「 焼壱 」 誕生の日

昨日は”焼酎の日”でありまして、この日に合わせて当店では
ある新商品を発表致しました。

その名はズバリ 『 焼壱 』 ! ....であります。

数日前のブログで、新蕎麦ピザの名前を検討中であると書か
せて頂きましたが、いろいろ悩んだ末 『 焼壱 』 に決定致しま
した。

『 焼壱 』?

なんて読むの?

どんな意味?

確かにちょっと変った名前ですよねー(笑)。

読み方は ” しょういち ” と読みます。

例えば以前あった「みそソースピザ」は、昨日から「みそソース
焼壱」という呼び名に変りました。

実は以前の蕎麦ピザは出来たては香ばしくて美味しいのです
が、冷めてしまうと少し生地が粉っぽくなってしまうと言う欠点
がありました。

ん~。 

でもな~。

蕎麦ピザはオープン当初からの商品で、蕎麦生地を使ったピ
ザと言うオリジナル性の非常に高い商品だしな~。

やめたくないよな~。

正直、”蕎麦ピザ”については私もずっと悩んでおり、当店に
とっては、ひとつの大きな課題でもありました。

そしてある日、私は料理長を呼びこの「蕎麦ピザ」をメニュー
から外すことを指示しました。

悩んだ末の決断でした。

「ん~........」

「なるほど」

「ちょっと時間をいただけますか」

「私なりにいろいろやってみます」

ん。

どうかな~。

しかし、そんな料理長の前向きな言葉を受け、私はこの件を
一旦保留と致しました。

でもな~。

前もいろいろやってダメだったしな~.....。

数日後。

私は料理長に呼ばれ厨房に行ってみました。

するとそこには、なにやら新蕎麦ピザらしきものが。

「ちょっと改良してみたんですけど」

さっそく試食してみました。

モグモグ。

んっ?

旨い!

モグモグ。

んん!

旨いよ!

これ、いけるよ!

新蕎麦ピザは、以前少し重く感じていた印象が、軽くソフトな印
象に改良されていました。

「県産のそば粉を練りこんでイーストで発酵させた生地です」

「いけますか?」

料理長もモグモグ。

「んん、いいかもしれませんね(笑)」

新蕎麦ピザが誕生した瞬間でした。

この商品、面白いかも!

なんだかワクワクしてきて、いろいろな発想が湧いてきました。

私は基本的に”創作和食”をやってみたいので、この”蕎麦ピ
ザ”という商品はそう言う意味でもマッチしていましたし、当店
のお料理は岩手県の色、そして東北の色にこだわってお出し
ていきたかったので、そう言う意味でもピッタリの商品でした。

よし!

メニューの中で”蕎麦ピザ”という一つのカテゴリーを作り、
当店の名物料理にしよう!

私はどちらかというと冒険が過ぎるところがあります。

しかし、夢は大きく。

せっかく自分のお店を持ったんです。

ダメ元でも、いろいろなことにチャレンジして行きます。

例えば。

盛岡と言えば、”冷麺”・”わんこそば”・”じゃじゃ麺”。

どれもオリジナル性があり、全国的にも有名であります。

どんなものでもそうですが、産みの親っていると思うんです。

今まで世に存在しなかったものがそこに生まれる。

発明って言ったら少し大げさかもしれませんが、でもそう言う
ことですよね。

新しい食のカテゴリー。

仮に新しい食の文化を発明してもノーベル賞は頂けないで
しょう。

ですが、この事って私はすごく価値のあることだと思うんで
す。

この地球上に”人”が存在する以上、”食”が絶えることはき
っとないでしょう。

生きるための”食”。

生きる楽しみ。

食べる楽しみ。

カプセルを食べて生活する時代がいつか来るのかなー。

なんか味気ないですよね。

海の幸。

山の幸。

そして作る人。

作る人の気持ち。

器。

盛り付け。

”食”の場面は無数であり無限であります。

人類がこの世に生まれたときからきっと”食”はあり、
人の心が続く限り”食”は永久に続くでしょう。

100年後。

1,000年後。

10,000年後。

もっともっと未来まで。

科学者が新しい発見を目指すように。

文学者が心に残る小説を世に残すように。

私も飲食店の端くれとして、なんか歴史に残るようなことを
やってみたい。

ちょっと話が大きくなりすぎちゃったかなー(笑)。

でも、そんな感じです。

”蕎麦ピザ”をインターネットで検索すればいくつかは出てき
ます。

だけど、本当に美味しいものを「黒ヂョカ」ならではの新しい
スタイルで。

当店に足を運んで下さった方々に本当に喜んで頂けるよう
な、そんな楽しくて美味しい商品を。

さー、どんな”蕎麦ピザ”を作ろう。

スタッフ全員でアイデアを出し合いました。

私もいろいろなピザ屋さんをまわって知恵を絞りました。

とにかくいろんな具でためしてみましたねー。

そんな中少しずついいものが出来始めて来ました。

ん~。 美味しいよねー。 (笑)

みんなで作って。

そして食べて。

あーでもない。

こーでもない。

結構、楽しいものです(笑)。

ある日、どうせなら新しい名前付けちゃおっかー。

なーんて。

ちょうどそのとき厨房にいたのが、料理長とアルバイトさんと私
の3人。

いいですねー(笑)。

半分、冗談まじりで案を出し合った。

やっぱり普通じゃない方がいいよねー。

そんな中、私が料理長の名前をあてがった。

”和風わさびのぶ”。

ブァッハッハー(笑)。

なんか違うか(笑)。

ん~。

”和風わさび翔一”。

ブァッハッハー(笑)。

やっぱ違うか(笑)。

..........。

ん!。

ちょっと待てよ。

私は紙に書いてみた。

”和風わさび焼一”

ん!?

意外といいんじゃないですか。

..........。

もしかして”焼一”の”一”は”壱”の方がいいかもしれません。

料理長が言った。

なるほど。

私は書き直してみた。

”和風わさび焼壱”

んっ!

かっこいいかも。

偶然ではありますが、瞬時にこんなことが頭に浮かんだ。

ピザは焼いて作る料理である。

つまり、焼いて作る料理の中で一番を目指す。

そう言う意味での”焼壱”。

そして、「本格焼酎 黒ヂョカ」は基本的に焼酎のお店である。

焼(しょう)酎に一番合う料理をこのお店で提案していく。

そう言う意味での”焼壱”。

それと、普通ピザと言うものは丸い形に作り扇形になるように
切込みを入れる。

しかし当店の”蕎麦ピザ”はもともと蕎麦板を使っていた為、
横長で、一枚一枚を長細く一文字状に切ってお出ししていた。

この形(一文字)と言うのは、新蕎麦ピザになっても続けようと
思っていたので、そう言う意味での”壱”(焼壱)。

先日のブログでも紹介いたしましたが、今うちで働いてくれて
いるスタッフはみんな頑張り屋さんで、焼酎が好きで、接客が
好きで、本当に私は良いスタッフに恵まれました。

私が毎日楽しく仕事が出来るのも、そんなみんなと一緒に
お店に立っているから。

これから、当然いろいろな移り変わりがあり、きっと今のメン
バーもバラバラになってそれぞれの道を歩んで行くでしょう。

ちょっと淋しいけど、しかたありませんね。

今回の”新蕎麦ピザ”は料理長の前向きな発言から始まって
みんなの意見が積み重なって完成致しました。

中でもピザ屋さんでアルバイトをしている翔一君は積極的に
いろいろな意見を出してくれました。

そんな翔一君の名前をそのまま商品名にしてもいいかなー。

いや、できればそうしたいなー。

文章であのときの様子を表現するのはちょっと難しいけど、
すごく楽しかったなー。

もう”焼壱”で決まりッて感じだったもんなー(笑)。

でもいきおいってこともあるし、みんなにもいろいろと案を出し
てもらって、その後で冷静になって決めよう。

そういうことにしました。

そして週末。

スタッフが全員集合したときに、みんなに今回の”新蕎麦ピザ”
の趣旨を伝え、それぞれ新しいネーミングの案を出してもらい
ました。

先日のブログでも紹介致しましたが、みんないろいろな案を出
してくれました。

そして、それぞれのネーミングには意味があり、どれも捨てが
たい、そんな内容でした。

どーしよう。

数日、実際にメニューに載せたときのことをイメージしてみまし
た。

どれがいいんだろう。

”蕎麦”という文字が入った方が、お客様にとっては商品の内容
が分かりやすいと思うし、入りやすく、親しみやすいと思う。

しかし、逆に”蕎麦”が入ることで、どこか一般的で、オリジナル
性にかけ、驚きがなくなってしまうのでは。

でも、冷静になって、客観的に見てみたときに、やっぱり奇抜な
ものはどうかと.....。

ん~。

悩む。

このネーミングと極端な話、一生つきあって行くぐらいの思い入
れはありましたので。

正直な話、私の中では、やっぱり分かりやすいネーミングの方が
お客様には伝わりやすいし、波風たたずハズレる確立も低い。

んん。

やっぱり”蕎麦”を入れよう!

”蕎麦焼き”が分かりやすくていいかも。

そんな風に思っていました。

しかし、そんなある日。

確かあれは、私が東京に行く前日でしたから月曜日の日ですね。

この日、お店に出ていたのは私と料理長の2名でした。

ねー。

ネーミングどうしよっか。

料理長に意見を聞いてみた。

「そうですねー」

「私の中では”焼壱”が頭から離れないんですよー」

「...........」

そっかー。

............。

よし!

”焼壱”にしよう!

私は決めた。

やっぱり普通じゃつまらない。

このとき、ずっともやもやしていたものがスッパリと消え去った。

んん。

やっぱ”焼壱”だ。

なんか”焼壱”に決められた自分が嬉しかった。

迷わず”焼壱”って言ってくれた料理長の気持ちも嬉しかった。

「メニュー作ってみますか」

料理長が言った。

んー、ちょっと書いてみて。

コンビーフ焼壱。

くんさきマヨネーズ焼壱。

じゃがバター焼壱。

豚カレー焼壱。

チョコバナナ焼壱。

くるみあんチーズ焼壱。

おー!

やっぱいいねー(笑)。

清書して実際にメニューにしてみたら、やっぱりいいと思った。

いろいろ案を出してくれたみんな。

ごめんなさい。

やっぱり”焼壱”に決めます。

さて、この”焼壱”という商品。

この先、どんな広がりを見せるのか。

有名になるのかなー。

いや、絶対に有名にして見せます。

絶対に。

だけど、どうなんだろう。

仮に有名にならなくても、もしかしたらいいのかも知れません。

スタッフの思いの詰まったこの商品を、私が責任をもってゆっ
くりと温めていくことが出来れば.......。

誕生した喜び。

そして、それを育ていく喜び。

ただそれだけで。


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