よんもじVOL.6 SUMMER感想

俳句は「願いごと」エッセイは「誰かの願いを叶えた話」と発行日の7/7にちなんで、七夕(秋の季語ではありますが)を意識したテーマで書いております。


夏陰に笑っていたことだけ残る
相田えぬ


誰もいない夏陰から笑い声が聞こえてくるようです。
もうその瞬間は訪れないということが「いた」「だけ」という言葉から感じ取れます。
人ではなく、夏陰というものが宿す誰かの思い出。
夏陰の持つ暗さと生命感溢れる感じによく合います。

銀漢を渡りたくない仔猫かな
藤田亜未


壮大な銀漢を前におびえる猫の動きが見えてかわいいです。
過去から存在し続ける大きな銀漢に、産まれたての小さな仔猫を持ってくるという組み合わせがいいです。
絵画にしてもかわいいだろうなぁ。

民踏んで民確かめる麦の秋
西川火尖


実りの季節の季語に、こんな苦しい言葉を持ってくるなんて火尖さんらしいし、さすが火尖さんです。
民を踏むというところや、足で確かめるということろに民への扱いが分かります。
7句でタイトル「無抵抗」の世界観を作り上げていて、心に訴えるものの多い作品です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?