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絵画制作小論

私は、現実の存在物でなく、意識の上に昇る想念を対象としてこれを分析し、再構成することをもって絵画の方法論とする。
無意識を具象的に露出させることは私の絵画の目的のひとつである。
私たちの目の前にあるものは前意識に刷り込まれ、暗号化されて無意識の中に落とし込まれるという過程を経て、ありのままに見えているかのごとく存在している。
前意識というシュレッダーにかけられ、暗号化された現象を無意識の中から取り出して再構築するのである。
先に
「私は、現実の存在物でなく、意識の上に昇る想念を対象としてこれを分析し、再構成することをもって絵画の方法論とする。」
と書いたが、これだと観念論に陥る危険性があることは百も承知である。
私は想念を対象としてこれを分析・再構成する際、常に現象を参照しようとしている。現象は常に絵画の「それ自体」を形成する具材であり、ここから取ってこられたもの以外によっては、私たちは絵画を描くことができない。
常に生活の中にあるものを観察し、生活の中にあって生活を生きることが私たちの「描く」という行為に直結してくる。
観念的なものに取り組む者は、心してこの生活空間の中に生きることを求めなければならない。

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