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2020年イラン旅 イスファハンでみた夢のこと

おはようございます。今日は早起き出来たし、イスファハンでみた夢が教えてくれたことを書こうかねぇ。でも、イスファハンの名所情報を求めてる人は回れ右をおすすめします。いかにみたか、ではなく、いかに見なかったか、それでも満たされたかをお伝えしたいので。あ、オチ言っちゃった。

ヤズドから夜行バスでイスファハンに着いたのは5:30くらい。同じバスに乗っていた若い男性が、どこに行きたいの?と聞いてくれて、「シオセポル、シャーモスク、世界最古のキリスト教会、イマーム広場、古いバザール…」と伝えると、「イマーム広場なら、電車で行くと安いよ。7:30に始発だから、それまで待合室で休んでいるといいよ。」と教えてくれた。

バスで寝たはずなのに、めちゃくちゃ疲れてて、待合室のベンチで泥のように眠る。しんどい…。もうこのままシーラーズ行のバスに乗りたいよ。

誰かに起こされて目覚めると7:20。先ほどの男性が、わざわざ起こしに来てくれたのである。(ホスピタリティやば!)「僕も電車使うから、案内してあげるよ」とのこと。ありがたいのに、疲れすぎて「寝かせてくれい…」と思いつつ、ついていく。

イスファハンの駅はすごくきれいで近代的だった。ICカードを使えば割引があるとのことで2000リアルで購入。例の男性が「いろいろ見るならこの先もう少しチャージが必要になると思うけど、言葉とか手続きとかチャージする場所探すのも手間だと思うから、これ使ってよ。」と5000リアル入ってるカードと交換してくれた。なにその思いやり。喜びを表現する体力が残ってなくてごめん。彼は大学生で、これから大学に向かうところだという。夜行バス明けの講義とか偉いなあ。「ここで待ってれば、イマーム広場行の電車が来るよ。」とホームまで案内してくれた後、「ぼくはあっち。」とエスカレーターを上っていく。ええ!わざわざ自分の使わないほうのホームまで来てくれたの。優しすぎかよ。

(このあと、ホームの液晶と案内板をみても、どうしてもイマーム広場に行きそうにないので、ホームにいたおじさんに聞くと別のホームだという。急いでそのホームに行くと、電車はちょうど行ってしまったところ。大学生は「ごめん!逆だったね」と申し訳なさそうにしている。人を信じることは大切だが、自分で確認することも大切だ。この大学生も1本電車を逃したわけだけど、講義には間に合ったのでしょうか。)

無事、イマーム広場前に到着するも、スマホの充電が切れていたこと、早朝過ぎて人が少ないこと、道を聞く気力が残っておらず、カンだけでイマーム広場・シャーモスクを探し、市内を彷徨う・・・。(疲れていると余計疲れることをしてしまう負のスパイラル)なんかモスクっぽいのあるけど、入口が全然見つからない。

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奇跡的に電源入って撮ることができた一枚。

お腹減った。公園のベンチでシルクロードホテルの人がくれたジンジャークッキーを食べる。勇気を出して道を聞いてみるも、いまいちわからず、見つからない。またうろうろ。美味しそうなお店は11:30オープンだという。あと3時間半。雨降ってきた。寒い。疲れた。再び公園のベンチで休む。寝る。

ここから、イマーム広場まで、どうしてたどり着けたのか、あんまり記憶がない。ただ、やっとたどり着いたイマーム広場は、芝生に馬糞が撒かれていて、糞臭かった。近くに馬場があるらしく、馬糞の活用なんだろうけど、飲食店もあんのにさ~やめてくれよ。イマーム広場の(なるべく馬糞臭くない)ベンチで、再び寝る。もう疲れたよ・・・。

1時間くらいだろうか。ちょっとすっきりしたので、広場を歩く。シャーモスク前で日本語で話しかけられ、(日本語で話しかけてくるやつは信用できないと聞いていた。イランでの話ではなく、フィリピンでは、だけど。)めんどくさいな…と思いつつ、「お金ないんでみるだけなら」と絨毯屋さんに入る。例によってお茶をご馳走になる。まだ今夜一泊する予定だけど、宿泊費が限界に近いので、安く泊まれるところはないか尋ねると、絨毯屋の店主の友人と名乗る髭眼鏡おじさん(日本語ペラペラだった。日本で働いてたことがあったとか、なかったとか。)がホテルに電話してくれて「ホレ、自分で交渉してみな」とスマホを渡してくれる。「10$?むりむり。それならやめときます」みたいなやりとりを繰り返した後、素泊まり4$、朝食1$のゲストハウスに泊まれることに。ありがたい!

おじさん、ありがとう!絨毯屋さんでもちょっと寝て(もう本当に疲れていたのだ。絨毯あったかかった。)お昼ご飯を探しに出発。


イマーム広場のバザールにならんでいるお店で、目についた「ハリバーデムジャン」にする。これがしょっぱいでも酸っぱいでもない、なんとも微妙な味。う~む、失敗。お店の2階で食べていたら、日本人がいると聞いておじさんが上がってきた。(おじさんは食べ物をもってなかったので、食べ終わったお客さんなのか、ただの店員の知り合いかは不明。たぶん後者。)

外国語を仕事にしている40歳のおじさんは、日本人の40歳(私の兄とか)と比べるとかなり老けて見えた。「イスラムの結婚するまで性交してはいけないというルールがちょっとね…(はっきり書いて彼の身に何かあってはいけないので、ぼかす)。彼女欲しいけど見つけるの大変。日本はどうなの?」みたいな話だった。助産師として興味深い話だったけど、疲れ切ってたその時は、相槌をうつのも怠かった。「イランも1970年代までミニスカートOKだったらしいですもんねぇ」とか適当な対応になってしまった。

その後、そのおじさんに案内してもらい、気になっていた米粉?のおやつFereni 30000リアル を食べる。例えるなら、ちょっとプリンみたいなお餅にみたらしみたいなソースがかかっている。これは美味しかった。

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その後、電話したゲストハウス annie houseへ向かい、チェックインを済ませ、14時くらいにはベッドで休む。たしかweb漫画(手塚治虫の奇子)を読んだりした。もう、帰りたいよ。あと2日がしんどい。みたいな気分になってしまい、帰りのチケットが無駄になってもいい、と今夜発の航空券を探したりしてた。(ただ、最寄りの飛行場まで距離があって、間に合わなさそうだったので諦めた。)夜、またジンジャークッキーを食べて、シャワーを浴びて再びベッドへ。あ~せっかくあんなに長時間バスに揺られてイスファハンに来たのに、なにやってんだろ。


でもね、この夜にみた夢がすごかった。(大切なのは夢の内容ではないし、伝えられる表現力もないので短く言うと、友達と車に乗って坂を下りていたら、雲の切れ間から、なんらかの自然現象による光の屈折で、空に海面を線を引きながら進む船や、富士山が映っていた。そのあとに通った町が水浸しで、大きく抉れていて、そこに明かりのついた家や夕暮れのグラデーションが映っていた。みたいな夢。)

とにかく、夢の中で私は、とてもきれいな景色に周囲をはばからず興奮して叫んで、友達と一緒に「やばかったねー!!いまの!あっ、ぶつかる、ブレーキ!」みたいなやりとりをしていた。

そして、差し込む朝日の中で感動しながら目が覚めたのだった。起きたときにもまだ興奮が残っていた。

そのとき、「あ、すごい満たされたわ。もうイスファハンでどこかを見に行かなくてもいいわ。」って腹の底から思えた。(今回の旅では、ね。)


休みたいときは休む。

私は仕事だとこれができるんだけど、旅行だと、ついつい見どころを逃すまい、と無理をしてしまう。(そして旅先で熱を出す)だって、すごい素晴らしい場所に、こんなにCO2出して(もちろんお金も)来たのに、行かないのはもったいないじゃん。

って思ってた。いままで。

だけど、今回の旅で、「疲れたときは休息を優先したほうが満たされる」ことを実感した。疲れ切った状態で(特に心が)美しい景色をみても、壮大な建物を見ても、余計疲れる、ということがあるのだ。(しまいには、美しいものに感動できない自分を責め始めるかもしれない)

足をのばして見に行かなくても、世界は「夢」っていう形で、すごい景色を見せてくれることがある。安心して、休もう、私。むしろ、どんな景色を私の脳は見せてくれるんだろう?ってわくわくしたっていいかもしれない。


そんなことを思いながら、annie houseのキッチンで、朝ごはんをつくる。

冷蔵庫に、share foodって紙が貼ってある棚があって、そこからジャガイモとトマトと玉ねぎをひとつずついただく。なんだこのありがたいシステム。私もジンジャークッキーの箱おいとこ。

料理をしていると、ほかのゲストである女の子が来て、となりで料理を始める。一緒に作りたかったけど、もう作り始めちゃったし、今回はパス。(もうチャレンジ精神は枯渇してたので、ほかのゲストの誰にも絡まなかった。みんなめちゃくちゃ面白そうだったけど。この時期にイランに来るくらいやし。ドレッドヘアーだし。バックパックめちゃでかいし。)

その子がコンロの火をつけるチャッカマンに苦戦していたので、ここを押すとチャッカマンなしで火が付くよと伝える。「ええ~知らなかった。ずっとこれ(チャッカマン)でやってたよ。ありがとう~」と彼女。

こういうやりとりが嬉しい。消費するばかりの旅で、どんなに小さいことでも役に立てたってことが。

が、次の瞬間わたしは目を疑う。

彼女は見覚えのある袋から、食材を取り出していた。例のshare foodの棚にあった袋。私がトマトなどをもらった袋。彼女もshare foodを使うのかなって思いたかったけど、ほかの材料はshare foodじゃない棚にあったやつを使ってる。ということは、まさか・・・

おそるおそる、聞いてみる。「ねぇ、このshare foodって紙は、貼ってある段の食材のこと?それとも、その下の段の食材のこと?どっちを指してるんだろう。わたし、さっき貼ってある段にあった野菜使っちゃったんだけど…つまり、あなたの袋の野菜。ごめんなさい。」

その子「あ~確かに。どっちだろうね。考えたことなかった~。ん~、でも、私の袋の野菜は減ってないよ。気にしなくていいんじゃない?」

わあ、優しすぎる!勝手に泥棒してごめん!でも、魔法のビニール袋じゃなければ、ぜったい野菜は減ってるよ!

そんなこんなで、タダで朝食にありついてしまったのでした。

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ナンは前に買ったやつの残り。

その後、気を取り直してシャーモスクを見ようかと、イマーム広場に行くも、シャーモスクの入場料にしり込み。

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どうしようか迷ってたら絨毯屋さんにまた会ったので、昨日のお礼を言いに行くことにする。お店にはいると、ちょうど昨日の日本語ぺらぺら髭眼鏡おじさんが!

「あの、昨日はありがとうございました!あのゲストハウスすごい良かったです。助かりました!」
きょとんとしているおじさん。あれ?絶対昨日のおじさんだと思うんだけど。人違いしちゃった?あれ~?恥ずかし!いやでもあのおじさんの顔は特徴的だし、このひとだよな。

笑い出すほかの店員と店主。
「それ、昨日の彼の双子の兄弟だよ。日本語わかんないよ。」と店主。」
ええー!?なるほど、そりゃあ似てるわけだわ。私は間違ってなかった!

シャーモスクに入るか迷ってることを相談すると、「あ~あそこはいいよ、べつに。外から見える分で十分。高いし。」とのこと。安心して今回はパス。
これからどうするのか問われ、「疲れたからシーラーズ帰る」というと、「ちょうどこの人がバスターミナルのある地区に行く用事あるから、載せてってもらいな」とのこと。お礼に、もう使うことのない、お金の入った例のICカードをお渡しする。

この、バイクの後ろに乗って、市内の人も車も多い道を縫うようにゆく、道のりの楽しかったこと。スリル満点。風が気持ちいい。なんかインド映画の世界に入ったようだった。(たぶんこんなもんじゃないだろうけど)
イスファハンからシーラーズまで、バスで7時間半(14時発、21時着)。スマホの充電は早々に切れて、昨日さんざん寝たので、寝られなかったけど、それでも、今回のバス旅は楽しかった。相変わらず、車内はうるさかったけど。ガソリン給油中、ガソリンの匂いはめちゃくちゃ臭かったけど。


途中から乗ってきた、ギャル2人。マスクとプラスチック手袋つけて、コロナ対策は万全。バススタッフも、ほかの乗客も多種多様なマスクをつけているけど、コロナってワードも会話の中にでているけど、それでも車内はなんとも和やかな雰囲気なのである。2列目に座ったギャルがくしゃみをしたら、運転手から最前列一同「お大事に~」的なことを言って、ハハハと笑いが起こる。このゆる~い、のほほんとした雰囲気、いいわ~。

いろんなことを考えた、7時間半。大切なことは、自分が休息を欲しているなら、それを与えてあげて、満たされているとなんでもないことが楽しいってこと。逆も然り。旅は1回限りのスタンプラリーじゃないんだからさ、私よ。

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