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島日記 至福のとき

燃えているような朝焼けだ。
今朝初めてはっきりと「ホーホケキョ」の声を聞く。
らしい鳴き声はしていたが、定番の声を聞くと妙に安堵する。

休みの日はあれをしよう、これもと張り切っているのに、身体が拒絶していてぼーっと窓ばかり見ている。
コーヒーがおいしい。

お店をやっていた時に「至福の時」をカウンターの向こうで、連発するおじいさんがいたのを急に思い出した。
私も至福を感じる歳になったのだな。

「つれずれわぶる人はいかなる心ならん。まぎるるかたなく、ただひとりあるのみこそよけれ」

わぶるとは寂しい意味の他に、閑寂の境地を楽しむ意味もある。
誰にも邪魔されずひとりつれづれに浸るのが一番いい。
兼好さんの言う通りだ。
まさに至福の時間だ。

仕事に行けばおしゃべりが楽しい人たちが必ずいる。
若者がイヤホンをしている意味がよくわかる。
私は聴力はさほどよくないのだが、感知能力というか、人の喋りが脳内に流れ込み過ぎて、あれこれ膨らんで飽和状態になるのだ。
聞かざる、ことができない。

TVも字幕のある映画、ドラマ以外は見なくなり、YouTubeも音楽以外は苦手だ。
文字ならどれだけ饒舌でも受け入れられるのに。
気心知った友との会話は愉しいが、耳に聞こえる会話やお喋りはできるだけ敬遠したい。

人はそれぞれ苦手なものがある。
もう無理して和気あいあいする必要もあるまい。
など考えた今朝の至福の時である。

一輪咲いているのが好みだが、一面咲いているのも悪くない。
一輪挿しが好きだが、投げ入れもいい。


今日もお付き合いくださってありがとうございます。

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