見出し画像

魔境のAI案内人「みを」!

「これ以上進んでも、私にわかることはないし、あったとしても、すでに研究し尽くされていることだ。だから、やめておくべきだ」
理性はそう言って止めたのに、ついに古文書に手を出してしまった。

国立国会図書館から、天狗党メンバーの日記をお取り寄せしてしまったのである。
届いたのはいいが、さっぱりわからない。
仮にわかったとしても、おそらくこれまで読んだ小説などで、既出のことしか出ていない。
そんなことは、わかってるのに。

わかっちゃいるけれど、古文書にはロマンがあるし、もしかしたら、誰か1人くらい
「今日は藁靴で雪の中を長いこと歩いて靴擦れした」
みたいなことを書いているかもしれないではないか。

何度でも書くが、私の今の最大の興味は、彼らの雪中行軍の装備なのだ。
何を着て、何を纏い、何を履き、どの程度の防寒効果が得られていたのか、または得られていなったのか。
それが記録に残っていないものか、と探しているのである。

しかし、敵はこんなのだ。
そもそも読めるところが少ない上に、読めても意味がわからない。

まずは、この達筆なのかどうかすらよくわからない「崩し字」を解読できるようにならないと、現代語訳もままならない。

ため息をつきながら、
「通信講座にでも申し込んで、地道に勉強するか」
とネットを見ていると、「みを」という崩し字解読アプリがあるのを発見してしまった!

すごい。
なんだこの知恵の結晶は。
現代は、欲しいと想像したものは大抵ある。

まあでも、考えてみれば、こういうのはAIが最も得意とする分野のはずだ。

「崩し字」というと、さまざまなミミズがのたくった筆文字を思い出すが、実はあのミミズののたくり方にも法則があり、すごく簡略化して言ってしまえば、英語の筆記体に「癖が強い筆記体」と「癖が弱い筆記体」があるようなものなのだ。
だから、AIがその癖のパターンさえ覚えてしまえば、「崩し字」の素養のない私たちでも読める文字に変換することは、さほど難しくないはずなのである。

そして、読める文字にしてさえもらえれば、あとは辞書がある。
「明解古語辞典」なりなんなりで調べながら読んでいけば、意味もわかるはずだ。

「みを」はその最初の一歩を助けてくれるアプリなのだ。

早速使ってみる。

「みを」とカメラを連動させ、該当箇所を撮影する。
下側真ん中の、緑のボタンを押して文字のスキャニング開始。

ものの数秒で、ゴシック体の緑の文字列が表示された。
パッと見ただけでも、間違いが見つけられるが、私が読めないところを代わりに読んでくれるのはありがたい。

スライドバーを移動させて、テキストデータと実際の文字と比較できる機能がついているおかげで、間違いをみつけやすくなっている。

ちなみに「御嶽宿」というのを、「みを」のAIは、すべて「御蔵宿」だと勘違いしている。

テキストのアイコンをタップすると、テキストデータがコピーできるようになる。

これをスマホのメモ帳などにコピペして、明らかな間違いを手作業で修正していく。

どうだろう?
かなり読めるデータになってないだろうか?
これでもわからないところはあるが、おそらく、5割くらいは理解できたようなものだ。

やったー!
天狗党の人たちの気持ちに一歩近づけたようで嬉しい。
結局、彼らの装備については、全く不明なのだけれど、仕方ない。
ここに無くても、きっとどこかにはあるのだろう。

これで、どこで関連する古文書に会っても平気だ。
強い味方ができた。

作ってくださった方、本当にありがとう!

#83

最後まで読んでくださって、本当にありがとうございます。 サポートは、お年玉みたいなものだと思ってますので、甘やかさず、年一くらいにしておいてください。精進します。