いたずらに対する正解
僕は法人内の学童保育に勤めている。学童保育とは小学生を対象とし、共働き等で放課後一人になってしまう子どもたちを一時的に預かる場所だ。
そこで最近ちょっとした問題がおきている。
頻繁に起こるトイレでの悪戯だ。
具体的には、トイレットペーパーをロールごと便器に突っ込む。手を洗う部分にトイレットペーパーを詰めて溢れさせる。掃除用のブラシが窓から投げ捨てられている。などだ。
最近頻発するため、犯人探しをする意図を前提として伝え、このように子ども達に話をした。
やった奴も自分がしてはいけない事をしているのはわかっているはず。それでもするのが仲間内のノリだったり、大人を困らせてやろうとしてやったなら別に大した問題じゃない。
でももし他の理由でしているのなら、僕はそいつが心配だ。だからもしも見かけたりしても大ごとにはせずに、そっと大人に教えてほしい。
と。嘘は言ってないが、打算的な発言ではあった。
ひとつ目は、仲間内のノリで楽しんでやっている可能性についての牽制。僕らはしっかり見ているぞ。と集団の前で話すことで、これ以上止めておこう。と理性に訴えようとした。
ふたつ目は、こちらが怒っていない。心配だ。という問いかけに対して本当のことを打ち明けてくれる可能性に賭けてみた。
結果として、その呼びかけは心や理性には響かなかったのだろう。今現在もトイレを故意的に荒らすイベントは続いている。
もちろん同一人物が繰り返していると断定している訳ではない。不意の事故が続いているだけかも知れないし、イライラの頂点の矛先がそこだったのかも知れない。まぁなんにせよ仮に同じ子どもがそれを繰り返しているなら、本当にそいつが心配だ。
僕が学童期の頃もむしゃくしゃして人を殴ったり、何の気なしに物を壊したりしてた時期があった。自分と照らし合わせるのは良くないことだが、もし当時の僕の精神状態に近い子どもがいるのなら、なんで気付いてあげられないのかと悔しい思いになる。あの頃の僕ははっきり言って荒んでいた。
試し行動といって、この人間はどこまでのことを許容してくれるのか。と試す行為がある。入りたてのアルバイトがけちょんけちょんにさせるのは正にそれだ。子どもの中でボーダーラインを引く行為だ。
それに近いことをしているのなら僕たちはこの数ヶ月間。もしくは数年間何をしていたのだろう。未だに子ども達に試させているのか。
そもそも僕のみんなへの問いかけは正解だったのだろうか。
もやもやが残るが、関係ない子には冗談ぽくなんなんやろねぇ〜。って話したりする。いつでも誰でもなんでも話せるように。
学校も家庭も中々失敗出来ない世の中ゆえに、せめて学童だけは大いに失敗してほしい。その為の土壌を作っていきたい。チェケラ。
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