![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/68767381/rectangle_large_type_2_625171d288b16a08d4822e4688367f03.png?width=1200)
池っち店長のゲートルーラー復帰から透けて見える今後の経営計画
この手のニュースに関しては完全に番記者然としてきました。私です。
年の瀬に、カードゲーム界隈としては騒然とするニュースが飛び出てきましたね。
池っち店長こと池田芳正氏(以下、「池田氏」といいます。)のゲートルーラー復帰。ここまでの経緯を考えたら、可能性としては全く考えていなかったのでびっくりしました。
経緯については、公開されたYahoo!ニュースがかなりまとまっているので、こちらを引用いたします。
そして、池田氏本人のツイートを引用。相当疲弊しておいでです。
今更ですが、大変申し訳ございません。
— 池っち店長 (@ikettitencho) December 27, 2021
どうかお許しください。 pic.twitter.com/zVMy1c5o7x
謝罪の熱量とかは今回私は触れる気は無いのですが、この中で触れられている組織としての構造の変化と経緯を並べてみると「なるほどそりゃあこうなるわなあ」という感想を持った上で、今後の展開を予想したくなりましたので今回筆を取った次第です。
ゲートルーラーの商標権が池田氏個人にあることの是非
ツイート内で、ゲートルーラーの商標権が株式会社大遊ではなく池田氏個人にあることについて乗っ取りを画策しているのではないかという意見が寄せられているとありますが、これは意見を寄せている人が穿った考え方をしているのではないか、流石に池田氏の論理の方が正当でしょう。
おそらくこの考え方をしている人は遊戯王といった超大型IPと比較してそのように考えたくなったのではないかと思うのですが、今回のケースはどちらかというと知的財産権の帰属の問題。
特許を受ける権利は、まず発明者個人に帰属します。従って、この権利を会社に譲渡する旨の契約や勤務規則等(以下、契約等)がなければ、個人的に特許権を取得することができます。
実際、仕事上で完成させた発明については、特許を受ける権利を会社に譲渡する旨の契約等が定められている場合が多いと思います。この場合は、個人的に特許権を取得することはできません。但し、権利を会社に譲渡したときは、貢献度や会社等が受ける利益などを考慮した相当の対価を会社等に対して請求することができます。
平成27年度改正特許法の施行後において、特許を受ける権利を会社に帰属させる旨の契約等がある場合には、その会社に特許を受ける権利が帰属します。この場合も、個人的に特許権を取得することはできません。但し、そのようにして権利を会社に帰属させたときは、相当の金銭その他の経済上の利益を受ける権利を有することになります。
(日本弁理士会関西会FAQより引用)
そして、株式会社大遊自体が「ゲートルーラーを作るために50%ずつ出資(ツイート引用)」により設立された法人であることを考えると、形式的には「会社の中で企画を揉んでゲームを完成させ販売」というルートではなく、「池田氏持込の企画を販売する組織」と考えるのが自然です。そうすると、権利の帰属にはなんら不自然な点はありません。
商取引に大丈夫です。ここまでは陰謀論を感じなくて大丈夫ですよ。
大興印刷と遊縁の合弁解消による大遊の経営への影響
どちらかというと、こちらに着眼するべきなんでしょうね。
池っち店長の復帰の翌日にリリースされたIRより。
合弁会社の合弁解消と株式譲渡に関するお知らせ(株式会社大興印刷より)
そもそも大遊の登記までは未確認だったことと不勉強であったのですが、大遊は合弁会社だったんですね。合弁で経営することにより、カードゲームの開発に一日の長がある遊縁側と、印刷に関するスペシャリストである大興印刷が強みを活かせる。それ自体は非常に素晴らしい判断だったと思います。
しかし、計算違いだったのがその後の広報。私も従前のnoteで触れていたのですが、これについては失策が重なったと言わざるを得ません。
合弁会社とは、複数の企業が共同で事業を行う合弁事業(JV・Joint Venture)を手掛けることを目的とし、複数の企業が各自出資金を負担して共同の株主として設立・運営する会社を言います。
(M&A Cloud「合弁会社とは?3つのメリット・デメリット|注意すべきポイントを解説」より引用
参考文献(過去執筆note):ゲートルーラー炎上に学ぶ現代カードゲームのプロモーション
結果、大遊の株式持分比率は「遊縁100%」となるわけですが、これが何を意味するかといえば、全ての経営方針を池っち店長が決められるということ。
これまでは合弁であったからこそ、大興印刷の製造ラインを抑えるために、納期の緻密な調整が必要であった。その縛りがなくなったとなればクオリティアップに時間はかけられることとなります。その一方、大興印刷との合弁レベルの協力が得られない(一取引先としては継続してるかもしれませんが、少なくとも緻密な連携はできない)となると、印刷にかかるコストはかなり多くなることがネックとなります。
販路のシンプル化は、商売のこじんまり化を意味します
よって、はっきりと言えば、ゲートルーラーは「あらゆる大人の駆け引きを拒否することでケジメをつけた、小規模に収まることを良しとした作品」となることを選んだわけです。
よく言えばシャープな運営、あえて語弊を招く表現をすれば同人作品となることを選択しました。こうなると作品としてはどれだけクオリティが上がろうとも、商売としては成立しない。そういう道を選んだわけです。
そういう状況にあるゲームをショップが仕入れられるか、といえばそうそう選択肢として選べないですよ。アナログカードゲームはショップとの連携によって成り立つ商売であることを考えれば致命的。少なくとも、いくらいいゲームになろうとも受身の姿勢であればいつまでも厳しいでしょう。
今後の予想
ここまでの事情を考慮すれば、生き抜く道は「売れる分だけ作る」、完全受注生産になるのではないかと考えています。並行した考えとしてクラウドファンディングによる受注を行うとか。鉄板なところでは、販路として息のかかったカードキングダムのみ卸すとかもありそうですね。
時間をかけていい体制となったことの強みは確実に活かしてくると思います。
第4弾をどういう販路で出してくるかは、非常に興味深いところです。
クラウドファンディング「CAMPFIRE」で新作ゲーム「ALICE NO GAME」が出資を募ろうとしていることを鑑みても、全く考えの埒外ではないはず。
また、ニュートピックスが発表された暁には着目してみようと思います。
おわりに
以上の記載につき、公開されたプレスリリースから経理屋目線で分析した想定にすぎず、風説の流布を意図してはおりません。
また、アイキャッチイラストのバナー及び「ゲートルーラー」の著作権は株式会社大遊に帰属します。
いずれいっぱい記事を書いた暁にでも、コーヒーでもおごってやってください……!