見出し画像

杜之樹的広告 2019 20th anniversary

画像1

 のっけからこんなことを言うのも、どうかと思いますが、この宿は、「老若男女を問わず、どなたでもお気軽にお越しください」というタイプの宿ではありません。

 大変申し訳ありませんが、「しみじみと孤独を楽しみたい方」や「二人っきりで甘いひとときを過ごしたいカップル」、「大勢で酒を飲み騒ぎたいグループ」には、決してお勧めいたしません。 

 また、この宿には、完全なる個室は存在しません。ベッドルームでの飲食は出来ませんし、お風呂やトイレは共同です。昨今個室の要望が多いのですが、ドミトリー(相部屋)が主体のバックパッカーズホステルです。個室がいいなら普通にホテルをお勧めいたします。 

 石垣の上にあるので、坂道を登って疲れ切っているのに、追い打ちをかけるように石段があります。重いスーツケースでお越しの方は大変かと思いますので、次回はバックパックで来て下さい。
 また、古い日本家屋なので、バリアフリーではありません。本来なら、バリアフリーにしなければならないと、思っております。これはこちらの落ち度です。申し訳ありません。車いすでは廊下も通られません。トイレも行けません。これでは、本当にいけないと思っています。建物の不備は人のアイディアとチカラでカバーしたいと思っておりますので、至らぬ点ご迷惑をおかけする点はご了承ください。
 古い民家なので、柱が少し傾いていたり、戸がチョッとイビツだったり、廊下がキシむところがあります。完璧な手直しをすればよいのですが、それが古い家の味として歴史を感じていただければ幸いです。
 冬期間は、凍死こそしませんが、室内でも、とても寒いと思われます。大きな改築工事をしたり、暖房設備などを充実すれば、いいのかもしれませんが、そう簡単には出来ない事情というものがもあります。

 最寄りの駅(南小樽)から車で2、3分のとこですが、歩くと10分ぐらいかかります。それもちょっと淋しい坂道です。
 降りる駅は「小樽駅」をオススメします。歩くと15分ほどかかりますが、小樽の中心の駅で、観光案内所もありますし、ロッカーも寿司屋だってあります。小樽に来るなら小樽駅は必ず寄るポイントのひとつです。駅を出ると真っ直ぐに港が見えます。宿までの道程も平坦でアーケードのある商店街を通ってきますので、小樽の街を楽しめます。それも旅のひとつだと思っています。
  駅から歩くと微妙な距離にあるというのに、送迎サービスはしていません。町歩きを楽しんで貰いたいのもありますが、もし荷物が多いようでしたら、大変申し訳ありませんが、タクシーをご利用ください。この宿屋がほかの仕事を奪うようなことをしたくはありません。
 レンタカーが安くなって、車で旅する方も増えましたが、生憎駐車場は3台までしありません。でも、無料です。ましてやバイクにいたっては路上駐車になってしまいます。どうしても心配な方、ご遠慮ください。ほかのお宿さんをご紹介いたしまので、お許しください。

 この宿にはカフェもレストランもありません。恐れ多くて食事を提供するようなことはできません。宿の近くには、たくさんの飲食店があり、たくさんの素敵なカフェがあります。もちろん居酒屋やバーもあります。宿にはありませんが、宿の近くにはたくさんあります。ご希望のお食事などがありましたら、お店をご紹介いたします。ただ、そのお店が気にくわなくても、ぐるなびなどの投稿しないでください。その店が至らなかったのではなく、家代のオススメがダメだったのです。家代を非難してください。
  この宿には自炊設備があります。とりあえず一通り料理ができる鍋釜調味料はあります。石狩鍋やジンギスカン、ローストチキン、ブイヤベース、ピザ、シフォンケーキなどなどを料理することができます。ご一緒になった旅人とシェアする夕食などいかがでしょうか?家代も若干のお手伝いはできますので、ひとくちいただければ喜んでお手伝いいたします。
 この宿には、温泉はありません。もちろんお風呂やシャワーはあります。カラオケもありません。バーもなければ、テニスコートもありませんし、卓球台もありません。もちろんルームサービスもありません。ライブやパーティなの大がかりなイベントはもありません。
  その上、この宿には、普通のテレビはありません。テレビは、DVD専用なので、地上波は映りません。野球や連続ドラマなどを見たい方には、不満に思うかもしれませんが、そのことで、家代を責めたりしないでください。今後もテレビを撤去することはあっても、「朝ドラ」を見られるようになることはありません。
 また、ギターやオルガンなどの楽器もありますが、家代は何にもできません。皆さんが素敵な音楽を奏でてください。
  でも、この宿には、マンガがたくさんあります。数は多いのですが、少々偏ったところがあります。「たがみよしひさ」の作品は、ほとんどありますが、「空知英秋」は一冊もありません。「ガラスの仮面」も「ワンピース」もありません。でも「石の花」や「火の鳥」はあります。お客さまのお好きなマンガがないからといって、家代に詰め寄らないでください。

 この宿には、イヌとネコがうろついています。犬種は、大変由緒正しいイヌですが、そう思えない節もあります。この宿にあなたが来たときは、かなり大きな声で吠えると思いますが、絶対に噛むことはありません。飛びつくことがあっても、決して噛むことはありません。たまに機嫌が悪いときは、怒ることもありますが、きっと噛むことはありません。走ったりすると、吠えて追いかけてきますが、たぶん噛むことはありません。イヌが嫌いな方には、恐怖であると思われますが、ご了承ください。彼らは、彼らなりに、一生懸命に接待しているので、許してやってください。
 また、ネコも同様にただ惰眠をむさぼってるのではなく、それなりに一生懸命接待しております。
  イヌやネコアレルギーの方は申し訳ありませんがご注意ください。

 この宿は、こういう宿ですが、小樽運河にも近いですし、寿司屋通りもすぐそこです。まあまあの眺めですし、落ち着いた静かな宿です。
  また、宿には、カードゲームやボードゲームなどのもありますし、幾枚かのいい音楽のCDがありますし、日当たりのいい縁側もあります。ビクトル・エリセの映画もありますし、旅に関連した本もあります。小樽ビールもありますし、焼酎もあります。  さらに、家代は、気が向くとコーヒーを淹れますし、パンも焼きます。蕎麦も打ちます。多少無愛想なところはありますが、話し相手には最適な存在でありますし、知っていることは何でも教えます。でも、知らないことがたくさんあるので、そのことで呆れないでください。

 ま、とにかく一度来てみませんか?

 で、来てみたら思ったよりつまらない宿かもしれません。それはこちら側の至らない点もありますが、この宿はスタッフが作り上げてるのではなく、ここに来る旅人のみなさんにこの宿を作っていただいてます。

 私は「宿主」宿の主(ぬし)ではありません。この宿、家の代表です。いわば管理人「家代」です。この宿の主(ぬし)は紛れもなく「旅人」のみなさんです。宿の主(ぬし)は旅人。つまり、ここは旅先のあなたのウチです。
  家代は「さあ!みんなで飲みましょう!」とか「さあ!うたいましょう!」とか「さあ!ゲームをしましょう」とか「さあ!語り合いましょう!」とか、滅多にクチにしません。流れでそうなることがあっても、こちらから強制することも誘導することもしません。放置状態です。話相手になって欲しいときは、それとなく合図を送って下さい。存分にお相手いたします。

 宿の雰囲気は、そのとき一緒になった旅人によって変わります。楽しいときもあるし、気まずいときもある、淋しいときもあるかもしれないし、一生忘れられない出来事があるかもしれない。

 この宿はそういう宿です。

 街の印象もそうです。
 ま、旅はそういうもんだと生意気にも家代は思っています。

 ですから、一度来て、また来てみてください。
  きっと次は違った雰囲気のこの宿に、この街に、あなたの旅に出逢えるはずです。

 ま、まずは一度来てみたら。 

 そして、また来てみたら。

"The Otarunai Backpackers' Hostel MorinoKi" はらだまさき拝

画像2

This is Backpackers' Hostel for Free and Independent Travellers in Otaru Hokkaido, JAPAN. This Backpackers' Hostel is used the old Japanese house. It is a small scale and one of the oldest Backpackers' Hostel i Hokkaido. It was established in 1999. When you visit here, we might let you down. We have No cafe, No bar, No TV, No Onsen, No Air conditioner, No Pick-up service, No every night party and No Smoking. We have Dorm rooms with bunk beds, Free wi-fi, lots of Books & Movies, Self-catering Kitchen, Hot Shower & Bath, Laundry and Friendly Staff with Dog & Cat. Good location, Quiet environment, Cozy atmospheres and Feels like home. This is The Otarunai Backpackers' Hostel Morinoki. Thanks a lot.
※「会う贅沢」:コピーライターの岩崎俊一氏の1982年西武百貨店ギフトキャンペーン広告のコピー「会う、贅沢。」より。

2017年10月10日
2000年春/2008年秋改/2011年秋改/2012年秋改/2017年秋改/2019年夏改


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?