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雨粒を待つお椀/あの日、天然水の森で。

2003年から始まった「サントリー天然水の森」の活動。
実は、この公式note「森に、あう。」を担当している”わたし”の父もコピーライターとしてこの活動に携わらせてもらっています。そして、時々師匠と一緒に森に入っては、森の小さな小さな営みをカメラで捉え、エッセイを書いていました。
今も昔も、変わらず森には生命いのちがめぐっています。それらを、ちょっと前のエッセイから感じてみよう、というシリーズです。

「サントリー天然水の森 きょうと西山」の渓流沿いで、面白い花を見かけました。

“チャルメルソウ(哨吶草)”。
名前も、姿カタチに劣らず、面白いですね。
由来は、屋台のラーメン屋さんが鳴らす“チャルメラ”。
花の後、お椀型に上を向く実のカタチを、
特有のラッパに見立てたのだそうです。

出合った時、チャルメルソウは、ちょうど、実りの時期を迎えようとしていました。
すっともたげた花穂に、ほら、点々とお椀が連なっています。

覗いてみると、実の中には、たくさんの種の粒々があります。
種を入れたお椀を、上向きにかかげる。
チャルメルソウの実が、このような不思議な型をしているのには、
実は、ちゃんとした理由があるのだそうです。
実が待っているのは、雨粒。
雨の滴が、ひゅー、ぽたっ、と、お椀に降り注いだ時、
ぴちょん、と弾ける水の力を借りて、種が四方に飛び散る仕組みなのだとか。

梅雨の時期にあわせて実を結ぶチャルメルソウに、
どうか雨粒の恵みがありますように。

2013.05.16|サントリー天然水の森 きょうと西山