アメリカの会社のトレーニングに参加して、あらためて、日本社会のハイコンテキストっぷりを実感した

またまたトレーニングに行ってきた。今度は東京で、4日間のみ。ベトナムに送ってくれたエージェント主催の、シーズン開始前のキックオフトレーニング。トレーニング重視のエージェントで、どんなにベテランでも参加必死なので、所属ガイド全員が揃う場。

エージェントのvaluesを再確認し、スキルやテクニックを学ぶと同時に、チームとしての絆を強める場でもある。日本のガイドと東京オフィスだけではなく、タイ、モンゴル、ボストンからのマネージメントチームも参加。

今回トレーニングにあたって、あらためてマニュアルを読み返してみて、その英語のシンプルさにびっくり。でも考えてみたら当然で、44カ国に展開しているこのエージェントでは、おそらく英語ネイティブがマジョリティではないし、それぞれの国の文化も社会的文脈も異なる。なので、日本的感覚だと「これ、あえて書く必要ある?」っていうわかりきったことであってもあえて書いてあるし、とてもシンプルでわかりやすくかつ具体的に書かれてある。どんな背景の人が読んでも、それを読めば、かならず理解できるように、ということが前提にされている。

グローバル企業ってそういうことなんだなーって思いつつ、いざトレーニングに臨んでみると、あらためて日本ってハイコンテキストの国なんだな、と思う。

特に日本的だなーと思うのが、たとえば、あるガイドさんがシェアしてくれた、こういう失敗談。

お客さんのなかに、2人組の女性がいた。食事もツアー中もいつでもどこでも一緒。2人は2人で、いつも楽しそうで、誰か他の人に入ってきて欲しくなさそうだった。だから、ガイドである彼女は、あえてそこに入っていこうとしなかった。

で、ツアーが終わり、お客さんからのアンケートを見てみると、その2人からの、彼女への不満がびっちり。

「⚪︎⚪︎は私たちのことを気にしてくれなかった」「いつも無視されていた」などなど。要は、本当はその2人も、ガイドの彼女や、他のお客さんたちと仲良くしたかった、ということ。

彼女のミスは、「楽しそう」「他の人に入ってきて欲しくなさそうだった」と、勝手に決めつけたこと。

正しい対応は、ツアーの早い段階から、その2人に積極的に関わること。そして、直接、その2人が何を望んでいるか、確かめること。そのあとで、2人が2人の時間を楽しみたかったら尊重してあげればいいし、他の人たちともっと関わりたかったら、それを手助けしてあげればいい。

肝心なのは、直接確かめたことではないことを、思い込んだり、決めつけたり、しないこと。もちろん、本音を話してもらえるように、信頼関係を築くのが大前提となる。

日本社会では空気を読むのが大事って、もうこれ本当に本当で、知らず知らずのうちに、日本社会で生きる多くの人に、頭のてっぺんからつまさきまで、染み込んじゃってる感じ。

でも、それが社会的に成立していたのって、日本の多くの人が、歴史や文化、生活習慣をかなり高いレベルで共有していて、コミュニケーションの前提に、どこにも書かれてはいないけれど、がっつり存在する、共通のバックグラウンドがどかんとあるから。

それは、本当に細かいレベルでの気遣い、日本文化の繊細さにもつながるけれど、他者への無言の圧力にもなる。ここを共有できないんだったら、内側の人じゃない、というような。

ここらへんはもともと個人的な興味の関心でもあったけれど、これからは仕事として必須の視点でもあるので、気をつけていくべし。

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