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【敦賀便り9】立石岬灯台を目指せ!

敦賀もだんだん、雨が降らない穏やかな日が増えてきました。
三寒四温という言葉の通り、もうじき春が来るなあと陽ざしを見ていても思います。

バイクのお出かけが楽しい季節になってきたので、立石岬にある「立石岬灯台」に行ってみることにしました。この灯台は「国内にある灯台の中で、日本人が建てたもっとも古いもの」でかつ「現在も現役で働いているもの」なのだそうです。

立石岬灯台は、敦賀半島の先端にあります。道路地図ではその先には道がないことになっています。が、まあ、どこでもそうですけれど、海沿いは釣り人が行き来していることが多く、人が一人通れるくらいの細い道がついているものです。きっと灯台まで最短で行けるルートがあるに違いありません。

下の写真は「立石」の集落。小さな漁村です。
この日は快晴だったので「立石岬灯台観光」の人たち4名、釣り人1名とすれ違うことができました。前回はゼロだったのですから、お日様は偉大です。

さて。私は立石岬灯台の名前は知っていたのですが、どこにあるのか詳しく知りませんでした。
けれど先日、石垣島にいった時に訪れた石垣御神埼灯台も岬の突端にあったし、下の伊良湖岬の灯台(写真は「ニッポン旅マガジン」のサイトよりお借りしました)も同じく岬の突端に建てられています。
ということは、立石岬灯台もとにかく海沿いに進めば、岬の出っ張っているあたりにあるに違いないと考えて出かけたのでありました。
が、これが大きな間違いだったのです。

海沿いに50メートルほど進むと、「立石岬灯台」の看板が出てきます。
右手は海です。左手は山。そして、この矢印は明らかに山をさしている。
その上ご丁寧に「登り口」と書いてある。登るんですよ、突端に建ってるはずの灯台に行くのに。
おかしいじゃないか。
海沿いに行けばあるはずなのに、どうしてひとやま越さなくちゃいけないの?

看板が指し示す方角は結構急な階段。いやいやいや。こんなところを登らなくても海沿いに平地を行けるルートがあるはずです。

そして見つけた「通行禁止」の看板。
「つまり、本来立石岬灯台まではこのルートを通っていたのに、がけ崩れごときで『危険だと思いまーす』と行政に訴えたお利口さんがいて、おかげで私が山越えしなくちゃいけなくなったってことだな」
上り坂に悪意しか感じない私は、とっさにそう思いました。
私に平らな道を歩かせないために仕組まれた罠だと思ったのです。
当然のようにこんな看板は無視です。

看板を越えて100m進んだあたりで、釣り帰りのおじさんとすれ違ったのも私に勇気を与えました。
「ほーら、やっぱり道があるんじゃーん」と。

しかーし。
私が選んだそのルートは、明らかに人の足跡よりも獣のそれの方が多い。
なんだかよくわからないけれど、爪があるのやら蹄があるのやら、雪が解けた後の柔らかい地面を踏んだ後がたくさんついているわけですよ。

それでも、山を登りたくない、400m登るくらいなら平地を二キロ歩く方がましと思っているので、獣の足跡ごときでひるむわけにはいきません。
道はどんどんガレ場になってきて「多分、これ道だよなあ」くらいの心もとない感じに変わってきました。おまけに、ほんとに崩れているので歩きにくいこと山の如し。

そのうち、お日様のさしてくる方向が変わったような気がして海を見ると、なんだか荒波度が増している気もする。ここでようやく、地図を見て見ようかなと思うのですが、何しろ人の少ない集落からさらに離れたところですから4Gもなかなか捕まえられないのです。

「ううう、地図のダウンロードおっそいなあ」といらいらしながら待っていると来ました、現在地。
あれ?
灯台、山の上? 岬の突端じゃないの? 私、灯台の周りを半周しちゃったの? あの看板は陰謀でも何でもなく「灯台は山の上にありますよ」って言ってたの?!

仕方がないので、恐竜のしっぽみたいな樹の横で持ってきたお茶をがぶ飲みし、一息ついて帰ることにしました。なんだよー、灯台って先っぽにあるんじゃないのかよー。

来るときはまったく気にならなかった崖沿いの道が、「落ちたら死ぬ」と思えるのも灯台が山の上にあるせいです。先っぽにひょこっと立ってたら気分良く帰ってこれたのに。

そうしてようやく先ほどの看板まで戻ってきたのですが、ここでまた悩むのです。400mも登るのかー、と。
しかし、私が見に来たのは灯台です。恐竜のしっぽみたいな樹もそこそこ珍しいのかもしれませんが、当初の目的とは違います。

覚悟を決めて登ることにしたのでした。

途中の道は、運動不足の50代には相当険しくて「ぜはーぜはー」と嵐のような呼吸をしながら登っていたので写真は一枚もありません。
いやもう、写真なんてねえ、あれは平地でとるものです。心の余裕が無いと撮れないのが写真です。山岳写真家って人達はバケモンです。

下りの道で、同じルートを若いカップルが手をつなぎながらいちゃこら会話しつつ登ってくるのを見た時には、自分の呼吸器の老化具合が100歳くらいに感じました。
その後、私と同年代のご夫婦がその辺で拾った木を杖に「ぜはーぜはー」と登ってきていたのを見て「あ。大丈夫、普通の50代、こんなもん」とかなり安心させていただきました。

とか何とか言ってる間に、灯台が見えてきましたよ、みなさん。

ちっちゃ!
この灯台、ちっちゃ!

ほら、私がてっぺんに触れるくらい。(やりがち)

灯台の入り口上の看板には「1881年7月20日に点灯された」と書いてあるようなのですが、なぜか、これは日本語より英語の方がわかりやすいという不思議な看板。日本語、なんて書いてあるんだ?

無事に灯台も拝めたことですし、帰りましょうか。
海の神様にもご挨拶。無事に遭難もせずに帰ってこられました。
ありがとうございました。

みなさん、立石にある看板は、素直に信じましょう。信じる者は救われます。




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