【歳末お悩み相談ウィーク】年齢を偽る話

今週一週間は「歳末お悩み相談ウィーク〜今年の悩み、今年のうちに〜」と題して、皆さんから事前に頂いたお悩みに回答していきます。

いい感じの間柄になっている男性に同じ歳(30歳)だと言っていますが本当は40歳です。この先告白されるのが怖いです。どうしたらいいですか。ちなみに普段はナンパされた時に40歳だと言うと25歳くらいだと思ったのに、と言われます。

まずは祝杯をあげましょう。相談者のあなたは40歳の女性で、ナンパされるほど魅力的で、25歳と思われるほど若々しいのです。40歳らしい40歳も素敵ですが、25歳みたいな40歳も素敵です。というか、僕に相談をしてきてくれる時点で、あなたは心が美しく、素敵な女性にちがいありません。「口説いてんのか」というくらいに褒めてしまいましたが、口説いてはいません。

もしあなたがこの悩みを誰かに打ち明けたら、「贅沢な悩みだな」などと心無い言葉をぶつけられるかもしれません。もちろん、そんな誰かは無視しましょう。はたから見て贅沢であろうと、本人にとっては切実な悩みです。トップグラビアアイドルの篠崎愛は、「何を着てもセクシーになってしまう」と悩んでいるそうです。

あなたが本気の交際を望む場合は、いますぐ、彼が告白する前に真実を伝えたほうがいいでしょう。後々たいへんなことになりかねません。

ではここで、腹痛前提でオイスターバーに行くような、つねに最悪のケースを想定して陰鬱な毎日を送っている僕が、あなたの最悪の未来を想像してみます。

あなたは真実を隠したままその男性と交際をはじめ、交際初期の興奮が収まっていくと同時に穏やかな親愛の情が大きくなっていき、結婚を決意します。政府機関に対しては虚偽を貫けませんので、あなたは婚姻届に正しい生年を書きます。それを目にした彼が憤慨すればまだいいのですが、「もう引き返せない」と覚悟した彼は見て見ぬ振りをしてハンコを押します。それから最期まで、彼はあなたのことを「かつて年齢を偽った女」として扱い、胸にしこりを残したままで過ごします。心優しい彼は、けしてその思いを口にしません。ただ、二人で回転寿司に行って、それぞれ平らげた枚数を報告するときなどに、「この数はサバ読んでないよな?」などと内心で思うのです。そのときあなたがサバ寿司を食べていたという偶然が重なって、「どんだけサバが好きなんだよ」とツッコミたくなるのを必死で我慢することでしょう。

どうですか。最悪でしょう。自分で考えて憂鬱になってきました。あと、あなたがサバアレルギーをお持ちでしたらごめんなさい。悪意はないのです。ただ、思いついたので書きたかっただけなんです。

一方、あなたがそこまで真剣ではない、つまりは「数ヶ月間楽しく過ごせればオッケー」くらいのお気持ちなら別です。年齢はあなたの本質ではないのですから、騙しきってもいいと思います。もし彼にバレて追及されたら、「いや、二進法では30だよ」などと、わけのわからないことを言って煙に巻きましょう。相手が理系の場合は、「日本ではもともと数え歳の文化で、誕生日は重視されてなくて」などと、人文学的にごまかしましょう。

どちらの場合も、真実を告白することをおすすめしたいです。なかなかの気まずさが延々とつづくよりも、最初に「ドン!」と、巨大な頭金のように気まずさを処理しておくほうが長期的に見ればお得だと思います。そのほうが、毎月の返済は少なくて済みます。

篠崎愛、サバ寿司、二進法にマンションのローンと、様々な例を引っ張り出して回答してきました。いかがでしたでしょうか。すこしでもあなたの気がラクになっていれば幸いです。

というわけで今週一週間、「お前は何様なんだよ」と自分で自分の膝を叩きながら皆さんのお悩みに回答してきました。すべてに回答することはできませんでしたが、実家が神社である僕が神に解決を祈っておきます。

次回更新は来年1月7日月曜日、正午です。
皆さん、肩のこらない年末年始をお過ごしください。

励みになります。