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【格闘ゲーム】謎の格ゲー『DNF Duel』はいったいどんなゲームだったのか【アラド戦記】


2021年12月18日から20日にかけて、新作対戦格闘ゲーム『DNF Duel』のオープンβテストがおこなわれました。

『DNF Duel』は韓国や中国で人気のMORPG『アラド戦記(Dungeon & Fighter)』を原作とした格闘ゲームです。
公式サイトを持たず、Twitterアカウント(→@DNFDuel)とYOUTUBEの動画だけでゲーム紹介をおこなうという、あまりにも令和な広報活動から謎の格ゲーとして注目を集めていた今作。

開発として

アークシステムワークス(代表作:ギルティギア・ブレイブルーシリーズ)

エイティング(代表作:Fate/unlimited codes・タツノコ VS. CAPCOM・MARVEL VS. CAPCOM 3)

と、とても元気な格闘ゲームを作る2社が名を連ねていたこともあって、期待と不安を膨らませていた好事家も多かったのではないでしょうか。

今回のβテストでようやくそのベールを脱ぎ捨てた『DNF Duel』ですが、これがもう期待以上のものすごい格ゲーだったので、この記事ではその魅力を存分に紹介していければと思います。

※下記の公式動画では基本のシステムが紹介されています。


1.ワンボタンで繰り出されるハチャメチャなスゴ技の数々


『DNF Duel』の特徴をひとつ挙げろと言われればこれでしょう。
このゲームではいわゆる必殺技コマンドは廃止され、方向キー(レバー)+スキルボタンだけで必殺技が繰り出せるようになっています。

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公式(https://drive.google.com/file/d/1d6sIGV2nDw59HeqrKac5ysKh500G6Bva/view)で公開されているコマンドリスト。覚醒スキル(超必殺技)すらワンボタンでぶっ放せます。

これだけなら「ああ、スマブラと同じか。最近増えてるよね」で片付くのですが、この『DNF Duel』というゲーム、ワンボタンから繰り出される必殺技の’’圧’’がハンパじゃありません

僕が使っていたドラゴンナイトを例に上げると、

空中から斜め下に撃てる大きな飛び道具で・地面に当たったらデカい爆発を起こして(もちろん攻撃判定アリ)・ヒットしたらコンボにいけて、真下に潜り込まれても空中浮遊(空中MS)で着地狩りを回避できる・令和の斬空波動拳「ナックルブラスター」(空中S)

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画面4分の3くらいのリーチを誇る最強クラスの牽制技「太刀・竜帝無双」(前MS)

といった「これワンボタンで出せていいの?」といったスゴ技が簡単に繰り出せます

特に無法なのがMPを消費して撃てるMPスキルで、「リソース使ってるんだからいいでしょ」という開発の声が聞こえてきそうな、常軌を逸した必殺技の数々を各キャラが所有しています。

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PVの時点で「これやばくない?」と騒がれていた異端審問官の「車輪の刑」(後MS)。見た目通りのクソデカ判定な上に、ヒットで大ダメージ・ガードされてもたぶん200F(約3秒)くらいは有利取れます

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人呼んで『令和のエイジスリフレクター』、クルセイダーの「ディフレクトウォール」(前MS)。「画面内どこにでも壁を貼って疑似画面端を作れる」時点でだいぶ頭のネジがぶっ飛んだ技ですが、一番ヤバいのは一瞬で相手の位置をサーチして背後に攻撃判定を出すところだと思います。

これらの超スゴ技がボタンを押すだけでバンバン画面上に現れて何かが起きるので、とにかくボタンを押すのが楽しい格闘ゲームです。

また初心者にとって最初の障壁である必殺技コマンドがないのは、このゲームで格ゲーを始めようという人にとっても良いことだと思います。
極端な話、「格ゲーに必殺技コマンドいらなくね?」とまで言っていいと思います。大して差がつく部分でもないわりに、新規参入の壁ではあるこの風習を取っ払ったのは英断でしょう。

ボタンを押すのが楽しいこのゲームをプレイすると、本当にそう思います。


2.からの意外と硬派な立ち回り


ワンボタンですごいことが起こる『DNF Duel』ですが、キャラの立ち回り部分については意外と硬派寄りです。

まずこの見た目で空中ガードができません。今回はβテストだったのでそれほど対空迎撃はされませんでしたが、対戦環境が煮詰まってくると『ジャンプ=死』くらいの危険度にはなりそうです。
空中ダッシュ・2段ジャンプも一部キャラの固有システムなので、基本は地上戦がメインのゲームといっていいでしょう。

飛び道具すら空中ガードできないのに先に挙げたようなウルトラ技がバンバン飛んでくるとなると、かなり息苦しいゲームになりそうですが、そこは格闘ゲーム老舗の両社、色々なシステムや仕様により、かなり絶妙に調整になっているので、それを次の項で説明したいと思います。


3.そこまでハチャメチャにならない?対戦バランス


・充実(?)の防御システム

「ものすごい判定の地上技がブンブン飛んでくるのに空中ガードもできないなんてオワじゃん」
「車輪で一生ハメられてる動画見たけどクソゲーでしょこれ」

前者はこの記事をここまで読めば出てくるであろう真っ当な意見。後者は色んな衝撃映像が投稿されているSNSで散見される感想です。

まず前者についてですが、このゲームには回避移動という共通システムがあります、他ゲーでもよくある無敵状態で前方に移動するシステムですね。大体の飛び道具や超リーチの技はこれで回避できます
残念ながら投げ無敵はないので、これも煮詰まってくると読み合いになるのですが、このゲームはダッシュから硬直無しで即ガードできるので、ダッシュガードでチマチマ近づくこともできます。

後者については、そもそも固められたところで、ガードキャンセルで切り返すことができます。ガーキャンには少なくないMPが必要ですが、MPは自動回復するので防御してるうちにモリモリ溜まっていきます
ガーキャンは防御されると反撃確定なのでこれまた読み合いになりますが、下MSが全キャラ共通で無敵技や当身などの切り返し技となっているので、選択肢を散らすことはできます。

言ってしまえば、SNSにあるヤバそうな動画の8割くらいは回避移動とガーキャン、そして無敵技でどうにかなります

グラップラーの永パなんかも発見されてましたが、あんなんどうせ製品版で消えるに決まってるので気にしなくていいでしょう。(たぶん)

あれほどの威容を誇っている車輪も、空中ヒットしないかぎりは大して怖くないです。これにはもうひとつ理由があって、このゲームは崩しが極端に少ないのです。

・崩しの少なさ

個人的にはワンボタン必殺技と並ぶ『DNF Duel』の特徴だと思います。少なくともβテスト時点では、地上中段を持つキャラがいません。中段判定を持つのはジャンプからの攻撃のみ。そんなん飛んだの見てから立てばいいので、しゃがみガード崩す手段は実質ないのです。

地上中段がない以上、このゲームの主なガード崩しは投げになります。ですがこの投げ、相手に白ゲージを与えてしまう(※)上に投げ後は距離が離れるので起き攻めができません。総じてハメられて一方的に圧殺という状況にはなりにくいと思います。

※白ゲージとは回復可能ダメージのこと。相手に触られないまま時間が経てば結構な速さで回復する。また白ゲージを消費して、行動キャンセル&ゲージ増加を兼ねた「コンバージョン」というつよつよ行動が出せるので、できれば与えたくない。MPスキルを当てると白ゲージを消せるので、コンボはMPスキルで締めたい。

くノ一やレンジャーは表裏の攻めで相手のガードを揺さぶることができますが、これもガードボタンを押すだけで無効化できます。

また相手にずっとガードを強いることでガードクラッシュを狙うこともできます。ただこのガード値削りもかなり難しく、件の車輪を2・3回ガードさせてもまだ削りきれないくらいです。
MPスキルをふんだんに使えば苛烈な攻めで相手に長時間のガードを強いることもできますが、MPスキルもMP消費の関係でそうそう使いまくれるわけではないので、ガークラも簡単な選択肢ではないです。

※一応ジャンプ即コンバージョンを利用した高速中段も発見されていますが、ガードでもジャンプキャンセルが効く技がない・全キャラ下MS擦りで切り返せる・使用には白ゲージが必要など、猛威を振るうって感じにはならなさそう?

・わりと堅実な対戦バランス

総じて見た目の派手さのわりに、かなりジリジリとした試合展開になることが多かったです。βテストにトレーニングモードがなかったので当然の話ですが、1コンボがそこまで減らないというのも大きかったと思います。

体力が減らないとMPの最大値が増えないため、最初っから超強い必殺技をバンバン撃ちまくるということもできません。プレイした感じでは、傍から見るほど大味な対戦にはならず、読み合いや簡単操作による軽快なアクションなど、格闘ゲームの醍醐味を十分に味わえる作品だと思います。


4.おわりに

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「蓋を開けてみれば超おもろいゲームだった」というのが正直な感想です。
PVの編集がちぐはぐだったり、βテストの前日にようやくゲームシステムが公開されたり、そもそも公式サイトが無かったり、とかなり独特なムーブをかましていた本作でしたが、このβテストでかなりの不安が払拭されました

最初こそ昨今のお行儀の良い格ゲーの枠をぶっ飛び超えたスゴ技の数々にキャイキャイしてましたが、先述した崩しの少なさや、手堅く調整されているMPシステムなど、本作独自のプレイ感というものがわかっていくに連れ、独自の楽しさを味わえるようにもなりました

あとはやはり必殺技コマンド廃止はかなり大きいと思います。初心者も入りやすく、また僕ら経験者としても簡単に色んなキャラを使ってみることができました。

『DNF Duel』は2022年夏発売とのことです。まだまだキャラも増えるようですが、できればこの尖った技調整のまま突っ走ってもらいたいですね。開発がアークとエイティングなのでそこらへんの心配はありませんが、製品版でも激しいバトルが繰り広げられるのを期待しています。あと永パとネット対戦のエラー落ちもちゃんとなくしてね。

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みんな大好きロールバック方式のネットコードによりネット対戦も(ちゃんと始まりさえすれば)快適そのもの。ボリューム層であろう中韓勢とも対戦しやすいのはかなりのアドだと思います。


それではここまで読んでいただき、ありがとうございました。

(森本市夫)

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