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鍼灸マッサージ師 五十嵐いつえ……恐ろしい子

※しばらくの間、タイトルの意味が全く分からない展開が続きます。
私の体がどのように辛い状態にあったのかを書かないと、五十嵐いつえ(通称いっちゃん)のすごさがわからないと思うから。
引っ越しと、娘の手術と、講座の課題と、急な発熱と頭痛。
これらのプレッシャーと闘いながらぼろぼろになった私の体を、いっちゃんのゴッドハンドというか、ゴッドお灸というか、が治癒につないでくれた話を書きたいのです。
辛気臭い記録が続きますが、しばしお待ちください。

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2020年10月13日、突如熱が出た。
といっても、インフルエンザ特有の寒気とともにぐわーーーっと上がる熱ではなく、気づいたら高熱になっていて「なんだか世界がふわふわするなあ」という感じの熱だった。

それまで全く風邪の症状はなかった。
鼻水も のどの痛みも 咳も くしゃみも。
ただ、何となくいつもより肩こりがひどいような気がしていたのと、首が凝っていたくらい。

手術をして入院中の娘から「ティッシュを持ってきてもらえませんか」とLINEが入る。
行きたい。
段ボールいっぱいのティッシュを届けてやりたい。
死ぬほど鼻をかませてやりたい。

特に昨日は術後の顔を見てあまりの衝撃に泣きながら帰ってきたばかりだ。
どれくらいの衝撃だったかというと、死体を見たような気持になったと言えば伝わるだろうか。
熱線でパンパンに火ぶくれして死んだ人みたいな顔をしてもうろうと横たわる娘の姿は、本人が希望して受けた手術とはいえ
「うちの娘をこんなにしやがって!」
と医者に対して理不尽な怒りが湧いてくるほどだった。

だが、私の脇に挟んだ体温計は38~39度を行ったり来たりしており、下がる気配がない。

今行っても絶対病棟に入れてもらえないし、間違いなく面会はできない。

「ごめん、熱があっていけない」
と返すと
「無理しないで」
と戻ってきた。

や、やさしい。天使か? 天女か?
間違いなく、天が遣わされた人の姿をした何かだ。
あ、違った。
私の娘だった。

熱はあるものの最初の数日はさして体は辛くはなく、動けてしまったのがよくなかった。
25日に控えた引っ越しの準備もしなくてはいけない。
新しく受講する長丁場の講座も17日にスタートする。
娘は二週間の入院だ。
多少無理をしてでも動かなければならなかった。

そのうち、肩首背中のコリが一度に頭めがけて突進してきたような割れんばかりの頭痛が始まった。
下を向くとずきんずきんと痛い。
左右どちらを向いてもずきっと痛い。
そして相変わらず熱は38~9度台。

「インフルエンザじゃないかな。タミフルもらってこよう」
気楽な感じでかかりつけ医に行ったのだが、
「インフルエンザは陰性です。喉が赤いので溶連菌感染症かもしれません」
と抗生剤が五日分出た。

再度言う。喉なんかこれぽっちも痛くない。
帰宅して鏡でも確認したが、喉の赤みは自分では全く分からなかった。
私の喉ってこんなもんじゃないかな、いつも? と思っていた。

三日おとなしく薬を飲み続けたが、熱も頭痛も変化なし。
かかりつけ医に連絡すると、新型コロナの検査をしましょうということになった。
翌日には結果が出るという。
とりあえず、結果が出るまでは抗生剤も飲み続けた方がいいのだろうと思い服用を続ける。

翌日電話で結果を聞くが、新型コロナも陰性だった。
けれど、相変わらず頭痛がひどい。
熱も引かない。

先生が近隣の大きな病院に紹介状を書いてくださることになり
「今日の11:30までに行かないと見てもらえないと思いますので、頑張ってまずうちに紹介状を取りに来てください」
と言った。
その時点で11時。
三日風呂に入ってなくて髪もぼさぼさ、横を向いて寝る癖がついているので枕カバーのしわが頬に刻印されている。

全部に対応していたら確実に間に合わないので、とりあえず着替えて歯磨きだけして紹介状を頂きに出向き、そのまま大病院に行った。

採血6本分、採尿、CTといつものその病院なら3時間は待たされるコースが、半分ほどの時間で終わりコロナのすごさを思った。
たいした用がない人が病院から消えたのだろう。
おかげで検査も診察もサクサク進む。

結果はここでも、よくわからなかった。
血液検査の結果、炎症反応が出ているのは確か。
だから体のどこかで強い炎症が起きているのは間違いないのだがそれがどこで起きているのか特定できない。

唯一良かったことは、CTで胆石が見つかったことくらい。
まったく痛みはないのだが2センチ大に育っていると、先生がなぜか嬉しそうに教えてくれた。

「じゃあ、来週もう一回別の検査をしましょう」
と先生はおっしゃったのだが、私は今週末には引っ越して裏日本に去ってしまう身だ。
その旨告げると、
「でもこのままでは、引っ越し先の病院に紹介状も書けません。僕はこの病院は火曜だけの勤務医なので、少し遠いのですが金曜に〇〇病院まで来ていただけませんか?そこで詳しく診ましょう」
と言ってくださった。

ありがたや。
ほっとして帰宅すると、ハイ、ようやく登場、かわいい顔したスーパーコンピューター五十嵐いっちゃんから連絡が入る。

実は二日前に、あまりに辛い辛いとFacebookに書き綴っていたので心配したいっちゃんが
「治療しようか?」
と声をかけてくれたのだ。

正直私は、鍼灸というものにあまりなじみがない。
おそらく、ソフトな刺激に反応しにくい体なのだと思う。
というか思っていた。

これまで鍼は効いたことがない。
お灸は暖かくて気持ちいいので冬場は時々やってみるようになったが「気持ちいい」だけで病気を治す力があるとは思っていなかった。

ところがだ。
今回、弱った体でプロの鍼灸師の治療を受けるというのが、これほど気持ちよいことだと初めて知ったのだった。

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たとえば、これ。
最高で片足に7つのお灸を乗せている。
どこも全部同じくらい熱いと思うでしょう?
ところが全然違うのだ、熱さの程度が。
「いっちゃん、外くるぶしに乗ってるのが熱いー」
「うん、胆のルートだね」
「薬指に乗ってるのも熱い」
「これも、胆のルートだよ」
胆のルート。
なるほど、胆石があったから、ここに反応があったってことかー。

けれど、そんなことよりなにより、体がバカスカ弱っているときに、お灸を乗せてみて熱いところと熱くないところがある、というのはすごい発見だった。

足つぼマッサージとか見ていると、悪いところがある人ほど痛いというが、こういうことなのかと思った。

そして、いっちゃんは、私が「熱い」と訴えたところのお灸は無理に我慢をさせず、すっと別のところに移してくれた。
熱くても我慢するから効果があるのかと思っていたら、全然違うらしい。
そういう使い方をすることもあるのだけれど、基本熱がある人には強い刺激は禁物なのだそうだ。

こうして、湯たんぽで足を温めながらお灸をしてくれているうちに、だんだん頭痛を感じる位置が変わってきた。最初は左耳の後ろ側がずっきんずっきんしていたのが、頭頂部に移り、そのまま下にもぐり、消えた。

そして、今度は背中。

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今回の治療でいっちゃんは百個以上のお灸を使ってくれたというが、この背中がとにかく気持ちよかった。
バッキバキの背中が緩み、ごっりごりの肩が楽になり、どっちに曲げてもつらかった首が動くようになった。

そしてそのうち眠くなってしまった。。。
普段、不眠気味で薬に頼って眠っている私が、よだれをたらしてぐーすかねてしまったのだ。
そして寝ている間に、いっちゃんは私がため込んだ洗い物まできれいに洗ってくれていた。

神なの? この人こそ、現人神なんじゃないの?
私はこの日のことを一生忘れないと心に誓ったよ。
いっちゃんは治療家でヘルパーさんではないのに、私にとって最もストレスの大きい洗い物という家事を、善意で片づけてくれたのだ。
体がふわふわのほにゃのほにゃにほぐれて楽になったのは、いっちゃんの治療のおかげが8割だとすると、この「起きた時に台所に洗い物がない!」とう感動が2割分あったと、間違いなくあったと、私は思う。

そして、半信半疑でしかなかった「鍼灸」の世界は、確かに効果があると実感できた出来事だった。
東洋医学凄い!
中国四千年の歴史すごい!
中央集権制度すごい!
キングダムすごい!
ツボすごい!

そして、五十嵐いつえ、すごい!

で、肝心の私の発熱の原因なのですが、今日来るようにと先生が言ったからわざわざ雨の中出かけて行ったのに、
なぜか、先生は学校の健康診断でいらっしゃらなかった。
故に、まだ不明です。
でもとりあえず、体は快適。
引っ越しもできそう。
熱がないって素敵。
頭痛がないって素敵。

いっちゃんどうもありがとう。

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