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つらい読書

いつか本気で天狗党についての物語を書いてみたいと思い、時代背景を知るために「徳川慶喜」(山岡荘八著 全6巻)を読み始めたのがひと月前のこと。
これが、大変な難敵で、読み終わるのに苦戦を強いられた。

第一巻は、面白く読めた。
だが、何しろ幕末である。
登場人物が多すぎてだんだん、こんがらがってくる。
さらに、全編に貫かれる作者の「皇室観」が熱すぎてついていけないし、書かれた時代が全共闘の頃だったからなのか、隙をついて学生批判も出てくるしで、お説教されているようで辛くなってしまったのだった。

そして、結局のところ理解できたのは「徳川慶喜」というタイトルで書かれた歴史小説は徳川慶喜を悪者にしないし、「勝海舟」というタイトルで書かれた歴史小説は、勝海舟を悪者にしない、ということだった。
つまり、史実を多少歪曲してでも、主人公をヒーローとして描き切るのが正しい在り方なのだ。

私の知ってる武田さん(武田耕雲斎)は、若者に祭り上げられて仕方なく首領になってしまった「しくじりおじいちゃん」だが、「徳川慶喜」の中では、長州藩の倒幕プランに呼応する形で決起した、計画的な悪の武装集団の親玉だった。

「正確なところは、どうだったの?」というのを物語に求めてはいけないのである。
「徳川慶喜」の中では、慶喜さまが正義であるために、事実として伝わっているできごとの解釈だって変えてしまう。
すでに全員が故人なのだから、真実は誰にも分らない。

つまりこれは、「私も好きに書いていい」ということでもある。
ちょっとだけ、希望が持てる結論だ。

天狗党に関する資料だけはたくさん読んでいるが、大事なことでも読んだ端からどんどん忘れてしまうので、天狗党メモ用ノートを先ほどダイソーで買ってきた。
これで、覚えていたいことは、全部ここに記録していこうと思う。

死ぬまでに、いつかチャラくて、明るい天狗党の話を書いてみるつもり。
浮かばれない彼らを、笑って成仏させられるような話を書きたい。

「尊王?」「JOY!」という、コール&レスポンスを、ぜひ武田さんにやってほしい。

**連続投稿156日目**


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