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島日記 桃源郷と錯覚

夜明け頃の温度は7℃、冬季でも寒いほうだ。
だが風がおさまったので、寒くても体感温度は上がったように感じる。
ポンカン収穫なので厚着をして行った。
朝のうちは手がかじかんでいたが、一枚いちまい脱いでいった。

園主がいなくて一人で作業する。
山の中、空は青く白い雲が流れる。
蜜柑を食べに来たヒヨドリのさえずりだけが聞こえる。
一瞬静寂。
猛禽類が旋回しているのだ。

地面より2メートルほど高いところから見る景色は格別だ。
最後の全採りなので色を迷わず、採果鋏で2度切りして肩にかけた袋に入れる。
はじめは投稿のことなど考えながら作業していたが、いつのまにか無心になっている。
草取りや縫い物をする時と同じような何も浮かばない境地だ。
手だけ動いている。

しばらく続けていると、空から光の梯子が降りてきて案内される気分になる。
そんなはずはない、私は善行など積んでないから梯子が降りて来るはずがない。
無意識に否定している。
白昼夢を見たのかもしれない。
陽が降り注ぎ、桃源郷にいる錯覚を起こしたようだ。

桃源郷は中国の伝奇小説で陶淵明の「桃花源記」からきている。
桃の花が咲き匂う村に迷い込んだ漁師は、秦の戦乱を避けて隠れ住んだという村人に、もてなしを受けて帰ってきたが、2度とその入り口を見つけられなかった話である。

山肌の紅葉とポンカン
オナガカエデの紅葉、右はタンカン、来年2月収穫
掃溜めにツルならぬユーチャリス
帰り道海側道路
海に夕焼け梯子

見出し画像は今朝の朝日、毎度同じ時間の西側、カラスがいたので。

飛んでるカラスかわいい

今日終わらなかったので明日も作業だ。
桃源郷の境地になったら戻れなくなるかもしれない。
まだまだ浮世のほうがいい。


今日も読んでくださってありがとうございます。

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