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赤ちゃんからのメッセージ、そしておもいやり

そういえば私は助産師なのだけど、
珍しく助産師っぽい話を書いてみる。

おもにお産のこと。

赤ちゃんは私の調子の悪いときに産まれてくる。
私がお産に向けて準備万端、さぁおいで!というときには、お産は遠のく。


花粉その他のために鼻水が止まらない、
アトピーがひどくて人に会いたくない、
猛烈に体がだるい、
たまたま寝不足、
心が弱ってる、

できたら今日は休みたい
そんなとき、赤ちゃんは来るのである。

逆に、
こちらの体調がよくて、私が主体的に動き、やる気に満ち溢れているとき、産婦さんの陣痛の波は遠ざかってしまう。

いつもそうなので、
調子が悪いときは
「あー(予定日近い人)そろそろかな」
と思うようになった。

もしかしたら、低気圧とかで私の心身の調子にはマイナスに、お産にはプラスに作用してるのかもしれないけど。

私はここに赤ちゃんからのメッセージを感じている。

ひとつは、
「お産の主役はお母さんと自分なんだよ!お前じゃねぇから!そこんとこよろしく!」
ってこと。

自分が元気でエネルギーに満ち溢れていると、
よっしゃー!アレもコレも完璧だぜ!いいお産にするぞ〜!
などとおこがましいことを考えて、気負ったりする。

いやいや、お前が産むんかい。そうじゃないでしょう。

体調の悪いとき、しんどいときは
そんな余裕はないので
ママと赤ちゃんの力を信じて
基本の最低限すべきことと、腰さすりばあさんに徹することになる。
引っ張っていく、というより
ヒィヒィ言いながらなんとかついていく。
「いまはしんどいですよね」って声掛けだって、もうママにしてるのか自分に言ってるのか分からない。

そういうとき、お産はぐっと進んで、
赤ちゃんはつるんと生まれる。

停滞してたお産も、
私の方がエネルギーや気力が切れてきて眠くなってきたころ、
にわかに祭りが始まったように進みはじめることも少なくない。

いつも自分が主役でないと居心地の悪い私だが、お産に関しては
自分を滅したときに流れができる
ということを実感してる。
元気だと分かっていてもそれが難しいので、
調子が悪いときに赤ちゃんは来るのだろうなぁ。
「産むのはママ、産まれるのは自分。あなたじゃないんだよ。とりあえず肩の力抜こうね」って言いながら。

こうやって書くと、赤ちゃんは厳しい?と思われるかもしれないけど、
彼らは優しくて思いやりのある存在だとも感じている。

お産に立ち会ったことのある人なら分かると思うけれど、
お産ってめっちゃエネルギーもらえるんですよね〜。
大抵の体調不良は、お産のラストスパートには回復してるし、鼻水も止まっている。
だから、私の体調の悪いときにお産にして
元気をくれようとしてるのかもしれない。
「めぐ、なんか弱ってるじゃん。よし、いっちょ元気づけてやりますか☺️」

助産師という仕事だったり、
妊娠やお産ってことに長く関わっていると
赤ちゃんが本当にママや家族にとって、なぜか私にとっても、一番よいタイミングに来てくれるなって感じます。命を張って。

すべての赤ちゃんは、大人よりずっと賢くて、優しい。(だから、お産や流産、唐突な出血、早産とか、お産が遠ざかったその時点では、その意図が分からないことも多いんだけど、振り返るとそれが必要だった理由が明らかになることが多い。それにしても当院で産まれる赤ちゃんは、びっくりするほどその家族にとって都合のよいときを選んで来てくれる。ありがたや…!)

こうやって書くと、
赤ちゃんって、大切なことを生徒が理解できるまで、なんども教えてくれる根気強い先生みたいだなぁって思う。
そして私の元気がないときは、自分の姿というか生き様で元気づけてくれる。

これからも、赤ちゃんから大切なことを教えてもらうんだろうなぁ。
赤ちゃんは私にとって先生なのでした。

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