森ノーカ 9月 激臭の時


昨日と一昨日 会社を無断欠勤した。正確に言うと無断欠勤したのは昨日だけで、一昨日は仮病で休んだ。なぜ私は昨日一昨日と休んだのか。それは今週の月曜日に大きな失態を犯してしまったからである。じゃあその実態はなにか?なぜその失態を犯したのか? 話は先週の金曜日まで遡る。
先週の金曜日は雨が振るという予報であった。私は自転車で会社まで行っている為、雨が振ってしまっては会社に行くことができない。なので雨が降る前に入社時間の一時間ほど前から会社についていた。
そしていつものように会社でクリーンスーツに着替え、仕事をした。
 仕事を終え、退勤の時間になる。外に出てみると、大粒の雨が振っていた。とても自転車で帰れる雨量ではない。だがタクシーを呼ぶ金は無い。それにタクシーを呼んだところで、タクシーに自転車は積めない。濡れて帰るしか選択肢はないのだ。私は先輩たちに一瞥すると、自転車にまたがり家路についた。
家についた時には身体中雨まみれ 水に濡らした雑巾のように、作業服から雨が滴っていた。
すぐ玄関で裸になり、作業服を洗濯機に入れ、風呂に入った。その時私は洗濯機のスイッチを押すことを忘れてしまっていた。
そして明けて月曜日 いつも通りギリギリに起きた私は、仕事へ向かう作業服を探していた。だが見つからない。記憶を辿る。洗濯機を開けてみた。そこに作業着はあった。だが若干異臭を放っている。
しかし今から洗って乾かすのを待ってる時間は、私には無かった。そのままその服を着て会社に向かった。
会社についてから仕事が始まるまで、食堂で待機していた。
すると班長が、おもむろに窓を開けた。なぜ開けるのかと聞くと、換気をするとのことだった。
 食堂の窓を換気の為に開けているのを、私は初めて見た。その後クリーンスーツに着替え、作業服をロッカーに入れた。
昼、お昼休憩でクリーンスーツから作業服に着替え、食堂にいると、工場で支給されている携帯に電話がかかってきた。出てみると相手は係長であった。
「ごめん 森ノーカくん 君の作業服から凄い臭いしてて、苦情が来てるから、もしあれなら一回抜けて貰って、洗ってからもう一回来てもらっていいかな?」
私は愕然とした。恥ずかしすぎて、その場で自害してしまいたくなった。私は謝った。すぐに職場を出ようとした。だが、考えてみた。一回職場を出て、服を洗って、乾燥させた後に、職場に戻ってなに食わぬ顔で仕事を続ける胆力が、私にはあるだろうか。私は係長に「今日はそのまま早退します」と告げた。
係長は「わかった 班の人達には伝えておく 」と言った。係長は最後に私に「お風呂とかちゃんと入ってるか?」と聞いてきた。私はショックだった。係長は、私が出している異臭の発生源を、私の服では無く、私の肉体だと思っているのだ。
そのまま家に帰りお風呂に水をはった。そこに洗剤をコップ一杯いれ、着ている服を全てそこに投げ入れた。
そして風呂に入った。風呂から上がって、室内着をを着て、そのまま寝た。起きていると涙がまぶたから溢れ出てしまいそうであった。
そして次の日 私は仕事を休んだ。皆がどう思っているのかと考えると、とてもではないが行けなかった。
服が臭すぎて会社を早退させられた奴がいる。そんな奴がどんな顔して次の日仕事に行けばいいというのか。私は会社に休みの連絡を入れた。体調が悪く熱があったと嘘をついた。
だがきっと私の班の人達は皆がそれが嘘だと気づいているだろう。そんな都合良く熱など出るものでもない。
休んでいる間、会社の事を考えた。今会社では皆がきっと私の話をしているだろう。
「あいつ仕事休んだぞ 絶対ショックで休んでんだろ」「くさかったよな 本当 」そんな話をしているのだろう。そう思うと、より職場に行くことが出来なくなった。
休んだのだからせめて、家の掃除くらいはしようと思った。だがそれすらやらなかった。ずっと家で寝ていた。その事実が私をより自己嫌悪に陥らせた。
次の日 今度はなんの連絡も入れず、仕事を休んだ。もう会社の受付の女性に、体調不良と嘘をつくのもいやであった。
その日の夕方。来客があった。会社の先輩であった。
会社の先輩とそのまま揚げ物屋さんに向かった。とんかつを奢ってくれた。
「そんな事で傷ついてたら、この先やっていけないぞ 別に臭いなんて対処すればいいだけなんだ」と言われた。感激を受けているフリをしたが、別に感激は受けていなかった。くっさいセリフだなと思った。まぁ臭いのは私の体なのだが。
次の日仕事に出た。 同じ班の人には謝罪をした。
気にしなくていいと言われた。係長には言い方が強かったなら申し訳なかったと言われた。
一日目に休んだ日の夜、配信をした。配信中私は、この件を言えなかった。旗から聞いたら面白い話なのはわかっていた。服が臭すぎて仕事を早退されられた。それのショックで一日休んだ。アホすぎて面白い。だがそれを配信で言うことは出来なかった。
恥ずかしかったし、馬鹿にされるのが怖かったんです。ごめんなさい。
まぁそんな感じです。 SHEISHIは明日からまた書きます。待ってる人がいるかはわかりまけんが。

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