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シネマフリーク

 昔、シネマフリークという言葉があった。

 映画マニアという意味だった。

 浪人時代、僕はシネマフリークだった。

 日中は駅ビルの中の書店でバイトをし、夜はバンドの練習か映画鑑賞をして忙しい日々を送っていた。

 週末には、文芸坐や並木座のオールナイト上映で一晩に3〜4本の映画を観る事もあった。

 また、京橋のフィルムセンターでは古い名作映画が格安で見られた。溝口や黒澤、トリュフォー、ゴダールの映画を系列的に観ることができた。

 当時は、年間で300本位は映画を観ていただろう。

 大学に入ってからはそんなに多くの映画を観る時間は無くなったが、今度は映画を上映する側になった。フィルムクラブの部員になったのだ。

 名作映画ばかりを上映するクラブに嫌気がさし、自分がお気に入りの映画を上映した。ICUの学生が知らないであろう、日活ロマンポルノやポーランドやソ連の映画だった。

 ヴィム・ヴェンダースやアキ・カウリスマキの映画が配信で見放題の現代には考えられないだろうが、僅か50年前の世界にはPCも無かったのだから。

 因みに、freak という言葉は、奇人、変人という意味だが、オタク、マニアという意味もある。

 そういえば、大学の先輩に今野雄二という映画評論家がいた。彼は後に自死してしまう。ICUという大学は時に個性的な著名人を輩出する大学。 

 

  

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