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クレカ会社による検閲を受け入れるべきか

「マンガ図書館Z」がクレカ発行元から特定の作品の配信停止を求められたとのこと。以下は、赤松健参議院議員のツイート。

類似の事案は、成人向けコンテンツの世界で数年前にPornhubがVISAやMasterから取引を停止され、問題のある動画の大量削除に至った話が記憶に新しい。これはある程度仕方ないところもあったが、違法性のない動画も大量に削除されてしまい、動画を提供しているセックスワーカー側が大きな被害を被った。

また、さらに最近の問題になるが、DLsiteやDMMも同様の取り扱いをされてしまい、JCB以外のクレカが使えない状態になった。DLsiteは成人向け作品で、言葉の言い換えを行ったとのことだ。もちろん、DLsiteは国内で違法な作品は取り扱っておらず、DLsiteが販売する作品は、たとえば紙の本による出版であれば全く問題ない(はず)。

今度は、マンガ図書館Zである。こちらも、ターゲットは成人向けコンテンツのようだ。X(Twitter)を検索してみた範囲では、「レイプ」など50のキーワードを含む書名のマンガが削除されたらしい。おそらく、「THE レイプマン」のような作品が引っかかったと思われる。

さて、国際ブランドのクレカ発行元がこのような要求をしてくる背景には、日本国内で問題となるキーワードを含む作品の決済を行うと、日本以外の国で違法とされる可能性があるからのようだ。つまり、たとえばマンガ図書館Zで「THE レイプマン」を購入すると、米国で違法となり、クレカ発行元が処罰される、というケースが考えられる。クレカ発行元はそれを恐れて、マンガ図書館Zに対して作品削除の要請をしてきた。おそらく、こういうことだろう。

クレカ発行元の行動は理解できる。マンガ図書館Zの対応はいくつか選択肢があった。今回は作品の削除を選択したようだが、ここはクレカ発行元の方を切ることもできる。

クレカ発行元の行動は理解できるが、しかしこれは一種の検閲である。国外基準による検閲を受け入れるべきかはよく検討する必要があろう。米国の基準で日本の作品がストアから削除されるという事態を受け入れるべきだろうか。日本国内で違法性のない作品購入の決済をクレカ発行元が断る選択肢を残すべきかについても、議論の余地がある。今回のクレカ発行元からマンガ図書館Zに対する削除要請は優越的地位の濫用であり、独占禁止法違反ではないか。独禁法違反でないとしても、社会のインフラを構成する商品・サービス(ここではクレカ決済)を提供する企業に対しては、それなりの合理性を求めることは可能だ。それに反する企業に対しては、日本国内での営業を法的に禁止するくらいの"劇薬"を用意しても、理屈の上では問題ないはず。

とりあえず、JCBはVISAやMasterに追随していない(する必要がない)ため、JCBブランドのクレカに乗り換えれば、一応クレカ決済は継続できる。しかし、他のブランドの選択肢がないと、何かあったときに拙い。だから、「JCBがあるから、大丈夫だ」と言い切ることはできない。

メディアプラットフォームの検閲も検討すべき

同様に、新型コロナの感染が拡大した頃から極端に厳しくなったYouTubeやFacebookでの検閲も、いい加減、放置せずに問題としていくべきだろう。「誤情報だから削除する」という理屈をいつまで受け入れるのか。情報の中身の真偽の判断は、受け取った者が行うのが基本である。プラットフォーム側が行うことを許してはいけない。

YouTubeにしてもFacebookにしても、一企業が公開しているサービスではあるが、巨大なメディアとして機能しており、一定の公共性を保持していると考えられる。そういったプラットフォームに対しては、公共に資する運営をある程度は強制できると考えるべきであり、まずはプラットフォーム側が考える"正解"に反する内容を含む動画を問答無用で削除することを禁止すべきだろう。

以上、2つの問題はリベラリズムを信奉する人たちにとって、非常に重要な課題である。ぜひ考えていただきたい。


Twitterに書くと、フォロワーがかなり減りそうな内容なので、noteに書くことにした。

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