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12月に読んだ本の感想など

12月に読んだ本の感想などを書きます。

宇佐美りん著『かか』

芥川賞受賞作『推し、燃ゆ』が良かったので読んでみた。
あらすじは、浪人生の主人公が熊野へ旅行に向かい、道中で自身と身の回りの出来事を回想していくというもの。
「かか語」なる方言混じりの口語体で書かれており、非常に読みづらい作品になっていると感じた。方言、口語体によって主人公の人間性をより強固なものにする狙いはあるのだろうが、それにしても読みづらい。
作品のテーマ自体も「精神的に衰弱した母親との関係」という現代においてかなりありふれたもののため、前述のような工夫が必要になったのだろう。
読書をしない人には勧めづらい作品。

藤野可織著『爪と目』

芥川賞作品なので読んでみた。
あらすじは三歳児の「わたし」が母親に語りかける形で母親の半生を語る、というもの。
かなり独特な書き味の作品で、終始「あなたは〜」と母親に向かって「わたし」が話しかけるようなスタイルで進行していく。「わたし」は三歳児であるが、かなり無機質的に淡々と物語を進めていくため、不気味な雰囲気になっている。
ホラー作品とのことだが、怖い描写というよりも、文章の構成、組み立てで恐ろしさを表現している。ホラーらしからぬホラーとしてはかなりレベルの高い作品。

乾くるみ著『イニシエーション・ラブ』

やたら有名なので読んでみた。
あらすじは、合コンで出会った男女の恋愛を描く、というもの。
やたら有名なので大体のストーリーも共に有名であり、やはりそれによって面白さというものが大きく削られてしまっているように感じた。
この作品のストーリーを知ってしまっていると、基本的には男女のつまらない恋愛を延々と見せられているだけであり、随所に散りばめられたギミックを拾うというパズル的な楽しみ方が主になってしまう点は物足りない。
描写には特に引き込まれる部分がなく、あまり物語自体にそこまで人を引き込む力はないように思う。単に私が恋愛小説が好みではないということもあるとは思うのだが、山本文緒著『恋愛中毒』のような物語のギミックだけに頼らないそういった作品もあるため、やはり力不足感は否めないように思う。

チャールズ・ディケンズ著『クリスマス・キャロル』

クリスマスなので読んでみた。
あらすじは、カス男の元に亡くなった同僚の幽霊が現れ、過去、現在、未来のクリスマスの様子をそれぞれ見せられるというもの。
カス男がだんだん改心していく姿が描かれており、児童文学のようなタッチの作品。
自分のためだけに生きている人間は結局幸せになることはできないという啓発的なメッセージがあるように思う。
私のフォロワーにはこのクソ男タイプが多いから、気をつけてほしい。
面白かった。

先月は忙しすぎて全然本を読めませんでした。反省です。今月は読みます。今年もよろしくね。