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立川笑二 『厭な噺の会』

2022年9月5日 立川笑二 『厭な噺の会』 (道楽亭)

 滑稽噺や心温まる人情噺はやらない『厭な噺の会』の第二回です。
 演目は「反魂香」、「乳房榎(上)」、仲入り、「乳房榎(下)」でした。
 まくらなしで「反魂香」に入ったときはこれは厭な噺ではないのでは、と思いましたが、後半はきっちりととても厭な噺に作り込まれていました。
 「乳房榎(上)」は浪江が重信に弟子入り志願する場面を濃密に描いてからおせき口説きまで、「乳房榎(下)」は重信殺しとその後ですが、大胆な改作でこの二話で完結します。正介が結果的に重信殺しに手を貸すことになった経過が自然だし、おせきも心の中では重信を裏切っていません。特異な形で浪江が仇討されたも同然の下げとなります。