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BOOK REVIEW vol.002 わたしを支えるもの すーちゃんの人生

繊細な“心の揺れ”に共感。
無理なく前を向ける、心のお薬のような一冊。


初めて手に取った、益田ミリさんの作品。

こちらの『すーちゃんシリーズ』は
シリーズ累計86万部のベストセラー。

「どんなお話なのかな?(ドキドキ)」

ほんの少し気負っていたけれど、
そんなの必要なかったなと、
読み始めて、すぐに分かった。

本の中には、
ふぅっと肩の力を抜いて溶け込むことができる、
“すーちゃんの人生”が広がっていました。

主人公は、40歳になったばかりの
一人暮らしの女性。
“すーちゃん”こと、森本好子さん。

物語の中では、すーちゃんとその家族、
職場や周りの人たちの日常が
漫画で描かれている。

私もすーちゃんと同年代。
40代になると現実味を帯び始める、
親の介護や病気、大切な人との別れ…。

すーちゃんの人生を
そっと覗かせてもらいながら
“私だったらどうするだろう?”
そう自分にも問いつつ
作品を読み進めていきました。

「大丈夫」って言わなくていいの。
あとでつらくなるから、言わなくていいのよ。

『わたしを支えるもの すーちゃんの人生』本文より引用

物語を読み進める中で
つい涙してしまった一節。

悲しい出来事があった、すーちゃんに
職場の方が掛けられた言葉です。

大人になればなるほど
周りに気を遣えるようになって
心配もかけたくなくて
本当は大丈夫じゃないのに
「もう大丈夫」と言ってしまう。

この一節を読んだ時、
“もう大人だから”と強がって
何重にも着込んでいた心の鎧を
少し脱がせてもらえたような…
そんな気がしました。


生きていると、いろんなことがある。
予想もしないことだって起こる。
(予想外のことの方が多いのかも)

その出来事をどう受け入れ、
“心の揺れ”とどう向き合って、
前に進んでいくのか…

そしてそんな時、
自分は誰の支えになれるのか、
誰が自分の支えになってくれるのか、、
深く考えさせられました。

その答えはきっと
人の数だけあるはずだけれど…

私は、すーちゃんや、
その友人のさわ子さんの
人生との向き合い方にとても共感しました。

悩んだり、落ち込んだり、
葛藤も乗り越えた後に、
ふたりが選んだ道は、
地に足がついていて、
無理のない前向きさがあるのです。

益田ミリさんの作品を読んで、
とても印象的だったのは、
日常の中に潜む、
繊細な“心の揺れ”を
上手に掬い上げて描かれているということ。

その心の揺れは、
私自身にも、どこか身に覚えがあります。

益田さんの作品を読み、
少し傷になっていた過去が
癒されたような感覚になりました。

物語は、漫画で綴られていて、
コマ割りも絵も、とてもシンプル。
シンプルだけれど
描かれていることは深い。
深いけれど、
重すぎず、軽すぎない。

少女漫画のような
ドラマチックな展開はなく、
過度な表現もない。

一見、淡々と
話が進んでいるようにも見えるけれど、
それが私たちの実生活に近くて、
とても共感しやすい。

一コマ一コマが
すーちゃんの日常であり、
その積み重ねが人生であること。

その人生に、
ほっこりしたり、
切なくなったりしながら、
最後のページまで、
一気に読み進めることができます。

どこかギザギザだった心が
この物語を読み終わる頃には
まあるくなっていて
まるで心のお薬のような作品。

心が疲れた時に、
人生に少し迷った時に、
おすすめの一冊です。
(もちろん同年代の方にも!)

間取りが好きなので・・・

ちなみに・・・
個人的な趣味なのですが、
本編に入る前に
すーちゃんの部屋の間取り図が
載っているのも必見。

間取り好きとしては
「ふむふむ」と
生活動線などを、
一通りチェックしちゃいましたw

(あとがき)益田ミリさんの本との出会い

ある日の午後、次の予定まで少し時間が空いたので、本屋さんに立ち寄ることに。入口から順番に書棚をぐるりと見て歩いていた時、新刊コーナーで、ふと目に留まったのが益田ミリさんの本でした(今回のものとはまた別の本)。

手に取ってパラパラとページをめくった時「あ、読みやすくておもしろそう」と感じた第一印象。益田さんのお名前は存じ上げていたけれど、今までご著書を読んだことはなく「他にどんなお話を書かれているのかなぁ?」と気になりながらも、約束の時間が迫っていたので、そのまま本屋さんを後にすることに。

その翌日、本のことはすっかり忘れ、ぼんやりとYouTube動画を見ていた時のこと。YouTuberさんへの「好きな本は?」という質問の答えが、益田ミリさんの『すーちゃんシリーズ』だったのです。「あっ…!(昨日の!)」と、頭の中にビックリマークが3つくらい浮かんだ私は、すぐさまAmazonでシリーズの最新刊を購入!

2日連続でお名前を見聞きした、益田ミリさん。ご縁があるもの、今の私に必要なものや人とは、ちゃんと出会えるから不思議。まるで「おーい、気づいてよ!」って言われているかのようで、面白い。

今回は、そんなご縁でキャッチできた本をご紹介しました。この作品とのご縁が、またどなたか必要な方へと繋がりますように。

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