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舌の変容 その後

前回の続き。
Facebookで上の記事をシェアしたところ、「耳鼻科にかかると良い」と教えていただいた。調べてみるとこんなことが書いてある。

ヒェー、口の中にカビ?!と思い、慌ててその日のうちに耳鼻科を受診することにした。

私が敦賀に越してきた時は、すでにコロナ禍に突入していたので、そのせいもあるのだろうと思うのだが、こちらの耳鼻科はいつも空いている。神奈川の1時間待ちが当たり前の耳鼻科だと、予定を半日空けないとおちおち受診もできないのだが、その点、敦賀の耳鼻科はありがたい。そろそろ花粉も飛ぶ時期だと思うのだけれど、花粉症の患者さんも見たことがない。待ち時間2分で名前を呼ばれ、診察室に入る。

「先生、口の中に渋柿を食べた時みたいな、変な膜が張った感じがするのですけど」
「えっ? 味覚異常? うちじゃコロナの検査はできないんだけれど」
「でも熱も咳も全く無いんですよ?」
「無症状感染もあるしねえ」
「無症状だったら味覚異常も出ないのでは?」

なんてやり取りの後、カンジタを疑っていることを伝えたら、口内の粘膜を採って培養してみる検査と、血中の亜鉛濃度を調べる検査をしてくれた。亜鉛が不足すると味覚異常が起きるらしい。それにしても、まずコロナを疑う前提で問診か進むので、なんとなく遠回りな感じがする。検査の結果は一週間後に出るとのこと。今日はわからないのか、とモヤモヤする。

いつもなら、そのあとネフライザーでの吸入がルーチンなのだが、今日は無し。

「先生、ネフライザーはしなくていいんですか?」
「コロナが流行ってるから、しばらく使わないことにしたんだ」

ここでもコロナだ。とにかく、オミクロン株の第六波をものすごく警戒されていらっしゃるようである。私自身は、ほぼ引きこもっているので、コロナが身近に迫っている実感はなかったのだが、こうまで警戒されるといよいよヤバそうな気がしてくる。普段は手が荒れるので使わないアルコール消毒のスプレーを、念入りに手に擦り込んで病院を出た。

同じ日の午後、歯科の定期検診も予約してあったので、味覚に関する相談をこちらでもしてみる。

「渋柿を食べたあとみたいな感じ? うーん、そんなの聞いたことないなぁ。とりあえず知覚過敏はあるみたいだし、歯周病の治療をしとこうか」

というわけで、予定外の治療がスタートすることになってしまった。まあ、これでお口の健康が保てるならいいんだけど、ここでも原因が分からず、モヤモヤは残る。

あっ、と思い出して
「先生! この前歯の隣の歯の裏に、なんか穴っていうか尖った段差がありません? 舌がいつもここに引っかかって、気になって触っちゃうので、埋めちゃうことってできませんが?」
と聞いてみた。答えは
「どこも悪くないところを埋めるのって、保険適応外になっちゃうよ? 触らないように気をつけるしかないよねえ」
と予想通りのものだった。自分で気をつけるのが難しいから相談したんだけどなぁ。

今回、全てがこの穴から始まっている気がするので、なんとかして欲しかったのだが、仕方ない。ここは自分でなんとかする方法を編み出さなくではならならない。

家に帰る前にスーパーに寄って、棚を眺めながらウロウロしてみた。買い物ではない。「アイデア出し」だ。この方法は、何か考えている時に行き詰まるとよくやる。今抱えている問題とは、全く関係無さそうなものをたくさん眺めるために、スーパーに行くのだ。人の記憶は、トリガーが無いと引っ張り出せないことも多いので、視覚からのトリガーで眠っている何かを引っ張り出したい時に有効だと思っている。本当は、スーパーよりもホームセンターの方が、思いもよらないものに触れられるので効くのだが、遠くのホームセンターまで雪道をバイクで運転していくのは怖いので徒歩圏内のスーパーで妥協したのである。

コツはボーっと見ることである。意識して探そうとしても、うまくいかない。ボーっとするのは得意である。歩いていて、早速ガムの棚で足が止まった。
「!」
ガムだ。ガムとABA(応用行動分析)でうまくいくんじゃないか?と閃いたのである。

つまりこう。

①舌が勝手に動いてしまうのは、無意識の時。
②意識を向けてない時に、舌をじっとさせておく方法が無いから困っている。
③ABA的に考えると「じっとさせておく=動くな」という否定の命令。「○○するな」は、逆に「していいことの選択肢が無限にあるため、うまくいかない」
④「動くな」に変わる肯定的命令を1つ与えれば良い。
⑤「無意識の時はガムを噛め」という命令を与えることで、穴を触らずにすむのではないか。

意気揚々とガムを買って帰宅した。飴でも良さそうだと思ったが、摂取カロリーを考えると、ノンシュガーガムがベストだろう。早速、仕事をしながらガムを噛んでいる。

結果から言うと、これがなかなか良い。ものぐさな性格が幸いして、味がなくなっても2時間くらいずっとガムを噛み続けているので、舌が穴を触りにいく時間がない。心なしか、舌先の白い口内炎も小さくなってきた。さらに、コロナ禍で誰とも喋らず、怠けていた顎周りの筋肉もよく使われて弛みが減った気もする。

しばらくこのまま観察を続けようと思う。

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