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JFFC2022 Yo vs GENはYoが勝つべきだった

今思えば。

先日、フリースタイルフットボールの全国大会であるJapan Freestyle Football Championship(以下、JFFC)が開催されることが発表されました。今回は横浜市で行われるイベント、YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL( https://yusf.jp )とのコラボ開催ということもあり、これまでの大会よりもさらなる盛り上がりが期待できます。2015年から開催されている、国内で最も大規模かつ権威のある大会といえるJFFC。その注目度は国内のみならず海外でも非常に高く、ライブ配信ではなく、現地まで観戦に来る海外のフリースタイラーもいます。

そんなJFFCではこれまで多くのバトルが繰り広げられ、中には師弟対決や同胞対決など毎年何らかのドラマがあるのも見どころの一つです。今回は、昨年のJFFCで起きたドラマを振り返りつつ、過去の大会にも目を向けて、フリースタイルフットボールの奥深さを感じていただき、JFFC2023をより楽しんでいただこうという主旨の記事となっております。

詳しく見ていく前に、フリースタイルフットボールをあまり知らない方のためにも、そもそも大会はどのようなルールのもと行われるのかについて話します。フリースタイルフットボールをやっている方にしてみれば共通認識として分かっているような内容なので読み飛ばしていただいても構いません。

フリースタイルフットボールのルールについて

最近は大会の数が増えてきて、さまざまなルールのもと行われているのが現状ですが、今回お話しするJFFC含め、一般的なルールとしては

  • 1対1のタイマン形式

  • 交互に3回ずつ30秒のパフォーマンス

  • 審査員の旗上げ形式で勝者を決定

これがベーシックなルールです。そして、これらのうち最も物議を醸すのが3つ目の「審査員の旗上げ」です。技の難易度や独創性、ミスの少なさなどを評価の基準としていますが、どの技がどれくらいの難易度なのかを示す明確な指標は今のところありません。理由はいくつかありますが、まず何より技が多すぎるからです。名前がついていない技もあるのでキリがありません。それと、同じジャンルの技であれば比較しやすくても、別のジャンルの技であれば一概にどちらが難しいのか判断しにくいからです。

たとえば、片足でボールを回すアラウンドザワールドという技があります。これより難易度の高い技は、一度に2周回すダブルアラウンドザワールドなどがあります。これは数字として分かりやすいので難易度順に並べるのは容易ですが、同じく立ったまま行う技にクリッパーストールという技があります。クロスした足の内側でボールを止める技ですが、これは先のアラウンドザワールドとは異質の、つまり別のジャンルの技です。どちらの方が難しいかは判断できません。人によっては回す方が簡単だと言いますが、ある人は回す技は難しいと言います。個々人の体格などに応じた適性がありますから、当然と言えば当然です。

それに、フリースタイルフットボールの技は難易度だけが価値ではありません。「そんな技よく思いついたな!」という、独創性も大きな価値の一つです。やるのは簡単だけど、それを思いつくのは難しい。1を10に、10を100にすることはできても、0から1を生み出すことはできないという人もいます。これもいわば個々人の適性によるところが大きいでしょう。フリースタイルフットボール界では、そういったアイデアマン的なフリースタイラーもいます。ちなみに黎明期から日本ではそういうタイプのフリースタイラーが生まれやすく、海外からとても不思議な目で見られています。理由は謎です。

話はそれましたが、これまで述べてきたように曖昧な部分も含んでいる難易度や独創性といった評価基準も考慮しつつ、審査員(主に3人か5人)がどちらかに旗を上げるという方法で勝敗が決められます。つまり、ある程度は基準がある一方で、審査員によっては「こっちの技より、あっちの技の方が難しいと思う」「この人の方が独創的で面白いと思う」といったように、主観的な判断が含まれた上でジャッジが下されます。そのため「あの審査員は間違っている」「自分の好き嫌いで審査するのはどうかと思う」といった議論が引き起こされるのです。実際、JFFCに限らず、フリースタイルフットボールのバトル動画のコメント欄には「誰々が勝つべきだった」「なぜ誰々は負けたんだ」というようなコメントがたくさんあります。M-1グランプリなどのお笑いのショーレースでも時折そういった議論が注目されますね。点数がつけられるという点では違うかもしれませんが、審査員の好みが反映されるという点では似ているのではないしょうか。

さて、本題の前回大会JFFC2022ですが、この大会は一般の人たちも現地で観られる久しぶりの有観客開催だったこともあり、会場のボルテージは最高潮に達していました。そして、その会場の雰囲気、観客の存在こそが今回お話しするバトル「Yo vs GEN」の勝敗に少なからず影響を及ぼしました。

文章で書くよりも、実際に観ていただいた方が伝わるかと思いますので、早速ご覧いただきましょう。

JFFC2022 Yo vs GEN

それぞれのフリースタイラーについて、動画の冒頭で大会の主催者である横田陽介さんから紹介がありましたが、改めて私の方からも紹介いたします。

Yo
1997年生まれ、JFFC2017優勝、世界大会SUPERBALL2019準優勝。足を回しまくる技やアクロバティックな技で会場全体を盛り上げる、とにかく派手なスタイルが持ち味。

GEN
1996年生まれ、岡山を拠点に、ジャグリングやけん玉のパフォーマーと共にASOBIBAというチームで活動。マニアックな細かい技を流れるように組み合わせるのが特長。

下馬評で言えばYoが圧倒するのではないかと思われていました。実際、大会での成績は一目瞭然ですし、やっている技の難易度もYoの方が断然高いです。おそらくYoとしてはこの後のバトルのことも考慮して、技をいくつか温存しておくプランだったのでしょう。それぐらいには差がある2人だと言えます。ただ、アメリカでの大会から帰国してすぐ迎えたJFFCということもあり、体が重そうに見えました。

一方でGENは、力の差を認識していたと思いますし、技の難易度だけで勝負するのは分が悪いと考えていたはずです。油断しているところを刺しに行き、このバトルで持ちネタを温存することなく出し尽くすつもりだったのでしょう。

それを踏まえてバトルを振り返ってみましょう。

GENの1stターン
狙いとしては、最初の大技で観客を一気に盛り上げて、できる限り自分への声援を増やそうとしたのでしょう。実際、綺麗に決まりました。その後はブレイクダンスを応用した見栄えの良い技でありながらミスのしにくい技をやりつつ、最後もきっちり締める。攻めの姿勢と手堅くまとめるやり方がうまくハマった良いターンだったと思います。相手の出方を見てからどの技で戦うかが決められないという点で、一般的に先攻は不利とされていますが、逆に先攻が会場の空気を作ってしまえば後攻はやりにくい状況に追い込まれます。バトルには駆け引きも必要だと言われる所以です。

Yoの1stターン
対するYoも会場の空気を作ろうと得意の回し技から入っていきましたが、大きなミスをしてしまいます。その後の座りに入るアクロバットも着地が綺麗にできず、失敗とまではいえないものの印象の良くない形になりました。最後の締めの技はとても綺麗に決まりました。タイミングよく挟むだけでも難しいですが、挟んだ後にピタッと空中で止まったところがすごいです。ミスこそあれ、綺麗に最後を締められるのはバトル経験の豊富さを感じさせます。ミスをすると30秒の感覚が狂ってしまい、技を決め切る前にブザーがなってしまうこともよくありますから、このリカバリー能力は素晴らしいです。

GENの2ndターン
このターンの流れはGENの良さが詰まっていました。例えば、座っている状態からボールを高く上げてクロスした足で挟む技。これ単体でも十分に大技なのですが、GENの強みは、流れるように技と技をつなげるところにあります。普通なら、この技は最後の締めの技として使われることが多く、技に入る時も普通のリフティングから丁寧に準備するのが一般的です。しかしGENは、技に入るときは足を回す技からつなげる形で入り、挟んだ後もそこで一区切りをつけるのではなく、その後の技に上手く繋げていきます。さらにそこでも終わることなく、最後の締めの技まで繋げます。GENの得意の流れだからこそここまで綺麗に仕上げられているのだと思いますが、会場の盛り上がりも相まってとても興奮しました。時間が余ったのは、審査員によっては減点対象なのかもしれませんが、1stターン同様、攻めの姿勢を十分に見せたターンなので、無理に攻めて減点ポイントを作ってしまうよりもあそこで終わらせて正解なのかもしれません。フリースタイラーによっては、余った時間にやる技を予め決めているので、そういった部分の準備があると尚良かったかもしれません。

Yoの2ndターン
1stターンでも見受けられましたが、アメリカからの帰国による時差ぼけなのか、所々、体が重そうに見えました。最初の座りに入る技や途中のこめかみに乗せる技、最後の締めの技など、繰り出す技の難易度は十分に高いのですが、GENの流れるような演技の後に見ると、それぞれの技の間にある動きで全体の流れが途切れているように見えてしまいます。一つ一つはすごいんだけど、それぞれの技に入る時に踏ん張っているような印象。Yoが好成績を残した時のパフォーマンスは「はい次!今度はこれ!」と次々に高難度の技が繰り出されますが、このバトルにおいては普段のYoのパフォーマンスを知っている人からすれば物足りなく感じたかもしれません。強者ゆえの苦悩の一つです。ただ、特に最初の技は難易度の高い技です。一つ一つを分解して見れば、Yoの強みが出ているのは間違いありません。

GENの3rdターン
このターンのGENはあまり良くなかったです。最初の回し技こそ大きなミスをせずにできましたが、その後はやや乱れてしまいます。それでもGENはできる限り流れを止めずに繋げるべく、全体的な動きは止めずにパフォーマンスを続けました。振り返って動画で見てみると実は結構乱れているのですが、現場の状況下で見た時の印象で言うと、そこまで乱れていなかったように思いました。ミスしてしまっても全体的な印象まで悪くしてしまわないように工夫することの重要性が分かります。これは人それぞれの性格やスタンスにも左右されますが、ミスをしたときにあからさまに落ち込むと観客の抱く印象は悪くなります。よっぽどその人が感情を表に出すキャラクターで、会場にそれが伝わるのであれば、ミスをした時のリアクションも観客の心を掴む要素の一つといえますが、どちらにせよ会場の雰囲気がマイナスになるような形にしてしまうのは良くありません。

Yoの3rdターン
YoとしてはGENの3rdターンをネガティブな印象を与えるパフォーマンスとして捉えたのでしょう。最初の回し技はYoにとってはそこまで難しくない技。ミスなくまとめさえすれば、このバトルは勝てると踏んでの選択だったと思います。その後の上半身を使った技も見栄えを良くする工夫は入れつつ、難しい技はしていません。そもそも上半身の技は他のジャンルに比べて種類が少なく、多くのフリースタイラーが同じような技の構成でパフォーマンスします。そのため多くの場合、上半身技をやるのは「上半身技もちゃんとできますよ」という、いわば予防線のような役割になりがちです。それに、このバトルでいえばGENは上半身技をしていません。僅差のバトルではこの差が審査員の加点に繋がることもあります。ミスが起こりにくく、相手がやっていないジャンルの技で手堅くまとめあげるターンにするという選択をして、最後も時間を余らせてのフィニッシュ。Yoとしては勝利を確信したのだと思います。

結果
2対1でGENの勝利となりました。会場のどよめきがすごかったのを覚えています。驚きつつも、会場全体を味方につけるほどの勢いに溢れたGENのパフォーマンスを考えれば、その場にいた観客の多くが納得の決着だったと思います。ただ、Yoの良さは分かりやすく技の一つ一つが強力で、それらを次々と展開させていくこと、このバトルにおいてもその良さはしっかりと出ていたと思います。例えば1stターンの3回転技、スカラアラウンドザワールドは世界基準で見慣れてしまっている人もいるかもしれませんが、最高難度の技です。やり直さずに決めているのは弛まぬ鍛錬の賜物です。普通に凄すぎる。加えて2ndターンのシッティングに入る技はYoのオリジナルで、シンプルにかっこいい。

では、なぜYoは負けたのか。

それは技の一つ一つが良くても、全体的なクオリティが損なわれてしまい「印象」が悪くなってしまったからでしょう。特に、時差ボケ?からくる調子の悪さは伝わってきましたし、それはYoの良さである派手な展開に、いわば水を差すようなものとなってしまっていました。Yoに期待していたのは、もちろん技に対するクリエイティビティもありますが、それよりも派手な展開力、とにかく動き続けて詰め込みまくる圧倒的なパワーかと思います。しかし、その良さが削がれてしまっていた。ミスが多かったというより、ミスの仕方が自らの良さをかき消すものになっていて良くなかった。このように考えると、個人的には1stターンの回し技のミスよりも、2ndターンの座りに入ってからのもたつきの方が大きなミスだったと感じます。なぜなら、回し技でミスをしても観客は「もう一回!」と求める気持ちになりますが、重たそうな動きは観ている側をなんとなく躊躇させてしまうからです。そうなると「いつもの派手な動きは出来るのかな…?」と、いわばマイナスからゼロに戻すような作業になってしまいます。これがつまり「印象」によって全体的なクオリティが損なわれ、勝敗が決したということです。

念のため改めて申し上げますが、あくまでその瞬間における「印象」で決まったということです。動画を見返せば、実はYoの繰り出す技は凄まじいものが多いこと、実はGENにもミスが目立っていたことなどが分かります。だから、今思えばYoの勝ちだったというわけです。審査員にとって、どこまでフリースタイラーのことを知っておくべきかは難しいところではありますが、Yoのことをよく知ってしまっていたからこそ期待値が高くなって、何気ないミスでさえも全体に影響が出てしまうものとして写ってしまった。Yoからしてみれば面白くないかもしれませんが、こういう一瞬の差で下剋上が起きるのがバトルの醍醐味でもあるのです。

実は、同じように「印象」で勝敗が分かれたバトルは過去にもいくつかあります。後から振り返れば、こっちの方が難しい技をしているし、ミスも少ない。だけど、その場その瞬間での印象や湧き起こった感情によって、勝敗が決まったというバトルです。

JFFC 2015 Ko-suke vs KU-TA

Ko-sukeさんは日本ランキングで1位に5年?6年?とにかく長い間立ち続けている国内最強フリースタイラーで、今年のJFFCでも「打倒Ko-suke」を目論むフリースタイラーが多いかと思います(6/28追記 今年はまさかのジャッジとしての参加ということで、打倒Ko-sukeを目論んでいたフリースタイラーにとっては残念なニュースかもしれません)。対するKU-TAさんは、ブレイクダンスとフリースタイルフットボールを融合させたスタイルで、技の発想から立ち振る舞いに至るまでとにかくかっこいいです。ただ、BEST8のバトルで足が攣ってしまい、このバトルでも苦しそうな表情を見せています。余談ですが、この年はKU-TAさんにとって社会人1年目ということもあり、なかなか思うように練習に取り組めない中での参戦だったそうです。

結果的には2-1でKU-TAさんが勝利し、その後の決勝ではCanataさんとの師弟対決を制し、初の全国大会優勝となりました。

こちらのバトルもYo vs GENと同様にその瞬間における印象が決め手となりました。向かって左側にいる審査員であるベルギーのフリースタイラーSofiane Bencokが大会終了直後に「あの瞬間にはKU-TAを選んだけど、今選ぶとしたらKo-sukeかな」と言ったそうで、ポイントは「決めどころ」だったそう。Ko-sukeさんが繰り出す技は確かに難易度が高いのかもしれないが、それが詰め込められすぎていて、結局のところ何が凄かったのかが分からなかった。一方でKU-TAさんは、ミスが目立っていたのは確かだが、どこで沸かせようとしているのかが分かりやすく、しかもそれがしっかり決まっていた。そういう違いをもとにKU-TAさんに旗を上げたのだそう。仮にこのバトルの結果が違うものになっていたとしたら、KU-TAさんの優勝はなかったですし、もしかしたらこの敗北がきっかけでKo-sukeさんのバトルに対する姿勢や考え方に影響があり、その後の躍進につながったのかもしれないと思うと、審査員の仕事は「人生」を左右すると言っても過言ではないでしょう。大変な仕事です。

最後にもう一つ、今度は世界大会のバトルを通じて、これまでとは異なる見方を感じていただきたいと思います。

SUPERBALL 2015 Gunther VS Tokura

Tokuraさんは言わずと知れた日本を代表するフリースタイラーで、おそらくこの人をきっかけにフリースタイルフットボールを知った人が一番多いのではないでしょうか。対するGuntherはTHE オールラウンダーで、どのジャンルの技も高難度でこなすタイプ。世界大会RedBull Street Style 2012 World Finalで3位になった実力者です。

Tokuraさんはダイナミックかつスタイリッシュに技を繰り出しながらバク宙などのアクロバティックな技も組み込むのが特長で、このバトルもその良さが存分に発揮されていたように思えます。対するGuntherもオールラウンドにそつなくこなす自らの良さを着実に発揮したのではないでしょうか。とても審査に困る接戦だと思いますが、結果はGuntherの勝利。大会後、Tokuraさんは審査員に理由を聞いたようで、そのことについてInstagramにこのような投稿をしていました。

YOU NEED UPPER. つまり、上半身技が必要だった、と。ちなみにこの大会の3年後に、世界フリースタイルフットボール協会(WFFA)は、フリースタイルフットボールの大会における審査基準を明確に設定しました。そこでは明確に「オールラウンド」であることがバトルで勝つために必要な事であると示されたのです。もちろん点数化されるようになったわけではないため、程度によるところがあるとは思います。ただ、何か突出して得意なジャンルを有するよりも、あらゆるジャンルを満遍なくこなせる事の方が大会においては価値が高いということ、少なくとも先のTokura vs GuntherのバトルにおいてTokuraさんが勝つことはできないということになりました。この、審査基準の明文化については、Ko-sukeさんが日本フリースタイルフットボール連盟(JF3)のコラムで話しています。 気になる方は読んでみてください。非常に示唆的で、個人的にも同意する内容になっています。

まとめ

正解は誰にも分かりません。ただ、大会はあくまで観客の目の前でパフォーマンスをするという構図のもと行われているということは無視してはならないでしょう。その観客とはつまり、何かしらの価値を(結果的に見出せなかったとしても)見出そうとしてくれる人であり、その後のファンやサポーターになりうる人のことです。その一人一人の観客の内面でその瞬間に沸き起こった感情こそ、リアルだと思っています。点数に還元できない要素を多分に含んでいるからこそ、その瞬間における感情が大きなウェイトを占めるのではないでしょうか。感情を度外視して審査するなら、バトルしているフリースタイラーたちも技の綺麗さや繋げ方、それだけでなく着る服や髪型、立ち振る舞いといった「見栄え」とか気にしなくていいわけです。それでも気にするというのは、やはりそういった要素がフリースタイルフットボールには存在し、重要なものであると思っていることの証でしょう。

つまり、フリースタイルフットボールのバトルは、技の応酬である以上に、どちらが人の感情にアプローチできたかを競い合う勝負だと言えます。その感情が人によっては、難易度の高さで、派手さで、あるいはミスの少なさやオシャレさで動かされるわけです。そこにそのフリースタイラーの色が出てくるのでしょう。技ではなく、感情の動かし方こそがその人のスタイルです。

フリースタイルフットボールの大会は、フリースタイルフットボールのことを知らない人が観ても楽しめます。技なんて知らなくても、自分の心に響いたかどうかが重要ですから。もちろん、技を知っていた方がより楽しめるでしょう。しかし、どのフリースタイラーも最初は素人であり、技のことなんて今知っていることの100分の1どころかそれ以下しか知らなかったはずです。それでもフリースタイルフットボールを始めたのは、頭で理解したからではなくて心を動かされたからであって、そう考えるとスタートラインは同じだったはずです。

今は色んなコンテンツが錯綜していて、なかなかニュータイプのスポーツやカルチャーは盛り上がりを見せることが難しい状況です。でも、ボールひとつでここまで人によって異なる色が出るスポーツは他に無いのではないでしょうか。その中で誰か一人、推しのフリースタイラーを見つけて、その人に会いに行くために会場に行くというのも面白いかもしれません。そして、勇気のある方は実際に声をかけてみてください。フリースタイラーも人間なので、人見知りの人がいるかもしれませんが(私がそう)、自分のパフォーマンスで心を動かされたと言われて嫌がる人はいません。昨今、オンラインでのつながりが多くなっていますが、直接話すことで得られる安心感や高揚感はかけがえのないものです。特に、自分を認めてくれる言葉というのは直接言われてこそ強く響き、心を満たしてくれます。冒頭で述べた通り、今大会はYOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVALとのコラボ開催です。フリースタイルフットボール以外にも自分の心を動かす何かがあるに違いありません。ぜひ、現地で観戦して大いに盛り上がりましょう!

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