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「地」の特徴を活かす

異業種だった私が約20年前に、あるお客様より「せっかく小豆島に来たのに夕食にマグロの刺身が出てきたのは、がっかりした」という話を聞いた時は、何かもの凄い衝撃を受けたことを覚えている。

瀬戸内海の小豆島に来て、マグロが出て本当に美味いと思う人はどれくらいいるだろうか?

それ以来、私は島の宿の方にはお客様が求めているのは、「地」のものであるということを話し続けている。「地」の魚を提供しようとすると、白身の魚ばかりになってしまうが故に、見た目に華やかさが無くなってしまう。

ただ、それがお客様の求めている「地」のものである。見た目はともかく、食べれば一瞬でそれは覆る。「地」の魚を「地」の醤油で食べる。これこそがお客様の求めている「旅の食」なのである。

客室からのエンジェルロード3

似たような話で、これも20年ほど前に関係先の社長様よりレンタカー事業を始めようと思うという相談を受けた。その当時は島でのレンタカーは数台しかなく、二次交通の整備が必須であった。

そこで社長様にお願いしたのは、小豆島の道路事情から見て軽自動車のレンタカーをやってほしいということだった。それまでにあった数台のレンタカーは全て普通車であったため料金が高いこと、運転にさほど慣れていないお客様は敬遠してしまうという問題があったからだ。この社長様は私の意見を取り入れてくださり、多くの軽自動車を投入してレンタカー事業を始められた。

今でこそ、島のレンタカーは、あの当時の数十倍もの供給体制となり、軽自動車があることが当たり前になった。

良くも悪くもその土地の「地」の特性や弱みを十分に理解すること。それがお客様の立場に立つという事、お客様目線ではないかと思う。