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「おかえりなさい」と言いたかった日。

「さっき玄関で見た時の顔さ、
“お母さんの顔”だったからビックリしたよ」

ある夜、仕事から帰ってきた夫が
遅めの夕食を食べながら言った。

「え? お母さん?」

唐突に出た母の話題に驚いて思わず聞き返すと

「そう。お母さん。」

と夫は返事をして、間をおかずにこうも言った。

「お母さん、遊びに来てたのかもね」

一瞬、頭の中にハテナマークが浮かんだけど
夫が言いたいことはすぐに分かった。

2年前に亡くなった、
私の母のことを言っているのだと。

「今の顔はどう?今もまだお母さん?」

わざと口角を上げて
笑顔を作りながら
夫の方に顔を向けて尋ねると

「今はもう違う」

と、あっさりとした返事。

子どもの頃から
母とは顔がそっくりだと言われ続け、
学校の三者面談でも
「あら〜、誰のお母さんかすぐに分かったわ!」
と何人もの先生が言っていたので
母とは元々顔立ちが似ているんだと思うけど、

私と毎日、顔を合わせている夫が
あえて“お母さんの顔だった”と言うのだから
信憑性があるし、きっとそうなんだろう。

そして心に残ったのは
「遊びに来てたのかもね」という言葉。

その時は「そうかもね〜」と流したのだけれど
本当はその日、思い当たる出来事があった。
(怖がるかな?と思って、夫には言わなかったw)

その日の午前中、
いつも通りリビングに居た時のこと。

左目の視界の端に何となく違和感あった。
最初は気のせいかな?と思ったけど
数分経ってもその違和感は消えず、
「何だろう?」と思って左側を見ると・・・

リビングと玄関を繋ぐ廊下の電球が
ひとつ点滅していることが分かった。
それも、ゆーっくり。

チカッチカッという早い点滅ではなく、
5〜7秒くらいの間をあけて
点いたり消えたり。

「切れたのかな?それともまた点くの?」
と、少し不安になるような間だった。

この“妙な間隔”で起こる点滅が
視界に入るとそりゃ気になる。

しばらく気にして見ていたら
大体1分ほどで点滅は終わり、
また何事もなかったかのように
電球はいつも通り点灯した。

「あれは何だったんだろう??」
そんな疑問が心の端っこに残っていたから
母の話と電球の点滅が結びついたのかもしれない。

怖い話をしたいわけでもないし、
スピリチュアルな方向に
話を持っていきたいわけでもなく、
単に電球の寿命が近いと言われたら
それまでなんだけど(笑)

ただ、その日の夜に夫から
「お母さん、遊びに来てたのかもね」
と言われて、私は純粋に嬉しかったし、
「そうだといいなぁ」と思った。

ちなみに夫は普段、
私に巻き込まれて話すことはあっても
自分からスピ寄り(?)な話はしないので、
結構めずらしい。

太陽獅子座期間に入り、
母の誕生日も8月の半ばだったので
この時期になると
より一層、母を思い出します。

よく着ていたサマーセーター、
母が運転する軽トラックで見に行った海王丸
汗をかきながら素麺を茹でる後ろ姿。

どれもこれも懐かしい。

電球の点滅も
お母さんの「ただいま!」の
合図だったらいいのにな。

お盆には少し早いけど
お盆とか関係なく、いつでも来てほしい。
お母さん、いつでもウェルカムです。

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