちょっと、どこに行くんですか」
少年②:「こんな議論に付き合ってられっか、俺は帰る」
少年⑤:「帰るって、どこに?」
少年②:「…………」
少年④:「僕らはカテゴリー代表の少年だから、帰る場所なんて存在しないよ?」
少年②:「…じゃあなんだ、結論が出たら俺らはどうなるんだよ」
少年⑤:「それは、結論が出ないとわかんないな」

───── 間 ─────

少年①:「結論が出たらいい方向になると思っているから決着をつけたいんです。貴方も少年②さんを不安にさせないでくださいよ」
少年②:「誰が不安になってるんだよ!」
少年⑤:「えー?僕のせいなの?それをいうなら少年④君だって」
少年④:「え??僕は事実を言っただけなのに…」
少年③:「一番の原因は、空気を読まずこの場を去ろうとした少年②ってことだな!!」
少年①:「貴方の悪意のない正論は割と刺さりますね」
少年②:「刺さってねぇよ!……じゃあ早く話を進めろよ」

(少年②、諦めて座る)

少年⑤:「…と言っても、今の僕らの情報だけだと、結論って出にくいんじゃないかな」
少年①:「どうゆうことですか?」
少年⑤:「僕がざっくり説明した設定だと、まだ弱いってこと。もっと色んなものを付け加えなきゃ」
少年④:「…それって、例えば?」
少年①:「私は眼鏡キャラで敬語ってだけで割と強いと思ってるんですけど(眼鏡のブリッジをくいと指で押し上げながら)」
少年⑤:「まぁ君みたいなタイプは『眼鏡が本体』って言われがちだけどね」
少年①:「誰が眼鏡が本体ですか!!」
少年④:「まぁまぁ」
少年③:「この中だと、俺が一番設定弱めじゃね?これって自分でつけていいの?」
少年①:「自分のカテゴリーに無理のない設定なら、いいですよ」
少年②:「いいのかよ…」
少年③:「へぇー。なら……俺はアイドルって設定がいいな。ポジティブで、常にファンの笑顔やメンバーのためにベストを尽くし、輝き続けるアイドルのリーダー!!」
少年①:「それはずるい!!!」(同時)
少年④:「それはずるい!!!」(同時)
少年⑤:「それはずるい!!!」(同時)
少年③:「えぇー??」
少年②:「いいじゃねぇか、こいつに合ってる」
少年①:「言い忘れてました。うすうすお気づきかもしれませんが、キャラ被りは厳禁なんですよ」
少年④:「アイドルって人気者の代名詞じゃない…僕も狙ってたのに…」
少年②:「じゃあ、お前もアイドルでいいじゃねぇか」
少年⑤:「だからキャラ被り厳禁なんだってば」
少年②:「いろんなアイドルがいたっていいんじゃねぇの?…知らねぇけど」
少年①:「それが許されるならほとんどの人がアイドルを選んでしまうでしょう。…でも、ここのルールは言ったもん勝ちなので、今から少年③君はアイドルとなります」
少年③:「やった!!(ガッツポーズ)」
少年②:「え、そんな感じで決まっていくのかよ…」
少年④:「まさか、少年③君がアイドル宣言するなんて考えてなかったよぉ」
少年⑤:「アイドルに引けを取らない設定か………」
少年③:「…まぁ、俺が陽キャだからさ、単純にキラキラしたイメージで言っただけで、ほかにも魅力的な設定っていっぱいあるぜ?」
少年①:「その通りです。…では、はい。(挙手し)私は『御曹司』がいいです」
少年②:「またすごい設定来たな…」
少年①:「私達はあくまで『少年』ですから。この歳で付加できる設定は割と限られてるんですよ…。幼いころから大企業の後継ぎとして英才教育を受けている御曹司。欲しいものは大概手に入れることができる立場だが、孤独なんです。彼…もとい私は、愛情に飢えている」
少年③:「その設定、夢女子は割と好きそうだなぁ~!そんでもって眼鏡で敬語の美少年だろ?いいじゃん!!」
少年①:「貴方何でも受け入れるんですね…まぁ、気分いいですけど」
少年⑤:「じゃあ君は御曹司ね」
少年④:「あれ、今度は反論しないの?」
少年⑤:「それを言うなら君だって。…君たち忘れてない?これは、女子に人気な少年を決める議論じゃなくて、演者がどんな少年を演じたがっているかだよ?演者がなりたい魅力的な設定を、僕はつけてみせるよ」
少年①:「成程。そんなに自信があるのならどうぞ?」
少年⑤:「…僕は、見た目は十四歳の美少年だけど、本当は何百年も生き続けている吸血一族の末裔だ。気が遠くなるほどの人生経験を積んでいるから、少年のような見た目なのに、どこか人生を達観したような、大人びた表情をするんだよ」

少年①:「………………」
少年②:「………………」
少年④:「………………」

少年③:「……みんな、どうした?」
少年①:「……それは……」
少年④:「……なんというか……」
少年②:「チートすぎないか?見た目年齢ってなんだよ…」
少年①:「いや、でも見た目が少年なら、それも少年のカテゴリーには入りますね…。少々ずるい気もしますが、よくあるんですよ、種族の違いや…なんというか、擬人化キャラ等に多い設定です。悔しいですが魅力的ですね…」
少年③:「それに、中世的でミステリアスって設定にぴったりだな!!俺そんなの思いつきもしなかったから、すげぇよ!!」
少年⑤:「ありがとう」
少年④:「…どうしよう、みんなすごく魅力的だ…。僕が演者だったらどの役もやってみたいなって思っちゃうよ」
少年②:「………」
少年③:「大丈夫だって、少年④。お前にぴったりないい設定、まだあると思うぜ」
少年④:「君はいつもポジティブでいいね…。僕はいつも不安になってばっかりだ…。こんな僕じゃ、魅力的な設定なんて付きっこないよ…」
少年①:「あぁ…出だしはポジティブ寄りだったのに、まだ自分の設定が決まらない不安から、ネガティブキャラにジョブチェンジしてしまいましたね」
少年③:「……んー…そうか?別に、ポジティブな役が魅力的だとは限らないぜ?お前のそのネガティブを生かす魅力、あるんじゃね?」
少年②:「お前ら、ネガティブってはっきり言ってやるなよ…」
少年④:「……ネガティブを生かす……?………そうか!!」
少年⑤:「おや、何かいい設定が浮かんだのかな?」
少年④:「うん!……僕は、ヒールって設定を僕につけるよ」

少年①:「………え??????」(同時)
少年②:「………え??????」(同時)
少年③:「………え??????」(同時)
少年⑤:「………え??????」(同時)

少年③:「まじで??その見た目で悪役???」
少年④:「『ネガティブ』って言葉がヒントになったんだ。僕はとっても体が弱いんだ。十四歳という若さで死の淵にいる。でも、僕にはこの世に心残りがあるんだ。どうしても生きなきゃいけない…。そんな時、僕の生への執着を嗅ぎつけて、悪魔が現れるんだ。悪魔は僕の願いを叶えてくれる代わりに、少しずつ僕の寿命を奪っていく。タイムリミットに焦った僕は、いつしか道を踏み外し、悪魔の思うまま悪の帝王に君臨していくんだ」

少年①:「…………………」
少年②:「…………………」
少年③:「…………………」
少年⑤:「…………………」

少年④:「……………ダメ、かな…?」
少年①:「これは……所謂『ギャップ萌え』ってやつですね…(頭抱え)」
少年③:「すげぇえええ!!!かっけええええぇ!!!!」
少年⑤:「かわいい見た目で悪役の少年なんて、それこそチートじゃないか!!!(頭抱え)」
少年④:「えへへ」
少年①:「一瞬ミスマッチな設定かと思いきや、最初の病弱設定が絶妙にカテゴリーにマッチしてるんですよね…これはやられました…」
少年②:「…………………」
少年①:「では、衝撃的な設定が出てきたところで。…まだ決まっていないのは…」

(少年①、少年②を見て)

少年①:「少年②君、貴方だけのようですね」
少年③:「お前に似合ういい設定、何かあったか?」
少年②:「………俺は……」
少年⑤:「………思いつかない?」
少年②:「………そもそも、別に俺は一番なんてどうでもいい…。どの少年が一番演者が演じたいかなんて、勝手に決めろよ…」
少年④:「…それはだめだよ。だって、君も必要だから、ここにいるんだよ」
少年②:「そんなこと言われたって、思いつかねぇもんは思いつかねぇ」
少年⑤:「君が思いつかないなら、僕たちが君の設定を与えてあげようじゃないか。自分の設定を他の人にゆだねてもいいの?」
少年②:「……………」
少年①:「もしかしたら、私たちは貴方が決定権を放棄したのをいいことに、めちゃくちゃにダサい設定を押し付けるかもしれませんよ?」
少年②:「……………」
少年③:「なんかあるって!!お前のための設定!!お前のそのひねくれたカテゴリー、そこの眼鏡君よりよっぽどいい個性持ってるって、俺思ってたんだぜ?」
少年①:「貴方本当に正直すぎて辛辣ですよ!」
少年②:「………ッ……だけど……」
少年④:「…………(溜息)…かっこ悪いなぁ…、自分の設定も決められないの?僕がっかりだよ」
少年②:「……は?」
少年④:「かっこ悪いよ。馴れ合いを好まない?単にコミュ障なだけでしょ?口数が少ないって…無駄にしゃべらない奴がかっこいいとか思ってたりする?自分の意見も言えない、臆病な子のすることだよ。君には設定をつけなくても、すでにダサいレッテルがいっぱいなんだね(にっこり)」
少年②:「……おい、もう一回言ってみろよ(少年④の胸ぐらを掴み)」
少年⑤:「ちょっと、いくらなんでも言い過ぎ」
少年①:「暴力は反対ですよ!」
少年③:「(止めようとする少年①引き止め)待てって」
少年④:「(少年②をまっすぐ見つめて)…悔しかったら、君も自分で決めなよ」
少年②:「………わかったよ。俺は、お前をぶん殴る設定だ」
少年④:「……僕を倒すの?じゃあ、悪役の僕を倒す君は、ヒーローだ」
少年②:「……え?」
少年③:「一匹狼のヒーローかぁ…めちゃくちゃかっこいいじゃねーか!!!!!」
少年②:「あ…ぇ?」(戸惑う)
少年①:「(何かを察したように)成程、貴方にしては悪くない設定ですね。口数を少なくしているのも、馴れ合いを良しとしないのも、誰かを危険に巻き込まないようにする貴方の優しさからですか」
少年②:「…あ、いや…」
少年⑤:「えー孤独なヒーローとか、そんなめちゃくちゃやりがいある設定、ずるいなぁ」
少年④:「…決まったね、君の設定。…ねぇ、苦しいからそろそろこの胸ぐらにある手、放してくれる?」
少年②:「…あ、あぁ……悪ぃ…」(手を放す)
少年①:「さて、全員の設定が決まったところで、結論に入りましょう」
少年⑤:「あー、そこから始まるわけね」
少年④:「でも、設定をつけてみると、わりとどの役も魅力的になってしまって…一番を決めるの、余計難しくなってないかな?」
少年③:「そんなの簡単だよ」

少年①:「え?」(同時)
少年②:「え?」(同時)
少年④:「え?」(同時)
少年⑤:「え?」(同時)

少年③:「今、この台本を見てる演者に決めてもらえばいいんじゃね?」
少年①:「…今の貴方の言葉で、この世界観がどこからの目線なのか分からなくなっちゃったじゃないですか…」
少年③:「そんなの、初めからあってなかったようなもんじゃん」
少年⑤:「君ほんとにはっきり言うね。竹を割ったような性格…」
少年③:「俺は竹じゃなくて少年だけど」
少年④:「そんなの分かってるよ…例えだよ…」
少年②:「……じゃあ、その方法ってのを教えろよ」
少年①:「え、貴方いきなり素直ですね」
少年②:「俺の気が変わらないうちに早くやれよ!」
少年③:「よっしゃ、任せとけ。だから、簡単だよ。今俺たちが自分でつけた設定にふさわしい台詞をここで言うんだよ。演じたいって思うってことは、そいつの台詞が言いたくなるもんなんだよ」
少年①:「…成程」
少年⑤:「いいね、それ」
少年④:「悪役って、言いたくなる台詞多いんだよね!」
少年②:「…なんでもいいや、始めろよ」
少年①:「では、せっかく名前に数字がついているわけですし、数字通りの順番でいきましょう。では私から」
少年③:「おっけー、カウントダウンするぜ。3・2・1」

── ここはからは、各々設定を順守した芝居でどうぞ ──

少年①:「…私の周りは、いつも大人ばかりだ。それも、金や権力に目のくらんだ人間ばかり。両親は、私を跡取りとしか見てくれず、ほとんど顔を合わせたことがない。家庭教師や使用人達のほうが家族よりも会っているくらいなのだから。生活に困ることはきっと一生ないのだろう。だけど…この孤独はきっと、私の人生に一生付きまとうものなのだろう。そんな時でした、貴女に出会ったのは。貴女から貰う気持ちは、どれも初めてのものだらけで戸惑います。…ですが、いつもとても暖かな気持ちになります。貴女はいつも、高価なドレスや宝石よりも、私が薦める一冊の本を楽しみにしてくれる。それが、どれだけ私にとって心躍ることか、貴女は気づかないのでしょうね。


少年②:「俺に近づくんじゃねぇ。…こんな傷平気だ、ほっときゃ治る。それより早く行け、ここはもうすぐ崩れる。…俺に構うな、お前はお荷物なんだよ。…わかったらさっさと行け。(相手がその場から去り)……ごめんな。こうでも言わねぇと、お前はずっと俺のそばを離れないような気がしたから、ついあんなこと言っちまった。別に嫌われたっていいさ、俺はこの星を守らなきゃいけねぇんだ。お前が生きてるこの星を守るのが、ヒーローの役目だからな」


少年③:「皆!!!いつも応援してくれてありがとな!!!……ここで俺たちから、大切なお知らせがあります。…ここまで、俺たちを応援してくれて、見守ってくれて…ありがとう…。(涙ぐむ)この度俺たち『スパイス☆ボンバーズ』は…………武道館に行くことが決定したぞーーー!!!!!ここにいるメンバー、いつも俺たちを支えてくれるスタッフ、そして…ここにいるファンの皆、ここにいなくても、いつも遠くから見守ってくれてたファンの皆のお陰だ!!ありがとう!!!…え、解散すると思ったって?そんなわけないだろ?俺達は、皆を笑顔にすることが使命なんだからさ!!これからも、皆が必要としてくれる限り、俺達に会いに来てくれよ!!約束だ!!!」


少年④:「……僕には、時間がないんだ…。…父さん、母さん、欲に負けて悪魔と契約してしまった事を知ったら怒るかな…。でも、家族を守るためにはこうするしかなかったんだ。…そんなことを思っていた時もあったっけ…。今の僕は、僕の心がそうさせているのか、悪魔の心が僕に憑りついてしまったのか…もうわからない……。ただ、僕の人生を、運命を、家族を狂わせたこの世に復讐をしなければ、この胸の奥にある黒い鉛をそぎ落とすことができないんだよ…。…それを止めるやつは、誰であろうと許さないよ?」


少年⑤:「……誰?……あぁ、見てしまったんだね。僕がここで何をしていたか…君に分かる?…それにしても、こんな古びた館にわざわざ入ってくるなんて、よっぽどのモノ好きなんだね。それとも、肝試しがてら、興味本位でやってきたのかい?…まぁどっちでもいいや。秘密を知られてしまった以上、僕は君を殺すか眷属にするしかないんだけど…君はどっちがいいかな?…眷属ってどうゆう意味かって?…僕と同じ、吸血鬼になるってことさ。…僕と一緒に永久に生きるか、僕の腕の中で息を引き取るか…君はどっちがいいかな」


少年①:「さぁ、君はどの少年を演じたい?」(同時)
少年②:「さぁ、君はどの少年を演じたい?」(同時)
少年③:「さぁ、君はどの少年を演じたい?」(同時)
少年④:「さぁ、君はどの少年を演じたい?」(同時)
少年⑤:「さぁ、君はどの少年を演じたい?」(同時)


───完───

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