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【もう迷わない】ハンドパンのスケールとは【もっと悩め】①基本の基本

こんにちはモルヒネです。ハンドパンを始めるにあたり、「スケールってなんなんすか」という状態の方向けに基本の基本から書き記していこうと思います。

ハンドパンやRav Vastにはスケールと呼ばれる音階の種類があります。あります、というか、スケール自体は一般的な音楽用語ですが、ハンドパンやRav Vastは「構造上どうしても音数が少なくなる」という特徴があり、その中でいろいろな音楽的な可能性を広げるために各個体に対してスケールが決まっています。

私自身、Ravやハンドパンを買うまで特に音楽知識は無く、「ギターでFコード弾けます(ドヤ」というレベルだったので、初めてRav Vastを買い、その後ハンドパンを買う際には「どのスケールを買えばいいのか」というのが巨大な問題でした。これからのnoteがハンドパンに興味のある方の一助になれば幸いです。

初回の今回は、ハンドパンにおいて「スケールとはなんぞや」という基本の基本について書いていきます。私自身、専門的な音楽知識がなく、辛うじてある知識もハンドパンに偏りまくっているので色々不十分な点があるかもしれません…。何か気になる点があればコメント等頂ければと思います。


①ハンドパンにおけるスケールとは

一般的に言うスケールとはごく単純に言うと、「白鍵・黒鍵を含む1オクターブ12音の中から任意に選び取った音階」のことを指す音楽用語です。

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この12音の中からいくつの音を選ぶかを表す言葉として、
「〇〇トニックスケール」という言い方があります。
5音の場合…ペンタトニック
6音の場合…ヘキサトニック
7音の場合...ダイアトニック

他、4音階や8音階もありますが、ハンドパンでは5~7音が一般的です。

前置きが長くなりましたが、ハンドパンにおけるスケールは、「そのハンドパンが持つ音階の種類」を指すと考えてよいと思います。スケールによって、例えば明るくハッピーな/暗く重々しい/アラビアンな…などの雰囲気の違いがある、くらいに考えてください(もちろんスケールだけがそれを左右するわけではないですが)。

例えば、最も人気のあるスケールの一つであるD KurdではD3 A3 Bb3 C4 D4 E4 F4 G4 A4の9音です。
1オクターブの中で見るとD-E-F-G-A-Bb-Cと7音を使っているので、ダイアトニックスケールですね(もっと詳しく言えばダイアトニックマイナー)

↓D kurdを使ったKabecaoの名曲:Land of Cole

↓Sam MaherのNew YorkはC# Dingですが同じKurdスケールです(この動画ではAolianスケールと表記されていますが、スケールとしては同じ音階)


※最近は一つの楽器で10音以上あるミュータントタイプのハンドパンが一般的になっていますが、ここではわかりやすさを優先し、基本的に9音タイプのハンドパンに限って書いていきます。

他の人気スケールの例を挙げると…

D Celtic minor D3 A3 C4 D4 E4 F4 G4 A4 C5
D Hijaz D3 A3 C4 D4 Eb4 F#4 G4 A4 C5 
Eb La sirena  Eb3 Gb3 Bb3 C4 Db4 Eb4 F4 Gb4 Bb4
E sabye   E3 A3 B3 C#4 D#4 E4 F#4 G#4 B4
F low Pygmy    F3 G3 Ab3 C4 Eb3 F4 G4 Ab4 C5

 などなど…。ハンドパンのスケールは無数にあるのですが、ある程度の"定番"みたいなものは一応あります。このあたりが初心者にとっては本当にわかりづらいのですが、まずはYoutubeでhandpanで検索してスケールの雰囲気を知って、びびっと来たものを詳しく調べてみるのが一番良いかなと思います。もちろんハンドパン奏者に相談するのも良いでしょう。

基本的には始めのアルファベットがキー(Dingの音の高さ)、その後がスケールの名前を指します。スケール名の後に数字が入っている場合は、そのハンドパン全体の音数を示します。

例えばD Kurd 9の場合…
 Dingの音高はD3、Kurdスケールで全音数は9音、ということが分かります。

※ただし、メーカーによってはDing以外の音数を示している場合もあるため注意。その場合はDing+9音で10音ということになります。

また、例えば同じKurdスケールでもキーは様々あり、DingがDのものもあればC# kurdもE kurdもF# kurdも存在します。キーが変わっても、スケールの持つ雰囲気は変わらない、というのがスケールの大きな特徴です。
※もちろん、音の高さの違いによって曲の印象は全く異なったものにはなりますが…

ハンドパンのスケール名でわかりにくいのは、①メーカーや奏者によって同じスケールでも違う名前で呼ぶ ②違うスケールでも同じ名前で呼ぶ、というような例が多いことです。

例えば①だとKurdスケールがAnnaziska, minor, aolianと書かれたり、Celtic minorもAmaraと呼ばれたり…と色々例があります。また②だとPygmyとLow pygmyが混同されたり、人によってはpigmyと書いたり…等。この辺りは本当にわかりにくいのでわかる人に聞いてみるのが一番早いです。


ーーーーー以下、余談ですーーーー

また、特に低音タイプのハンドパンはF2 Pygmy、A2 Hijaz等のようにDingの音が低音域であることを示すためにDingの音高を示す数字を示すのが一般的です。超高音タイプの場合も同様です。一般的に、ハンドパンはC#3~A4あたりの場合にはアルファベットのみで示す場合が多いように感じます。また、実際に数が多く出回っているパンは大体C#3~G4 Dingくらいが多い印象です。

ちなみに、現在のハンドパンでは、Dingの音高は最低C#2~C#4くらいだと思います。最高音だとC6くらい...?本当に職人の技術の進歩がすごいのも歴史の浅いハンドパンシーンの特徴だと思います。

ーーーーー余談おわりーーーー


②スケールの大区分:メジャースケールとマイナースケール

無数にあるハンドパンのスケールですが、大きくはメジャー/マイナースケールに大別できます。(俗に言うHijaz系については後述します)

メジャースケールとマイナースケールの違いについては私よりずっとわかりやすい記事がいくらでもあると思うので詳細は割愛しますが、ハンドパンでは超ざっくりと、

・メジャースケール…明るい・ハッピー・ピースフル
・マイナースケール…暗い・格好良い・ダンサブル

のような感じ。あくまでイメージですし、奏者や奏法によっても異なります。

ちょっと詳しく書くと、ピアノの白鍵をドから順番に弾くとメジャースケール(ドレミファソラシド)、ラから弾くとマイナースケール(ラシドレミファソラ)になります。無料のピアノアプリなどで良いので実際に弾いてみると一目瞭然です。

人気のあるスケールの例を挙げると、
メジャースケール:sabye, YshaSavita, oxalista
マイナースケール:Kurd, Celtic minor, low pygmy
            ...等があります。あくまで一例です。


↓超ハッピーでピースフルなOxalistaスケール


↓超クールなCeltic minorスケール


他、教会旋法等を考え始めると単純にメジャー/マイナーでは括れませんが、そのあたりはまた別の記事で書くこととします。単純にメジャー/マイナースケールってこんな感じね~くらいで考えてもらえれば結構です。

ーーーーー以下、余談ですーーーー
教会旋法を使ったマイナー/メジャー以外のハンドパンのスケールでは、旋法名をそのまま使ったもの以外にも下記のようなスケールが一般的です。

Ionian系...いわゆるmajorスケールのことです。
Dorian系…La sirena
Frigian系…Pygmy, Akebono
Lydian系…Aegean
Mixolydian系…思いつかず…
Aolian系...いわゆるminorスケールのことです。
Locrian...厳密には教会旋法にはないらしい。
     ハンドパンでは見たことないです。

ーーーーー余談おわりーー

また、マイナースケールとしてはもう一つ、ハーモニックマイナー系のRomanian Hijazというものもあります。マイナースケールですがもっと物悲しくドラマチックなような、エキゾチックな響きです。

↓E romanian hijaz


Romanian hijazは後述するHijaz系では?という人も多いと思いますが、とりあえずマイナースケールのうちの一つのバリエーションと考えてもらえれば大丈夫です。



③スケールの大区分:Hijaz系スケール

まずは下の動画をご覧ください。

このなんとも言えぬエキゾチックな響き!アラブ世界に迷い込んだような異国感が特徴なのが俗に”Hijaz系”といわれるスケールです。これはHijazスケールと呼ばれ、一見するとマイナースケールのようにも聞こえますが、一緒には括れない感じ。

では次にもう一つのHijaz系スケール。

こちらはOnoleoというスケールです。全体的な異国感というか中東感は似ていますが、先ほどのHijazよりももっとメジャースケール寄りというか、ピースフルな感じがします。

これらのスケールはメジャー/マイナーという二つの枠組みでは捉えづらいため、”Hijaz系”として別に独立して紹介しておきます。

Hijaz系としては、Hijaz, onoleo, klezmeraなどの中東系スケールが挙げられ、またRaga deshのようなインド系スケールも含みます。前述したRomanian HijazもHijaz系ととらえる方が一般的だとは思いますが、非常にややこしくなるのでいったん置いておきます。


ひとまず、ハンドパンのスケールはざっくりとメジャースケール、マイナースケールの二つ、あとはなんかアラビアンなHijaz系てのがあるらしいぞ、と覚えてもらうだけでも、なんとなく大枠はつかめると思います。


ーーーーー以下、余談ですーーーー

Hijaz系スケールの捉え方はいろいろあると思いますが、詳しく言うと”ハーモニックマイナーパーフェクト5thビロウスケールを基にしたスケール”だと思います。もっと簡単に言うと、ハーモニックマイナースケールのDominant(Dingの5度上の音)をDingに置いたスケールを基にしたスケール、ということです。

例:G Harmonic minor音階: G A Bb C D Eb F# G A Bb C D Eb F# G A Bb C D ...
  ↓DingをD(G harmonic minorのDominant/Gの5度上)にすると…
D Eb F# G A Bb C D Eb F# G A Bb C D ...
  ↓ここから任意のスケールを作ると…
 D onoleo: D A Bb D F# G A Bb D
 D hijaz: D A C D Eb F# G A C

C harmonic minor/G hijazというスケールは、Dingを中心に弾くとhijaz系、C4から弾くとharmonic minorになっているというオツの極みみたいなスケールです。

↓日本のレジェンド奏者 峯モトタカオさんによる超絶技巧を見てもっと訳わからなくなりましょう

※詳しく書くと長くなるのでまた別記事で…

ーーーーー余談おわりーーーー

④最後に リンクの紹介等

ハンドパンのスケールや音楽理論の理解に役立つサイトを2つ紹介します。

1 : Yishama Visual Pantam

世界最高峰のハンドパンメーカー:Yishamaが作ったハンドパンのシュミレーター。いろいろなスケールを試し引きしたり、試奏動画を見たりできる恐ろしく便利なサイトです。多くのハンドパン奏者がこれのせいで睡眠時間をがっつり削られています(たぶん)。


2 : SoundQuest

音楽理論を網羅的に解説しています。無数にある音楽理論の解説サイトのなかでも、画像や音源を交えて一番わかりやすく、かつ詳細で、しかも親しみやすい奇跡みたいなサイトです。しかも無料で...?神様…?



…と、初回から余談だらけで非常に長くなってしまいましたが、ひとまず基本的なところを列挙してみました。スケールに関してはもっとわかりやすい説明がいくらでもあると思いますが、ハンドパンに限定して、ということで紹介しました。また足りないところについては追記したり別記事にしたりとしたいと思います。


ではまた。

書いた人:モルヒネ




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