小規模M&A案件での各種DDチームのセットアップについて

一発目のNoteでいきなり各論になってしまい恐縮であるが、M&A全体像については既に詳細に述べられているブログや本があるため、当方のNoteでは、適宜それらを紹介しつつ、詳論について述べていくようなスタイルでいきたいと思う。O

事業会社のM&A案件において、規模が小さいがためにコスト・手間を抑えるべく各種DDの実施をしない、若しくは、かなりの限定スコープで実施しようとすると、事業計画の妥当性検証(通常ビジネスDDで実施)や財務計数の妥当性検証(通常財務税務DDで実施)が経営層を納得させられるレベルで実施できない事態が発生するため、必要十分なスコープの確保と過剰な費用発生の抑制をうまく両立させる必要がある。

【今回のNoteの目的】
コストや手間を抑えたい場合であっても、案件の特性に応じたスコープでの各種DD提案書を取得し、必要なスコープ及び費用対効果につき検討を行うことで、案件の良質化、リスクの顕在化等を促進する。

【各種DD項目の検討方針】
ビジネスDD
一般的な考え...
・案件規模が小さいため、実施は控えたい。
・そもそもビジネスDDの効果を知らない。

あるべき姿・検討方針...
・ビジネスモデル上、事業計画の前提に変数が多い場合には、事業計画の妥当性の説明が困難になるため、実施を検討すべき。
・提案書を取得して費用対効果があると判断されればBDDを実施すれば良いし、社内リソースで調査分析可能ということであれば、外部を起用しなければいいという考え方のもと、比較的費用が抑えられる戦略ファームとのMtgのセット、提案書の取得、提案書の比較分析を行い、検討を行う。
・戦略コンサルファームに連絡する際には、コンペであること、起用する可能性は、提案書の内容及び費用対効果によると事前に必ず伝え、それでもオリエンに参加したいかどうか確認する。(戦略ファームとの関係性を重んじる)

財務・税務DD
一般的な考え...
・費用を抑えるべく限定スコープで実施したい。

あるべき姿・検討方針...
・相見積をし、比較検討をすることで費用を抑えられる可能性があるため、会計ファーム数社とオリエンMtgをセットする。
・限定スコープではスコープの抜けが起こる可能性があるため、オリエン時に限定スコープに加え、フルスコープでの見積取得を依頼する(フルと限定のスコープの差異、各ファームのスコープの差が分かる。)

株式価値分析
一般的な考え...
・案件規模が小さく、社内分析でも足るため実施を控えたい。

あるべき姿・検討方針...
・対株主及び対経営陣への説明責任の観点で、第三者による株式価値分析は買収妥当性を裏付けるための説明材料の一つであり、基本的に実施することが望ましい。
・但し、予算上どうしても実施が困難な場合は、最終的には経営企画部等の管理部門の判断を仰ぐべき。

以上。

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