あーぼ へーぼ!?/あの日、天然水の森で。
「サントリー天然水の森 東京農業大学奥多摩演習林プロジェクト」の舞台、“東京農業大学 奥多摩演習林”を訪れた時のことです。
演習林長の菅原泉教授から、ちょっと変わった言葉を教えていただきました。
「この辺りでは、山の神様のことを<あーぼ へーぼ>と云いまして……」
えっ? あの、もういちど、仰っていただけますか……
「<あーぼ へーぼ>、です……」
<あーぼ へーぼ>!? いったい、何語?
奥多摩といえば、ある地名が思い浮かびます。
「サントリー天然水の森 奥多摩」の所在地は、
東京都西多摩郡檜原村字人里。
はじめてそうと知って驚いたのは、最後の“人里”の読み方でした。
なんと、<へんぼり>と読むのです。
※人里=へんぼり、という読み方の由来については、下記をご覧ください。
<あーぼ へーぼ>にも、きっと、謂れがあるに違いありません。
ありました。
小正月、その年の豊作を祈って、ヌルデやニワトコ、コウゾなどの木を、粟(あわ)の穂の形にしつらえて竹に挿したものを、神々に供える。
稗(ひえ)に見立てた穂状のものを、共に飾ることが多い……
なるほど。
<あーぼ>は、<あわほ>。<へーぼ>は、<ひえほ>。
同様の風習は、日本各地に伝えられていて、その地、その地で、少しずつ、呼び慣わし方が違っているようです。
奥多摩を含む地域では、<あーぼ へーぼ>。
もともとは農耕儀礼の一つのようですが、山で生きる人々が、同じように山の神々に祈りをささげ、やがて山の神々のことを<あーぼ へーぼ>と呼ぶようになったとしても、何ら不思議はありません。
「山で生きる人たちにとっては、たとえば、その岩も、<あーぼ へーぼ>なのです」
わかる気がします。菅原先生。
2013.4.18|サントリー天然水の森 東京農業大学奥多摩演習林プロジェクト