イラストレーターの宣伝・営業術04 《イラ通式 マンダラ・チャートで自分軸を見つけよう》
前回はーー
「5つの武器発見ノート」を使って、
ご自身の過去に遡っていただきーー
さらには、魂の奥深くを探ってーー
12項目に分けて書き出していただきました。
今回はーー
この書き出した十二項目に関する内容を、「イラ通式 マンダラ・チャート」にまとめていただきます。
さらに、あなた自身の魂を俯瞰して客観的に眺めてみましょう。
そこから、あなただけの自分軸が浮かび上がってくるはずです。
(※ この記事は,『イラ通・スクール』の《宣伝・営業術04 「イラ通式 マンダラ・チャートで自分軸を見つけよう」》を一部修正したものです)
■ 森流一郎の「イラ通式 マンダラ・チャート」
「5つの武器発見ノート」を使って森流一郎が書き出した十二項目の内容を「イラ通式 マンダラ・チャート」にまとめました。
それが下の図です。
宣伝・営業術02 「4つの武器のために必要な、自分軸」 で紹介した大谷翔平さんのマンダラ・チャートを再び紹介しますね。
少し異なる形式になっていることがわかると思います。
自分軸を発見しやすくするため、一般的に使われているマンダラ・チャートに独自のアレンジを加えているのです。
私はこの形式を「イラ通式 マンダラ・チャート」と呼んでいます。
真ん中に「〇〇〇〇(あなたの作家名)マンダラ・チャート」と書きます。
そしてその周りにはある程度空間を開けて、さらにその外側を12の正方形で囲みます。12の正方形は、さらに9個に割ります。
この9個に割った正方形の真ん中に、前回書いた12の項目名を書いていきます。
そして、それぞれの項目名の周りのマスに、前回ノートに書いた内容から9個を選んで書き込みます。
9個全てを埋められない場合は空きが残っても構いません。
逆に、9個ではマスが足りない場合は、周りの余白に書き足しても構いません。
長い内容を書き込む場合は、二つ(あるいは三つ)のマスを繋げても構いません。
よくにた内容になってしまう可能性もあると思います。
似た内容になっても全く問題ありません。
「同じような内容がいくつもある」ということは、「それがあなたにとって、とても重要だ」ということでもあります。
画像は字が汚く、読みにくいと思います。
そこで、森流一郎のマンダラ・チャートの内容を書き出していきますね。
○「好き・得意・趣味」の項目
「小説」
「マンガ」
「演劇」
「アート」
「現代美術」
「絵を描くこと」
「理論物理学・天文・宇宙」
「江戸・戦国・歴史」
「昭和レトロ」
「手品」
「SF」
「オカルト・ホラー」
「ミステリー」
『未来世紀ブラジル』(映画)
『暗黒神話』(漫画)
『2001夜物語』(漫画)
『果てしなき流れの果てに』(小説)
『幻詩狩り』(小説)
『白き日旅立てば不死』(小説)
『夢の木坂分岐点』(小説)
『ポーの一族』(漫画)
『童夢』(漫画)
○「イラストレーターを目指す理由」の項目
「絵が好き」
「表現が好き」
「創作が好き」
「人を楽しませることが好き」
「絵で人を楽しませたい」
「かつての私が小説のカバーや挿絵に心躍らせたように、小説読者を楽しませたい」(マス三つ分のスペースを使いました)
○「人生の目標」の項目
「豊かで幸せに満ちた世界の実現」
「SDGs」
「人々に楽しんでもらいたい」
「人々に幸せになってほしい」
「人々に喜んでもらいたい」
「イラストレーションという名の小さな幸せを、世の人々に届けたい」(マス3個分のスペースを使いました)
○「価値観・人生観」の項目
「愛」
「平和」
「幸せ」
「豊かさ」
「非暴力」
「不服従」
「一見価値のなさそうなものにこそ、本当に大事なことがある」(2マス使用。アートやイラストレーションの本質はここにあると思います)
○「挫折・失敗・弱み」の項目
「漫画家に挫折」(漫画を描いてはいろんなコンテストに応募しましたが、全て落選でした)
「小説家に挫折」(小説を書いてはいろんなコンテストに応募しましたが、全て落選でした)
「大学受験に失敗」(小説家になりたくて、文学部を中心に10校近く受けたと思います。でもことごとく落ちました。一浪の末、翌年も文学部を中心に10校ぐらい落ちまくりました。国語だけは全国模試で十番以内になることもあるくらい成績が良かったのですが、他の教科は全滅と言っていいくらいダメでした。特に、暗記ができません。国語の受験勉強は全くやらず、日本史や英語の暗記に力を入れて受験勉強をしました。かなり頑張ったつもりですが、全く覚えられませんでした。いまだに記憶力は悪いです。自分の年齢や住所・電話番号を覚えるのも難しいです。何かの障害なのかもしれません。大学は、まったく希望していなかった滑り止めに渋々入学しました)
「社会人に挫折」(何をやっても人並みにできず、怒られてばかり。失敗ばかり)
「営業職に挫折」(自分なりに頑張っても、他の人が普通にできていることができませんでした)
「人見知り」
「内向的」
「自閉症スペクトラム」
「小学2年まで絵が全く描けなかった」(図工の時間中は、ぼーっとしたまま過ごして、白紙の画用紙を提出することが多かったです)
「空気を読めない」
○「成功体験」の項目
「小学校3年ぐらいに、絵を褒められる」(図画の時間に、赤塚不二夫チックなマンガ絵を描いて、生まれて初めて絵を褒められました)
「デザイン専門学校で絵を褒められる」(グラフィックデザイナーになるつもりで入った学校で、意外にも絵をべた褒めされ、驚きます)
「25歳くらいから、入選多数」(イラストレーターになる気は全くなかったけれど、デザイン学校で褒められたので、さまざまなコンテスト等におくってみました。すると次々と入選・入賞しました。漫画や小説では、落選ばかりだったので、驚きました。)
「空手道場でよく褒められた」(『空手バカ一代』に熱狂して、近所の空手道場に通い始めました。道場の先生からは、「森君は筋がいいね。他の道場なら初段の実力があるよ。ただ単に黒帯が欲しいだけなら、他の道場に行くといい。でも本当に強くなりたいなら、うちに通いなさい」と言われていました)
「手品で友人たちを楽しませた」(小学校のお楽しみ会ではいつも手品を披露していました。この当時から、人に楽しんでもらうことが好きでした。この、「人を楽しませるのが好き」というのは、イラストレーターにも必要な要素だと思います)
「高校の頃一人コントで友人たちを楽しませた」(休み時間によく一人でお笑い劇のようなものをやっていました。毎日せがまれるので、毎日新しいネタを作らねばならず、結構大変でしたが、楽しい思い出です。表現手段がなんであれ、人に楽しんでもらうことが好きだったのだと思います。)
「高校の文化祭で、自作・主演の劇をやって成功する」(オリジナルのシナリオを書いて自分で主演をし、演出も美術もやりました。かなり評判がよく、学校では知らない人からも声をかけられることが増えました。このマンダラシートには書いていませんが、大学卒業後、しばらくの間、某小劇団に関わっていたこともあります)
○「資格・スキル」の項目
「自動車普通免許」
「大学で経済学を学ぶ」(小説家志望だったこともあって文学部を志望していたのですが、全て落ちました。10校近く落ちたと思います。しかたなく経済学部に入りました。しかし、これが経営者的視点でイラストレーターのマーケティングやブランディングを考える、今の活動に繋がっていきました。「文学部に全て落ちたからこそ、今の活動があるのだ」と思うと、人生の不思議さを感じます)
「印刷会社で営業」(バブルの時代に数十社を受けましたが、ほぼ全滅でした。知り合いのコネで、小さな印刷会社がなんとか拾ってくれました。しかしそこで学んだ印刷知識が、イラストレーターになってから役立ちました。印刷会社の営業マンとしては失格の烙印を押されましたが、この時の営業体験が、イラストレーターとしての営業活動に生きました。志望していた数十社を落ちたからこそ、その後のイラストレーターの活動に役立ったことを思うと、これまた人生の不思議を感じます。)
「デザイン専門学校卒業」(ここで、色彩論やデッサンなどを学びました。これがその後のイラストレーターとしての活動に大きく役立っています)
「グラフィク・デザイン事務所に勤務」(専門学校卒業後は広告系のグラフィックデザイン会社に入社しました。ここでデザインの基礎を学びます。さらに、これから普及すると言われていたMACも覚えさせられました。これが、イラストレーターの仕事に役立ったことは言うまでもありません)
「空手4級」(空手は4級まででやめました。小学校高学年になって組手をやる機会が増えました。しかし、どうしても相手を殴ったり蹴ったりすることができませんでした。通っていた道場は寸止めルールです。でも、それでも本気で手を出すことに抵抗がありました。そのため、4級でやめています)
○「大事な出来事・体験」の項目
「漫画との出会い」(小学2年生の時、初めて漫画を読みました。この体験は私の人生における第1の衝撃でした。従兄弟のお兄ちゃんが持ってきた『少年サンデー』と『少年ジャンプ』です。漫画のあまりの面白さに衝撃を受けました。「世の中にはこんなに面白い世界があったんだ!」と言う驚きです。その後、漫画の模写に夢中になります。学校の授業で全く絵が描けなかった少年が、絵が得意な少年に大きく変貌するきっかけとなったのです)
「小説との出会い」(小学4年の時転校します。転校先の学校は読書が盛んでした。クラスの誰でも借りられる学級図書にあった江戸川乱歩シリーズを読んだことが、小説にのめり込むきっかけとなりました。この体験は私の人生における第2の衝撃でした。この体験が、大人になってから文芸系のイラストレーターになることに繋がっていくのです。
「空手との出会い」(武道における腰の使い方は、空手も剣道も同じだと感じます。剣術家の構えが様になっているかどうかは、腰にあると思います。なので、空手の経験もイラストレーターとしての活動に役立っているのです)
「イラストレーターに導かれる体験」(印刷会社に入って一年が経とうとする頃、会社の先輩から「森君は営業に向いてへんなぁ」と言われました。さらに「デザイナーならできるかもしれへんよ」と勧められました。社内にデザイン部署もあったので、そちらの方が向いているのではないかと言われたのです。同じ頃、大学時代の仲間や先輩が集まる飲み会があり、グラフィックデザイナーになった先輩から「森君はデザイナーに向いているんとちゃうか?」と言われます。その数日後、営業の仕事中に、大阪の街中でばったりあっった大学時代の友人にも、「営業よりデザイナーとかの方が向いているんとちゃう?」と言われました。さらにとどめになったのが私の父親の言葉です。ある夜、仕事から帰って晩御飯を食べている私に、「営業の仕事は向いてへんみたいやから、デザイン専門学校に入って、デザイナーになったらどうや?」といったのです。これが2週間ぐらいの間に立て続けに起こりました。3月の中旬を過ぎた時期でした。調べると、まだぎりぎり新年度の入学に間に合うことがわかりました。急いで大阪デザイナー専門学校に入学の手続きをし、印刷会社は退社ししました。その時は、「これは、天からの導きなのかもしれない」と感じたことを覚えています。そして、デザイン専門学校の授業で描いてみたイラストレーションをベタ褒めされ、「自分には絵の才能があるのかもしれない」と感じました。そしてさまざまなコンテストで入選し、イラストレーターになることを決意するのです。今考えても、不思議な出来事の連続で、ここまできた気がします。今まで無関係に見えていたいろんな体験の星々が、思いがけない形で、イラストレーターという名の星座として結びついたような気がします)
「イラストレーションとの出会い」(専門学校で湯村輝彦さんや日比野克彦さんと言ったイラストレーターを初めて知りました。この体験は私の人生における第3の衝撃でした。子供の頃から小説のカバーや挿絵を描くイラストレーターには親しんできましたが、アート系のイラストレーターの存在を初めて知り、魂を揺さぶられるほどの衝撃を感じました。これが、「よし、僕もイラストレーションを描いてみよう」と思うきっかけとなりました。
「妻との出会い」(妻とは、私がつくば市に引っ越した頃、アシスタントの募集に応募してくれたのがきっかけで知り合いました。アシスタントをしていただくうちに親しくなり、結婚しました。もう十何年か前になります。妻がいなければ、今の私はありません。深く感謝しています)
○「影響を受けたこと」の項目
「手塚治虫」(漫画家)
「赤塚不二夫」(漫画家)
「石森章太郎」(漫画家)
「筒井康隆」(小説家)
「江戸川乱歩」(小説家)
「神林長平」(小説家)
「諸星大二郎」(漫画家)
「星野之宣」(漫画家)
「宇野亜喜良」(イラストレーター)
「湯村輝彦」(イラストレーター)
「日比野克彦」(アーティスト)
「横尾忠則」(画家)
「寺山修司」(前衛演劇グループ「天井桟敷」主宰、歌人)
「維新派」(かつて存在した演劇集団です)
「山海塾」(前衛的な舞踏グループです)
「宮崎駿」(アニメーター)
「ユング」(心理学者)
「仏教」(宗教)
「アインシュタイン」(物理学者)
「量子論」(物理理論)
「多世界解釈」(物理理論)
「超ひも理論」(物理理論)
○「イラストレーターとしてやりたい事」の項目
「小説カバー」
「小説挿絵」
「重松清さんの仕事」
「時代小説の仕事」
「昭和小説の仕事」
「ミステリーの仕事」
「SFの仕事」
「ホラーの仕事」
「京極夏彦さんの仕事」
「光瀬龍さんの仕事」
○「作風・方向性」の項目
「リアル寄り」
「線画」
「レトロ」
「古風」
「時代物が得意」
「内省的」
「叙情的」
「文学的・物語的」
○「他人から見た自分」の項目(妻に聞きました)
「やさしい」
「穏やか」
「真面目」
「決断力がある」
「実行力がある」
「自分に厳しい」
「他人にも厳しい部分がある」
「情が深い」
■ 「イラ通式 マンダラ・チャート」から、自分軸を見つけよう
○共通するものを同じ色で囲ってみよう。
「イラ通式 マンダラ・チャート」に書き込んだ内容には、共通するもの、同じような仲間の言葉が繰り返し出てくるはずです。
一番多いのは、やはり、絵やイラストレーションに関わることです。
「マンガ」
「アート」
「現代美術」
「絵を描くこと」
「絵が好き」
「表現が好き」
「創作が好き」
「絵で人を楽しませたい」
「かつての私が小説のカバーや挿絵に心躍らせたように、小説読者を楽しませたい」(マス三つ分のスペースを使いました)
「イラストレーションという名の小さな幸せを、世の人々に届けたい」
「一見価値のなさそうなものにこそ、本当に大事なことがある」
「漫画家に挫折」
「小学2年まで絵が全く描けなかった」
「小学校3年ぐらいに、絵を褒められる」
「デザイン専門学校で絵を褒められる」
「25歳くらいから、入選多数」
「印刷会社で営業」
「デザイン専門学校卒業」
「グラフィク・デザイン事務所に勤務」
「漫画との出会い」
「イラストレーターに導かれる体験」
「イラストレーションとの出会い」
「手塚治虫」(漫画家)
「赤塚不二夫」(漫画家)
「石森章太郎」(漫画家)
「諸星大二郎」(漫画家)
「星野之宣」(漫画家)
「宇野亜喜良」(イラストレーター)
「湯村輝彦」(イラストレーター)
「日比野克彦」(アーティスト)
「横尾忠則」(画家)
「宮崎駿」(アニメーター)
「小説カバー」
「小説挿絵」
「重松清さんの仕事」
「時代小説の仕事」
「昭和小説の仕事」
「ミステリーの仕事」
「SFの仕事」
「ホラーの仕事」
「京極夏彦さんの仕事」
「光瀬龍さんの仕事」
「リアル寄り」
「線画」
「レトロ」
「古風」
「時代物が得意」
「内省的」
「叙情的」
「文学的・物語的」
と、これだけあります。
これらを同じ仲間としてわかりやすくするため、青のペンで囲みました。
私の場合、次に多いのは「小説」「文学」に関わることです。
「小説」
「SF」
「オカルト・ホラー」
「ミステリー」
『果てしなき流れの果てに』(小説)
『幻詩狩り』(小説)
『白き日旅立てば不死』(小説)
『夢の木坂分岐点』(小説)
「かつての私が小説のカバーや挿絵に心躍らせたように、小説読者を楽しませたい」
「小説家に挫折」
「小説との出会い」
「筒井康隆」(小説家)
「江戸川乱歩」(小説家)
「神林長平」(小説家)
「小説カバー」
「小説挿絵」
「重松清さんの仕事」
「時代小説の仕事」
「昭和小説の仕事」
「ミステリーの仕事」
「SFの仕事」
「ホラーの仕事」
「京極夏彦さんの仕事」
「光瀬龍さんの仕事」
「時代物が得意」
「文学的・物語的」
と、これだけありました。
これらを同じ仲間としてわかりやすくするため、赤のペンで囲みました。
次に、イラストレーションの作風・方向性に関係しそうなものを緑のペンで囲みました。
「江戸・戦国・歴史」
「昭和レトロ」
「リアル寄り」
「線画」
「レトロ」
「古風」
「時代物が得意」
「内省的」
「叙情的」
「文学的・物語的」
さらにーー
自分にとって特に重要だと思う項目を、
真ん中に空いた四角の中に、寄せ書きのようにして書き込みました。
そして、あらためてマンダラシート全体を見渡して、自分の魂の軸となるだろう項目を考えます。
選んだ要素を、ピンクの蛍光ペンで囲んでみました。
「小説」
「人を楽しませることが好き」
「絵で人を楽しませたい」
「かつての私が小説のカバーや挿絵に心躍らせたように、小説読者を楽しませたい」
「豊かで幸せに満ちた世界の実現」
「人々に楽しんでもらいたい」
「人々に幸せになってほしい」
「人々に喜んでもらいたい」
「イラストレーションという名の小さな幸せを、世の人々に届けたい」
こうした作業を重ねていくとーー
森流一郎ならではの自分軸が、浮かび上がってきます。
これが、森流一郎の自分軸です。
ついに、マンダラ・チャートによって自分軸を発見したわけです。
私がいう自分軸とは、自分の価値観・生き方・志に基づいた揺るぎなき魂の芯棒のことです。
ぶれない自分軸があれば、イラストレーターとして活動していく中で、
どうブランディングすべきか、
宣伝や営業はどうあるべきか、
などが明確になります。
「ペンネーム」「キャッチフレーズ」「アイコン」「タグ」「ストーリー」の5つの武器は、この自分軸から考えていくのです。
そうすることで一貫性のある明確な宣伝・営業ができるようになります。
迷いなく、イラストレーターとして活動していくことができるようになるのです。
■ 自分軸の基本は「自分の特徴や強み」+「ミッション・ビジョン・パーパス」
自分軸を決める上で必要な要素が、二つあります。
「自分の特徴や強み」と「ミッション・ビジョン・パーパス」です。
1)「自分の特徴や強み」
私の場合は「小説が好き」「人を楽しませるのが好き」というのが、「自分の特徴や強み」に該当します。
マンダラ・チャートでいうと、
「好き・得意・趣味」
「イラストレーターを目指す理由」
「成功体験」
「資格・スキル」
「大事な出来事・体験」
「影響を受けたこと」
「イラストレーターとしてやりたい事」
「作風・方向性」
「他人から見た自分」
といったあたりに見つかると思います。
看護師をしていたのなら、それがあなたの強みになるでしょう。
「優しく、柔らかな」作風であるなら、それがあなたの特徴であり強みです。
「柔軟性が高い」というのも、あなたの特徴であり、強みにもなります。
でも、「自分の特徴や強み」だけでは数多いイラストレーターの中で埋もれがちです。
二つ目の要素と組み合わせることで、自分軸がより強力なものになるのです。
2)「ミッション・ビジョン・パーパス」
「自分の好きや得意」に「ミッション・ビジョン・パーパス」が加われば、その自分軸はより強固になり、宣伝・営業において力を発揮します。
「ミッション・ビジョン・パーパス」の三つは、ブランディングにおいてとても重要視されている概念です。
「事業を起こすなら、必ず決めておくべきだ」とも言われています。
ミッションとはーー
「使命」のことです。
企業や個人事業主が、世の中に対して掲げる自身の使命を「ミッション」と言います。
・イオンのミッション
・日立のミッション
・ソフトバンクのミッション
・トヨタのミッション
・楽天のミッション
・ローソンのミッション
・アスクルのミッション
・ユニクロを運営するファーストリテイリングのミッション:
○ ビジョン
ビジョンとは、「実現したい未来」のことです。
・イオンのビジョン
・日立のビジョン
・ソフトバンクのビジョン
・トヨタのビジョン
・楽天のビジョン
・ローソンのビジョン
・アスクルのビジョン
・ユニクロを運営するファーストリテイリングのビジョン
ミッションやビジョンという概念を最初に提唱したのは、経営学者のピーター・F・ドラッカーです。
その著書『ネクスト・ソサエティ』において、企業や事業主が、世の中に対して、自身のミッションやビジョンを掲げる重要性を説いています。
○ パーパス
パーパスとは、「社会における存在意義」のことです。
「社会や世の中に対してどんなふうに役立っていくのか」を掲げるのがパーパスなのです。
パーパス・ブランディングが言われはじめたのはここ数年のことです。
今最もホットで、最新のブランディング手法です。
・味の素のパーパス
・ネスレのパーパス
・P&Gのパーパス
・ソニーのパーパス
・グーグルのパーパス
・ナイキのパーパス
「ミッション、ビジョン、パーパスの違いがわかりにくい」という人もいるだろうと思います。
正直にいって、重なっている部分も多い気がします。
だから、私達イラストレーターは、分けて考える必要はないと考えます。
要はーー
「あなたはどんな形で世の中の役に立ちたいのか、どんな世の中を目指したいのか」
ここを明確にして、自分軸に盛り込めばいいのです。
ここを明確に打ち出している人の周りには、「応援したい」「この人と一緒に仕事がしたい」と思う人が集まるようになります。
自然と、より多くの仕事につながる可能性が高まるのです。
私の場合は、「小説のカバーや挿絵を通じて、読者の皆さんに楽しんでいただきたい」というのが「ミッション、ビジョン、パーパス」に該当します。
イラストレーターとしてのあなたの「ミッション、ビジョン、パーパス」はなんでしょう?
きっとその答えは、マンダラ・チャートの中にあります。
マンダラ・チャートの
「イラストレーターを目指す理由」
「人生の目標」
「価値観・人生観」
「挫折・失敗・弱み」
「大事な出来事・体験」
「影響を受けたこと」
などに、そのヒントがあると思います。
自分らしい「ミッション、ビジョン、パーパス」を探してみましょう
私の場合はーー
「小説が好き」という「自分の好きや得意」と
「世の中のみんなに楽しんでほしい、喜んでほしい、そして小さな幸せを感じてほしい」という「ミッション・ビジョン・パーパス」の二つが、
自分軸の中心要素となっているのです。
二つが合わさってこそ、自分軸は強力なものとなります。
宣伝・営業において力を発揮します。
■ 何のジャンルで第一想起を目指すのかも、考えておこう。
この後の講義で、「自分軸」に基づき「ペンネーム」「ストーリー」「キャッチフレーズ」「タグ」「アイコン」を作っていきます。
「ペンネーム」「ストーリー」「キャッチフレーズ」「タグ」「アイコン」は、あなたが特定ジャンルにおける第一想起のイラストレーターになるための種です。
Web、SNS、年鑑、個展、郵便、電子メール、名刺、ポートフォリオ、直接の訪問営業など、様々な機会にこの種をまきます。
それを根気強く繰り返すことで、やがてあなたの認知が広まり、やがて種が花を咲かせるのです。
全ての種が花を咲かせるとは限りませんが、種を蒔き続けることが第一想起のイラストレーターへの道です。
この時大事なのは、「何のジャンルで第一想起を目指すのか?」という点です。
私は「時代小説」や「官能小説」における第一想起のイラストレーターでした。
あなたも、ジャンルを定めることがとても大事です。
たとえばーー
「占いに関する第一想起のイラストレーター」
「スポーツに関する第一想起のイラストレーター」
「子供向けカットの第一想起のイラストレーター」
「医療カットの第一想起のイラストレーター」
「日本的なものに関する第一想起のイラストレーター」
「アメリカンコミック的タッチの第一想起のイラストレーター」
という具合です。
○ 「ランチェスター戦略」が教える1点集中の力
なぜジャンルを狭く定めるのか?
その答えは、「ランチェスター戦略」にあります。
「ランチェスター戦略」とは、第一次世界大戦の際、イギリス人の F・W・ランチェスターが考案した、戦争で勝つための法則です。
それを田岡信夫が経営理論に応用し、
「弱者(新規参入企業)が強者(既存の大手企業)に勝つための戦略」として世に広まりました。
弱者(新規参入企業)が、強者(既存の大手企業)と同じ土俵で戦っても勝ち目はありません。
勝つためには、1点集中が必要なのです。
吉川英治の名作時代小説『宮本武蔵』を読んだことはありますか?
その小説の中で、宮本武蔵が吉岡一門七十三人と戦ったエピソードは「ランチェスター戦略」の良い例だと言われています。
吉岡一門は、当時知らぬ人はいないほどの剣術の名門でした。
宮本武蔵も優れた剣豪ではありましたが、一人で剣術家七十三人と戦うのは無謀です。
はたして、武蔵はどう戦ったのか?
武蔵は吉岡一門をの田んぼのあぜ道に誘い込みます。
そして、その細いあぜ道で、一人ずつと順に戦っていったのです。
周りから複数の人間に攻撃されれば、流石の武蔵でも勝ち目はないでしょう。
一人ずつと戦ったので、何とか勝てたのです。
これこそが1点集中の戦略です。
企業における例も挙げてみましょう。
Amazonは今でこそ何でも売っていますが、最初は本のネットショップとしてスタートしました。
本のネットショップとして第一想起になった後、様々なジャンルの商品に広げていきました。
ユニクロのブレークは、フリースが大ヒットしたことがきっかけでしたよね。
HIS は、今では大手旅行会社の一つとなりましたが、創業当初は後発の零細企業でした。
そこで、当時大手が見向きもしていなかったマイナーなバリ島に集中してツアーを販売しました。
そして、バリ島でシェア1位を取ってから、セブ、プーケットなどに手を広げていきました。
イラストレーター業界には、上田三根子さん、木内達朗さん、網中いづるさんといった錚々(そうそう)たる強者が揃っています。
彼ら、彼女らと同じ土俵で戦っても勝ち目はありません。
だから、あなたが強みを発揮できるジャンルに1点集中し、まずはそのジャンルで第一想起のイラストレーターになるべきなのです。
一つの狭いジャンルで第一想起のイラストレーターになれれば、あなたの作風と名前は覚えていただけます。
自然と、その他の仕事も増えていくはずです。
「イラストレーターズ通信」は経済的にとても苦しく、森流一郎は借金をしてなんとか運営を続けております。もしよろしければ、サポート(投げ銭)をお願いします。団体の活動資金とさせていただきます。