任天堂の楽しみは無限大なのか? 簡易メモ、ノート、覚書

 「任天堂の楽しみは無限大です」という謎のパワーワードがある。
 加えて「任天堂の楽しみはまだ始まったばかり」もあるが、「無限大〜」の方がパワー過ぎるので僕の中ではかなり存在感が薄い。

 数年前”Every copy of mario64 is personalised”という創作都市伝説が流行った。
「販売されたマリオ64の、それぞれのカートリッジというのは実はそれぞれ中身が違っていて、中にはおぞましい秘密を含んでしまったものもあり…」という内容。4chan由来らしい。英語圏の面白いものも邪悪なものも大半は4chan由来。

 リミナルスペース、バックルームのブームの中でのスーパーマリオ64再評価があったことなどもきっかけのひとつだろうし、昔のゲームなので内容に関して勝手に補完、補正してしまった記憶がプレイヤーそれぞれにあるために、話が微妙に食い違ったこと(いわゆるマンデラ・エフェクト)なども都市伝説の内容に影響を与えているだろう。

 ブームは盛り上がり、この都市伝説を文字や画像だけでなく映像として作るクリエイターも現れ始め、一時期YouTubeのホラー界隈は”Every copy of mario64 is personalised”祭りだった。
 その中で多用された一つの様式美が、「隠されていなければならない、もっと言えば任天堂がカートリッジに混入することを避け、隠蔽しなければならなかった、マリオ64に関するおぞましい秘密」がバグなどによって画面にレンダリングされてしまう!という展開。日本製のゲームなので日本語のエラーメッセージ、警告文が出るのだが、大体のクリエイターの日本語は破綻していて、日本語話者からすると意味のないデタラメだと分かる代物だった。しかし、中にはかなり日本語表現にも気を遣っている人もいて(うろ覚えだが多分Greenioだったと思う。)、そこで出てきたのが、「任天堂の楽しみは無限大です」だ。

 日本語として破綻はしてない。でも意味はわからない。お前、見ちゃいけないモノを見やがったな!と任天堂が警告してきてるはずなのに、楽しみは無限大である旨を繰り返すのは僕ら日本語話者からしても意味がわからず、可笑しくもあるがやはり不気味だ。
 こうして「任天堂の楽しみは無限大です」というパワーワードが生まれたのである。


 ちなみにこの言葉にも元ネタがある。海外では日本以上に何故かソニック・ザ・ヘッジホッグの人気が根強い。そのソニックシリーズの『ソニック・ザ・ヘッジホッグCD』に、ある隠しコマンドを入力すると、スタッフの隠しメッセージが見れるというイースターエッグがあった。
 海外版であるコマンドをあるタイミングで入力すると、不気味でおどろおどろしい音楽と共に、異様なカタチに顔面が変形したソニック(仮面をつけてる?)が、これまた不気味な背景と共に表示される。画面には「たのしさ無限大、セガ・エンタープライゼス」と書いてあるのだが、海外プレイヤーは読めない。この隠しメッセージは、長きにわたって「ゲームの恐ろし過ぎる隠し要素」の一つとして数えられてきた。
 こんなことになったのは、「たのしさ無限大、セガ・エンタープライゼス」というセガのキャッチコピーが何とも下手くそな文字で書かれているのを読めなかったことや、本来ここで流れる音楽はもっと明るいものだったのだが、作中ではボス戦で使用される楽曲で、海外ローカライズにあたってもっと「恐ろしい敵」感のする曲に差し替えられたためである。つまり、いくつかの条件が重なって、スタッフの悪ふざけ的ギャグが、海外勢には全くギャグとして受け取られなかったのだ。

 「任天堂の楽しみは無限大です」は、この古き良きネット怖い話「ソニックの呪われた隠し要素」へのオマージュとして生み出されたワードなのだと僕は思っている。

 今からちょっと軽く復習してみたい、という人は上にもあげたGreenioの動画とかが最適だと思う。全体的には玉石混淆だが、これらの派生としてマリオ64ロムハックというのも流行り、(多分何らかの方法でデータやシステムを吸い出して、pc上で改造したやつ)中には、悪夢を見ているかのようにひたすらリミナルスペースばかりが続くハックもあったりして面白い。

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