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青空のシンフォニーが完成する日 劇場版SorAZ・刹那的クロニクルを浴びて

はじめに

2020年9月26日、SorAZによる配信ライブ『SorAZ Special Live 刹那的クロニクル』、通称「 #劇場版SorAZ 」が開催された。

あえて主語を大きくするが、我々そらともが待ちに待った、ときのそらの配信ライブである

昨年ブッキングする勢いで毎週のようにライブやフェスに出演していたのを思うと、半年以上有料のライブがなかったのは異常事態であった。
(有料配信イベントのゲストとして出演したことは2度ありもちろん歌を披露したが、たったの2度である)

念願のライブはお相手のAZKiと共に、新曲『紅藍クロニクル』を歌ったSorAZとしての出演。
公演自粛前の最後のリアルライブとなった2月の「名古屋アニゲーフェス2020」に出演した二人だ。今回も最高のライブになることは確定していたし、事実最高のライブだった。

さめやらぬライブの熱に浮かされて眠れぬ深夜に、前々からぼんやり考えていたことを書き記しておこうと思う。
今回披露された一曲、『青空のシンフォニー』についてだ。

随所にこだわりの見える圧巻の映像表現など話をしたいことはたくさんあるのだが、詳細なライブレポートは他の方にお任せしたい。開拓者やそらともにはとてもライブレポートが上手な方が多数いる。すごいと思う。


七色のメロディ

『青空のシンフォニー』はときのそらが作詞・作曲を初めて自身で行った曲である。5月に20歳のお誕生日の企画として直筆サイン入りCDという形でリリースされた、彼女とそらともにとってちょっと特別な曲だ。
特別なのは記念の品や限定品であると言う事だけでなく、この曲がときのそらが活動開始してまだ間もない2018年の弾き語り放送にて披露された『七色のメロディ』を基にしている点が大きい。

当時は恥ずかしさを隠し切れず、その後も演奏するのをやめて封印状態だった。未完成だったこの曲を改めて作り直したときも、編曲・MIX時に自分のディレクションを担当者に送り聴いてもらうのが恥ずかしかったと語っていた。
とはいえリリースした今では配信での告知や発表時に「ハレの時の曲」のようにして決まって流しており、本人も気に入っているのが伺える。明るく爽やかで踊るようなメロディは良い発表にぴったりだ。
さらに10月リリースの新アルバム『ON STAGE!』への収録も予告された。ときのそら作詞作曲の一曲がメジャーアルバムへ収録されるなんて、恥ずかしがりながら弾いていた二年前の彼女は予想もしていなかっただろう。

こだわり抜いたという歌詞は、全く新しい歌詞となっている部分と以前の『七色のメロディ』がそのまま残っている部分とがある。どちらもこれまでのときのそらとそらともが今まで歩んできた道程をそのまま反映し、前向きで、明るい未来を確信させる自信に溢れた歌詞になっている。


ときのそらクロニクル

『青空のシンフォニー』はときのそらの成長の歴史を物語る一曲だと私は思っている。

作詞作曲をしたというだけでなく、編曲のけったろ氏、MIXの赤ティン氏といった音楽関係者との繋がりができたことも成長のひとつだと思っている。彼女の音楽には多数の作詞家、作曲家、ボカロP、動画クリエイター、振付師などなどが関わっており、まっすぐ進む音楽の道を、実力があり信頼のおけるクリエイターに手助けしていただけているようだ。3年間で増えたのは我々が容易に観測できるそらともやVの仲間に留まらない
ピアニストのまらしぃ氏と共にバーチャルセッションと題した企画を共に行ったことが『七色のメロディ』を完成させるきっかけになったようだということも、個人的には注目したい。

親交のあるクリエイターの数名とはTwitter上で幾度か会話するのが目撃されており、さらに過去に配信機材について何度も相談をしていたらしい。少し動くと音が遠くなっていた初回放送を思うと、現在はマイクにこだわって数本を使い分け、机の上に「機材タワー」がそびえ立っているのはいろんな意味で感慨深い。

ここで特に話題にしたいのは赤ティン氏だ。機材のアドバイスによく乗っていただいており、特に気さくな方として特筆すべきかもしれないが、そこではない。


ライブで盛り上がるために

ときのそらはライブが大好きだ。アイドルには程遠い存在だった頃からの目標が「ライブがしたい」だった。ライバーである以上に「イベント戦士」だと自称し、先述した通り昨年イベントに引っ張りだこだった時も、本当に楽しそうにパフォーマンスをしていた。ライブはみんなで作り上げるものたくさん盛り上がろう、というのがもはや口癖だった。
今年はさらにライブの頻度を上げて全国ツアーを巡り、たくさんのそらともと出会うことを目標に掲げ、何度も言及していた。
世界的なウイルス流行による公演自粛の世の中は、彼女にとって苦しいものだったことは想像に難くない。

次にリリースされるアルバム『ON STAGE!』もライブで盛り上がれる曲がテーマだ。
そして『青空のシンフォニー』もライブでみんなで盛り上がりたいという思いがあって作られているのは、言うまでもないだろう。

だが「コールをどう入れるか考えていなかった」というのだ。うっかりさんである。
(作曲しながらコールまで考えるというのはなかなかないとは思うが)

最終的に合いの手と、コーラス部分をみんなで歌う、他はノリノリになる、という形に落ち着いた。
そのコールも、リアルライブの開催が不可能なため「絵文字付きでコメントする」形式となり、配信内で相談しながら絵文字を決めてすぐ入力できるように各々で辞書登録をした。

コーラスはMIXを担当した赤ティン氏の入れた声が使われているが、当初より予定していたものではなかったという裏話をときのそらは語っていた。
色々悩んだ末にコーラスをコールにしようと思いついたのは曲が完成した後だったようだが、このコーラスによって『青空のシンフォニー』がライブで盛り上がれる曲となったと言って過言ではない。
赤ティンさん、ありがとうございます


初披露

音楽素人の私が語るのはおこがましいが、「ときのそらの曲は、ライブで歌われて完成する」ようなところがあるように思う。

あまりのキーの高さに批判の声すらあった『夢色アスタリスク』を配信内で披露し、人間離れしたハイトーンボイスを武器にしたあの日から、声、ダンス、表情、さまざまな表現力をときのそらは磨いてきた。それらはもちろんライブをするためで、我々を楽しませるためだが、もっと言えば「みんなで盛り上がるため」だ。ライブはみんなで作り上げるもの。ときのそら自信と我々が一体となってライブを盛り上げることで、彼女の曲は別の輝きを放ち始める。

底抜けに明るい自己紹介で1stワンマンライブ『Dream!』を締めくくった『Dream☆Story』は号泣せずにいられなかったし、名古屋で機材トラブルに見舞われながら歌い切った『Wonderland』は今でも泣けてくる。思えば全部泣き曲になっている気がするが、"光り輝く青色の海"からの声援と共にライブで歌われることで、毎回別の文脈が次々に上乗せされていく

完全に個人の話になってしまうが、人生初のライブ参戦は昨年の『音楽的特異点 vol.0』だった。生の音、生の歌声、生のパフォーマンス、生のステージ演出、生の観客、すべてが合わさり、何度も聴いたアルバム『Dreaming!』の曲のどれもが全く違うものに感じた。このライブはまさしくときのそらのライブパフォーマンスの「特異点」となったライブだと後に知ったが、彼女の歌う数々の曲は、このステージと、これから先のステージのためにあったんだと思わせられた。

『青空のシンフォニー』はライブと銘打たれた場では一度だけ、6月のお誕生日後夜祭配信ライブ(#ときのそら後夜祭)で歌われたことがある。5月の誕生日記念のリアルライブ(開催告知すらされず中止になったと後で本人が語った)の代替として開催されたYouTubeでの無料ライブだ。

この時は1番のみの披露だった。まだリリースして間もなく無料でフルを披露するのを避けたかったという。
普段の配信で歌枠をやらない理由の「お金を払ってリアルライブに来てくれる人に申し訳ないから」と同じだ。少なくとも私は気にしないしむしろ初見さんにも歌声をたくさん聴いてほしいくらいなのだが、あらゆる配慮に敏感なのは彼女らしい良いところでもある。

久しぶりのライブができた彼女は輝いていて、これからもライブを楽しむことができるという展望が見えるものだった。しかしながら『青空のシンフォニー』が1番のみの披露ということはコールも前半のみ、覚えて辞書登録までしたものの不完全燃焼感は正直なところ否めなかった


劇場でのシンフォニー

『刹那的クロニクル』でフルを歌うと予告されたときは、本当にうれしかった。
だが予想外なことに、ライブ翌日の配信では歌う予定ではなかったと明かしている。そらともへ贈る歌であるため、SorAZ二人のライブにはふさわしくないと考えていたというのが理由だ。作り上げるライブに一番ふさわしいセットリストを目指すこだわりは計り知れない。
ライブで最高に盛り上がるためにフルで歌うという決断をしてくれたのは、本当に感謝しかない。
ライブ直近のニコ生ではエンディングの一曲に加えてフルでのコール練習も行われた(彼女は実際のライブMCでもコールのレクチャーをすることが多々ある)。配信で部分部分を歌いながら「次、次!ここだよ?せーの!」「みんな上手上手!」とコールのタイミングをレクチャーする彼女はやはりみんなで楽しみたいという思いに溢れていた。かつてそう称された「お姉さんっぽい」という雰囲気はその優しさの中に健在だ。

久しぶりのライブ、しかも大好きなAZKiとの共演だということもあり、ときのそら自身の興奮は前説から最高潮かのようだった。
その予感に相違なく、彼女は縦横に動き回りながらのパフォーマンスを次々繰り出した。
AZKiと共に歌う時は感情をぶつけ合い増幅していくかのような迫力を見せたが、ソロではその全パワーが観客へ向けられる。
さらに『青空のシンフォニー』では特にコールを煽る動作が振り付けと一体化していた。これを受けて盛り上がらないはずがない。コメントだけでなく片手に持ったペンライトと発声にも否応なしに力が入り、一人画面の前だと言う事を忘れさながらリアルライブ最前列かのように楽しんだ。

息を切らして全身で歌うあの『音楽的特異点』の時のような、いや、私の思い出のステージより何十倍も進化した圧倒的なパフォーマンスを今回改めて観ることができ、それに呼応してコメント欄の速度と熱量も増していた。何より今回のライブで初めて『青空のシンフォニー』がフルでステージ上で歌われた。そらともにとって念願の瞬間だったと思う。コメント欄が大サビのコールの「プロミスユー」で埋まったのを見た時の喜びはなんと表現したらいいかわからない。
アーカイブに編集が入ったため、あのコメントをもう一度見ることができないのが残念だ。


おわらないステージを

『青空のシンフォニー』は、ときのそらのサグラダ・ファミリアだと勝手に感じている。

『七色のメロディ』を恥ずかしがりながら弾いた。いろんな人の協力があって約二年越しに曲として完成した。完成後にコールが出来上がった。コールもみんなで相談して絵文字を決めた。後夜祭ライブで1番だけ歌った。メジャーアルバムへの収録で作詞作曲したことの重みが一層増した。そして『刹那的クロニクル』で、遂にみんなで盛り上がれた。

次々姿を変えてきたこの曲に完成はないと私は思っている。勝手に未完成にするなと怒られそうだが、彼女の他の多くの曲がライブで歌われて聴くだけでない形に変わっていったように、これからライブの回数を重ねていけばまた違ったものに聴こえるようになるはずだ。

なにより、リアルライブで大人数で大騒ぎしながらコールを楽しみたい!
(ライブにさほど興味のなかった人間が、ライブ大好きときのそらを浴びて1年でこうなってしまったのだ!!)

とはいえリアルライブを開催するのはすぐには難しいと思う。だからこそ配信ライブで、声ではなくコメントで、めいいっぱい盛り上げて『青空のシンフォニー』を、そして他の曲たちを磨いていきたい。


もちろん、同じく生での歌唱で毎回違った表情を見せるAZKiの歌も忘れてはならない。
さらにAZKi作詞作曲の『紅藍クロニクル』が今後どんな曲になっていくのか。

劇場版SorAZⅡ、待ってます。

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