【歳末お悩み相談ウィーク】むなしさと向き不向きの話

メリークリスマス(当日)。朝起きても枕元にプレゼントはなく、極寒のなか泣く泣くゴミを出しに行った森です。大人はつらいです。

今週一週間は「歳末お悩み相談ウィーク〜今年の悩み、今年のうちに〜」と題して、皆さんから事前に頂いたお悩みに回答していきます。

35歳専業主婦で3歳と1歳の子どもがいます。夫の仕事の都合でアメリカに引っ越し、仕事は辞めました。育児に専念していますが、自分が空っぽで辛いです。家事や育児に追われて自分の時間がなく、会える友達もおらず、夫が帰ってきてもバタバタして2人でゆっくり話す時間はありません。1日が終わる時に今日も何もしなかったという虚しさに襲われます。例えば子どものことが落ち着いた時のために資格を取ろうかとも思うのですが、こんな歳になって何が向いているのか、何が出来るのかよく分からず始められません。 むなしさから脱却する方法を知りたいです。または何か新しいことを始めるのはどんな気持ちを持てばいいのか教えてください。

むなしさから脱却する方法ということですが、おそらく存在しないでしょう。達成可能なのは「脱却」ではなく、「一時的な忘却」だと思います。一時的な忘却を繰り返して、むなしさを飼いならしていくのが現実的な対処ではないでしょうか。生きている人間は全員むなしいはずです。

一段落目からカマしてしまいました。すいません。もうひとカマしさせてもらうなら、忘却のためには「なにかの最中(さいちゅう)にいる」ことが必要だと思います。掃除している最中、運転している最中、ゲームしている最中…。ひとつの行為に集中している最中は、むなしさは影を潜めてくれます。余談ですが、僕はホットケーキを延々と何枚も焼くのが好きで、これを「調理する写経」と呼んでいます。

そう考えると、「資格の勉強をする」というのはうってつけの「最中」かもしれません。むなしさ対策どころか、将来の仕事にもつながるのですから。

では、どんな資格をとるか。おっしゃる通り、この選択はかなりむずかしいです。選択肢が無数にあるぶん、最高のひとつを選ばなければというプレッシャーもあるでしょう。「人間は自由という刑に処されている」とサルトルは言いましたが、彼はきっと、ユーキャンの資格講座一覧を眺めていたのでしょう。

「自分には何が向いているか」「何ができるか」なんてことは、なかなか本人にはわからないものです。鏡がなければ、人は自分の顔すら見られません。親しい友人やご家族に、あなたの特性をたずねてみるのはいかがでしょうか。もしくは、あなたが子どもの頃に得意だったこと・周りに褒められたことをやってみてもいいかもしれません。ある有名なアナウンサーは、国語の授業中に朗読を褒められたことがきっかけでその仕事に興味を持ったといいます。僕自身も小学生時代、同級生たちが苦しむなか易易と作文を仕上げ、その出来を先生に褒められていました。

仕事であれなんであれ、新しいことを始めるにはかなりのエネルギーが必要です。これは、農耕・定住生活を選んだ人類全体のせいです(おそらく)。「やりたい」という思いがとことん強ければエネルギーは湧いてくるでしょうが、そううまくはいかないこともあります。不安だって湧いてきます。そんなときには、「それを始める自分を好きになる」ことが、あなたの背中を押してくれるでしょう。どうしても自分を好きになれないなら、やらないほうがいい場合もあります。

何かを学ぼうとする時点で、あなたは「空っぽ」なんかではないと僕は思います。

次回更新は12月26日水曜日、正午です。
引き続き、こちらにてお悩みを募集しております。
能力と時間の都合で、すべてには答えられないことをご了承ください。ごめんなさい。

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