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苦労は工夫であり、場合によっては楽しい

急に寒くなった。
半袖短パンのシーズンが終わってしまった。
今日はジーンズにTシャツ、その上に長袖を1枚羽織っている。

この数日、夜に激しい雨が降ったし、今日は曇ってもいたしで、海水温も下がっているにちがいない。
どんどん素潜りシーズンが終わりに近づいているのを感じる。

しかし、そんな中、我慢できずにカメラに装着するディフューザーを買ってしまった。

diffuse : (熱、光などを)発散する、拡散する、散らす、放散させる

つまり、ディフューザーとは、ストロボの強い光を直接、被写体に当てずに、いい感じに散らして和らげるためのものだ。

この白い円環状のものがディフューザー

ウミウシたちは、岩陰のやや暗いところを好むため、撮影にはストロボの光が必要になるが、そのまま使うと、色の明るい個体は光を反射して「白飛び」してしまい、実際の色味と違ってしまう。
それに、影も写り込んでしまうために、妙に立体的で実物よりも硬そうに見える。
つまり、「本当はこんなんじゃないのに、もっとかわいいのに」ということが、まま起きる。

そこで、かわいいウミウシをかわいいまま残すために、もう、夏も終わるというのに、買ってしまったわけだ、このディフューザーを。
買ったからには、使いたい。
使いたいったら、使いたい。

「今日は、風も強くて涼しいし、長袖Tシャツでもちょうどいいねえ」
という夏が終わった敦賀で、ウミウシのために、極力、風と波のないところを探して潜ることにした。

問題はウエイト(おもり)だ。
水着だけではもう寒いので、3mmのウエットスーツ上・下を着て潜る。
すると、いつもよりも浮力が増すので、ウエイトを増やさなくてはならない。
もっているウエイトは、全部で6kg。
ウエイトを調節して、中性浮力がうまく取れると、潜りはじめがするすると自重で落ちていくようで楽だし、浮かぼうとしない限り浮かんでこないので、水中でウミウシを探せる時間が長くなる。
水着だけの時は、4kgのウエイトがあれば、中性浮力がとれていた。
上だけウエットスーツを着ている時は、6kg。
上下着込むと、どうだろう、8kg必要になるんじゃないだろうか?
足りない。
2kg足りない。

以前、ウエイトを忘れた時は、海底の石を拾って水着の中に押し込み、浮力の調節をしたのだが、この天然のウエイトは、すぐに転げ落ちでどこかに行ってしまうので、たいへん厄介だった。
なにか、いい方法はないものか。

スーパーの袋に石を詰めて、ベルトに結び付けるか?
うん、いい感じ。
固定はできそうだ。
ああ、でも、ダメだ、岩にぶつかったら、すぐに袋が破れるだろう。
マイクロプラスチック汚染に、加担してしまう。

(重いもの、重くて、ベルトに挟んで固定できるもの……)
と考えていると、我が家にはダンベルがあることを思い出した。
私が昔『ダンベル体操ダイエット』のために意気込んで購入し、続かなくてほったらかしになっているものだ。
都合よく、1kgのダンベルが2個ある。
このダンベルを、ベルトに固定して使えば、いけるんじゃないか?

できた。
ぴったりだ。
これで8kgだ。
ほこりをかぶって眠っていたダンベルも、これで浮かばれることだろう。

私は無事に、ウエイトを手に入れた。
そして、南風が吹く中、比較的波のないところで、潜ることに成功したのだった。

……ただ、2時間探したのに、ウミウシは見つからなかった。

今日の苦労と工夫は、ウミウシ撮影の役には立たなかった。
ディフューザーも試せなかった。
が、工夫している過程が楽しかったので、これはこれで、良しとする。
次回の糧になるだろう。

次こそ!

**連続投稿600日目**

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