相互理解のための心構え
最近、TV番組の『パリピ孔明』を楽しみに観ています。実は、1カ月ぐらい前に、ずっと気になっていた『三国志』を読もう!と思い立ち調べましたが、小説を読破する根性が今は無いなーと思い、まずは漫画から読み始めていました。浅い知識ではありますが、当時の武将たちが武力のみならず知略を巡らして戦いを続けていく様は、実際は多くの命が奪われる痛ましい歴史ではありながら、さまざまな策が謀られるのは、読んでいて痛快です。現代はどうでしょう?ヨーロッパや中東で戦争が起きています。今の時代、知略を巡らすというよりも、兵器を使って一瞬にして多くの命を奪ってしまいます。とても恐ろしいことで心が痛みます。
家族や知人がまさにその最中にいる、イスラエル人で世界的に著名な歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリ教授のインタビューを報道番組で聞きました。「私たちは被害者か加害者かの二者択一で考えがちだが、歴史においては被害者と加害者が同じであることがほとんどです。どちらかが『絶対的な正義』で片方が『絶対的な悪』だと思い込まないようにすべきです。『絶対的な正義』を求める人は必然的に争いへ導かれてしまいます。なぜなら、どんな譲歩もできなくなってしまうからです」と言われています。
こういったことは、何も今の戦争状態に限ったことではなく、私たちの日常にもあふれていますよね。日常のコミュニケーションで考えてみたいと思います。自分(自分たち)と違うと思うと理解しようとする努力をせずに二者択一で「正しい」「間違い」と決めつけて、一方的に自分の意見を押しつけたり、分かっていないと決めつけしまったり、ということもよくあることです。コミュニケーションを取ることすら拒否してしまったりします。
当たり前ですが、誰一人同じ人はいません。同じ環境にいると影響はされますが、人は皆違います。“違いがあること”を当たり前と思うと、コミュニケーションにおいてできることがたくさんあります。相手が“間違っている”と思うと、相手を理解しようとするのではなく、自分を正当化することに終始してしまいます。
コミュニケーションはよくキャッチボールに例えられますが、キャッチボールは相手がとりやすいボールを投げますよね。受け取る側もボールを受け取る準備をしています。相手に理解してもらいたい、理解しようと思う、これがコミュニケーションの心構えです。
強みの講座を受けてくださった方が、いつも意見が食い違って、なぜ分からないんだろうと思っていた身近な人の強みが分かったことで、「強みがこれだけ違うから、考えがかみ合わないんだと思った。相手を知るって大切ですね」とコメントをくださったことがあります。“間違っている”と思うと、相手を理解することを拒否してしまいます。間違っていると一方的にわかりあうことを放棄します。最近、職場で他者の考えや上司のアドバイスさえ聞こうとしない、といった言葉を耳にすることが何度かありました。
日々のコミュニケーションから自分を理解してもらう、他者を理解しようとする心構えがあると、私たちのちょっとした身の回りからでも平和な環境を作っていけると考えます。
また、ハラリ教授は、「自分の家族や友人が深く影響の中にあって、ひどい苦しみを与え続けている問題であるため、現時点では客観的になることができません。この“苦しみの海”にのまれている人々は他人の苦しみと共感することができなくなってしまうのです。それゆえに、未来を左右するのは第三者の意見です」とも。
当事者ではない第三者として、どちらが正しくて、どちらかが悪と短絡的に決めつけず、何が起きているのか、その背景に何があるのかを知り客観的にしっかり考える必要性を感じます。現在、世界は当たり前にあると思っていた『平和』が脅かされています。他人事ではありません。だからこそ、今何が起きているのかを多角的な視点で理解することに努めたいと思います。
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