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鳥取をめぐる1.5日間の旅{後半}

二日目は、10:30頃にふたりが宿泊しているYpubへ迎えに行く。鳥取を訪れるのが初めてというサオリは特に「砂丘には行きたい」と事前に聞いていたので、砂丘へ向かう。三連休の中日とあり、たくさんの観光客で駐車場も混んでいた。地元の人っぽく、砂丘入口から少し離れた無料駐車場(道に面しておらずこちらはすかすか)に停める。

馬の背に登るときに海風が強くなり、異国の人のようになる私とエミ

底が薄く抵抗力のなさそうな靴を履いていたサオリは、靴の中が砂丘のようになっていた。普段であれば不快でしかないそれさえも、面白がって写真を撮り、LINEで写真を家族に送っていた。旅の良さだなあ、と思う。

中敷が砂丘仕様になったサオリの靴

ちょうどランチの時間になり、cafeニジノキに向かう。スパイスカレーが食べられるお気に入りのお店なのだけど、普段は自分の休みとお店の定休日が重なり、もうずいぶん長いこと来れていなかった。ふたりの来鳥に合わせて休みを取った土曜日、このお店に行けるのは私にとっても楽しみであった。

旅直前まで多忙な日々で寝不足が続いていたというエミが車に酔ってしまってカレーを食べられないというトラブルも、何のその。私とサオリがペロリと1.5人前(=2人で3人前)を平らげたところに、店の外で休んでいたエミが(何ならこれからカレー食べます!くらいの感じで)戻ってきたタイミングがコントみたいにぴったりで、この度で一番おもしろいシーンになった。

ニジノキに置いてあった岩美町の観光マップを見ていたら、二人が岩井窯に興味を持ったようで、そういえばこの旅の行き先候補に入れていたのを思い出し、向かうことにする。

日本酒が好きなエミは、お猪口にも使えそうな小さな片口付のスリップウェアの器を。サオリは鳥取らしい染め分けの小皿を。購入を悩んでいたサオリに、私は小皿を食事だけでなくアクセサリー置きに使っていると話したら、早速宿でその通りに使ってみたと写真を送ってくれた。本当にかわいい後輩たちである。そんなふたりにつられて、「断捨離中なのに」と言いながら私もちゃっかり一目惚れした器を購入。ふたりとの旅の思い出になるものができたのも嬉しい。

岩井窯を後にし、鳥取道を1時間ほど運転して、湯梨浜町松崎へ。ここは、わたしがとっておきの友人を案内するのに欠かせない場所なのだ。何てったって、松崎にはHAKUSENがあるし、汽水空港があるし、東郷湖がある。

普段一人で行く時は丘の上にひっそりとあるLibrarieに行くので、東郷湖畔に浮かぶようにあるHAKUSENに行くのは私も少しだけ久しぶり。私の予想通り、二人は「天国みたいだ」と風景を喜び、メープルミルクティー(私はコーヒー)とケーキを堪能していた。お土産にと、焼き菓子を悩みながらいくつも選ぶ二人を見て、「ふたりを大切にしてくれている人たちが周りにたくさんいるんだな」と、こちらも幸せな気持ちで満たされた。

その後に寄ったのが、前半の最初に書いた汽水空港だ。

縦に細長い店内に、古本も新刊本もzineも所狭しと並ぶ、本好きの天国。

本を物色していたら、そのうち店内に私たちだけになり、店主のモリさんと話が弾んだ。私の近況報告や、二人のそれぞれの仕事の話(サオリは薬剤師で、エミはデザイナー)や、モリさんの考えていることや最近のこと。ここに来ると、肩書きや年齢やいろんな荷物を下ろして話ができる感じがする。ふたりも、帰りの車中でモリさんとのおしゃべりを振り返って、それぞれに何かを感じ取ったようだった。

あっという間に、私が案内する旅も終わりになり、この日の最後は市内の美味しい和食と日本酒を楽しめる「食酒ととろ」へ。旅を振り返りながら、またいろんな話をした。日中車酔いになったエミが食べられるか内心心配していたのだけれど、迷わず大好きな日本酒をのみ、「私は”身”のなかでえびが一番好きなんです!」と言って喜んでもさえびを頬張っていて、笑いつつ安心した。”身”というジャンルを、初めて聞いた。

(私はアレルギーで食べたことないけど絶対美味しいはずの)鳥取名物・”もさえび”

そんなこんなで、帰りにtable makeに落としたイヤリングを取りに行き、今回の旅が終わった。私はここで二人とはお別れだったけれど、二人は翌日の14時の電車での帰路だったので、最終日も民藝美術館やたくみなどを楽しんでくれた。最後のランチに、おすすめしたcafe neeを選んだようで、「”揚げどりのネギゾースかけ”がありました!」とLINEをしてきた。この伏線回収は、私たちと同じ学校の卒業生にしかわかるまい。


私たちの寮食の思い出”揚げどりのネギゾースかけ”

モリさんの言葉を借りれば、今回も「濃厚な」1.5日間の旅でした。私は迎える側だったけど、ふたりが来なければ行かなかった場所や、一人とはまた違う視点で”鳥取”を巡ることができて、本当に楽しかった。だからやっぱり、私にとっても”旅”なのでありました。

この旅で気づいたことがあって、それはまたゆっくり書きたいと思います。ひとまず、エミ、サオリ、ありがとう。また会う日まで。

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