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自家採種、カビさせない保存方法、固定種、F1

2015年9月25日

9月も終わりになって、ようやくトマトが色付いてまいりました。

夏のまんなかくらいから結実していたのにいつまでも青いままなので、農業をやっているおばあさんに相談したところ

「日光が当たらないと赤くならないよ」

と言うのですが、我が家の畑は一日中日光の当たる場所にあるけれど赤くならないのです、と答えますと、

「じゃあ、肥料だね」と言う。

それでも一応元肥も与えたし、追肥として有機液肥を与えているんです、と言うと

「液肥じゃダメだよ。固形でなくちゃ」

おばあさんは無農薬で野菜を育てていると以前聞いたことがあったので、どんな肥料を使っているのか知りたくて聞いてみましたら、

「リンと窒素とカリウムが混合されたやつだよ」

「それは化学肥料ですか?」

「化学肥料をあげなければ野菜は育たないよ。キュウリだってまっすぐに出来ないしトマトも赤くならないしね」

「あれ?無農薬だって言ってませんでしたっけ?」

「農薬は使わないよ、使うのは肥料。化学肥料。」

てっきり無農薬とは、化学肥料を使わないことだと思い込んでいました。

確かに我が家のキュウリは、その殆どがクルリと丸まってしまうし、トマトも赤くならないなよあ。

野菜作りってきちんとやらないと成果は出ないんだなと自分の適当さを反省しました。それが有機栽培ならなおのこと。

ほとんど雑草は抜かないし追肥も適切な時期にできているのかあやしいという放置栽培です。
それでも、それなりに収穫できてしまっているからますます放置してしまう。

来年は土作りからがんばろう。
(今年初めにも土作りを頑張ると言っていたのに出来なかった→2016年の今年もやっぱりがんばれなかった→来年こそやる)

キュウリをまっすぐに育てるためのコツをコメントで教えていただきました。

①キュウリは水をたくさん必要とするため、こまめに水遣りをする

②短期間に沢山の実をつけるため、2週間に1回の追肥(化学肥料でなくてよい)

③実は若いうちに収穫して、株に負担をかけない

うちのキュウリが曲がったのは、完全に①と②が原因でした。

※今年学んだところによりますと、ナスもキュウリ同様に大量の水+こまめな肥料で育てるのが沢山収穫するコツだそうです。

ちなみにトマトが赤くならないのは日光・気温が不足している ·、肥料・水が多すぎる 、わき芽かきが十分でない.などが原因として考えられます。
リン酸成分を多めに与えるとよいとのことです。

そんな悩みだったトマトが赤くなってきまして、いくつか熟しすぎて落下していたので、採種してみました。

自分で採種すると、特に水気の多い野菜の種は、乾燥させたつもりでも保管中にカビてしまうことがあります。

数年来自家採種して野菜を育てている人に悩みを打ち明けてみましたら、カビさせずに種を採る方法を伝授してくださいました。

バクタプル(ネパール)の固定種トマト。2代目です。
断面

①野菜から種を取り出して、少量の水と一緒に瓶に入れます。

ゼリー部分も一緒に

②そのうち泡立ってきますので、発酵が進んだところで瓶から出します。
水ですすいだあとよく乾燥させ、紙などで作った袋に保管します。

すると、カビないのだそうです。

今のところ失敗はないと言うので、やってみようと思います。


2016年8月追記:
この種の保存方法でうまく行きました、カビることもなく発芽率もよかったです。

それから気になったのが、種の先祖がえりの話です。

「種を採って育てた野菜に、親とは異なる特徴をもった実ができる」

親はいわゆる普通のトマトだったのに、その種から育てたトマトは小ぶりで酸味の強い、まるで野生種になったようなトマトだったそうです。

それを聞いたときには「へえ、そんなこともあるのか、不思議だなあ。」と感心していましたが、最近読んだ本の中に、交雑種「F1」のエピソードがありまして、詳しいことはF1で検索して頂ければと思うのですが、それによるとF1品種は一代交配種のため自家採種をして蒔いても同じ品種にはならないとのこと。

例えば「大きくて甘い、収量が3倍のトマト」の種を購入し育てて採種しても、その種から育つトマトは交雑する前の特徴を持ったものになってしまう、つまり大雑把に言えば「通常の大きさの、通常の甘さの、普通の収量のトマト」ができるということなのです。

なぜこんな事が起きるのか簡単に言うと「メンデルの法則」によります。
(シワシワのマメとツルっとしたマメを掛け合わせると、その子どもは~というあの実験です)

違う特徴を持つ2種を交雑すると、その子には「雑種強勢」という現象により両親よりも優れた形質のものができます。

さらに特筆すべきは、このF1(交雑第一子)は自分と同じ特質を持つ子を作らないということ。

上のトマトの例はわかりやすく説明しただけで、実際は「分離の法則」より、子には親の形質が劣性1:優性3で現れ、代を重ねる毎に劣性の割合も増えます。(優劣は品質ではなく形質の発現性を指します)

先述の先祖がえりしたというトマトも、きっとそういうことだったのでしょう。

先に登場したおばあさんも、自家採種する場合の注意点として「2~3年に一度はタネを更新しなければならない」と言っていました。

どういう意味かといいますと、「自家採種していると代を重ねるごとに、皮の硬い・味の劣る野菜が実るようになるので、そうなる前に新たにタネを購入している」ということです。

つまり、おばあさんはF1種から採種して、次第に交雑元の性質が出現してきたので「タネが悪くなった」と感じたのだと思います。
(これはおばあさん流なので、自家採種の場合、必ずしも数年ごとにタネを購入し直す必要はありません)

現在市場に出回っている種子のほとんどがF1で、ではどうやって固定種と見分けるのかというと、種の説明に「F1」または「交配」の文字があるかどうかです。

しかしF1とは言え、代を重ねるごとに元の姿に戻っていく上に、その土地に適した性質になっていくのだとしたら、導入はF1だったとしても特に問題はないような…?

でも交配元の身元が確かでないという意味では、種(しゅ)の保存としてはダメなのでしょうね。

2016年の春に、固定種のみを扱う「野口種苗研究所」さんで種を少し購入しました。
毎年種を継いでいけたらいいなあと思っています。

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