15Rパンチパーマネントウェイブ
髪が伸びたので、髪を切った。
ついでにパーマをあてた。
今回はパンチパーマ(6mm)にした。
過去に
①パンチパーマ9mm
②パンチパーマ6mm
③パンチパーマ3mm
をあてたことがあるが、3mmは所要時間が3時間以上かかるので、6mmにした。
パンチパーマをあてる時の楽しみにしているのが、あてる時の理容師のリアクションだ。
ちなみに、美容師はアイロンこてを使用できないので、パンチパーマをあてたい人は理容院を選ぼう。
店の中堅と思しき長髪で割腹のよい30代後半くらいの理髪師の方が、尋ねる。
理 『今日は、どんな感じにしましょう?』
私 『パーマをお願いします。パンチパーマを6mmのバックで。』
しばしの間の後に、理髪師が聞き返す。
理 『だいぶ、イメージが変わってしまいますが。大丈夫ですか。』
私 『もう、何度もかけてまして。髪も痛んでないので大丈夫です。かけてください、6mm。』
理 『わかりました。』
私 『あと、サイドは耳から上10センチを刈り上げてください。』
こいつは、パンチパーマの常連だということを漸く理解した理髪師は、パーマネントの液をとりに行き、私の横でシェイクして、ねじり巻きにしたタオルとともに、均一にカットされた黒髪の上に、あの阿蘇の牧場で味わった濃厚なミルクのコクを加えたソフトクリームのように大胆にも几帳面に垂らし始めた。
パーマネント液が毛根にそして頭皮にそして、五臓六腑に染み渡るのを、まだ寒さの残る春の青空を眺めならが、あぁ、また汚されたと己の変わり果てた黒髪を対面鏡越しに眺めるしかできなかったのがパンチパーマ5回目の私、5度目の防衛戦であった。
パーマネント液をぬるま湯で洗い流すと、理髪師はヘアーアイロンを持ってきた。
3mmの倍ということで、太めのアイロンである。
過去の対戦相手のように、素肌でアイロンの熱さを試すことなく、黒髪にまとわりつかせた。
ジューと香ばしい匂いと白い湯気が立つ、戦いのゴングが鳴る。
次から次に、リングにカールが出来上がり、男だけの宴会で一度は嗅いだことのある匂い、あの毛が焼けるという匂いが充満する。
するとどうだろうか、理容師はカール部分にフ~と息を吹きかけるではないか。
パンチパーマ(6mm)に離乳食を子供の口に運ぶ母親のようにフーフーしてくれている。
次々に冷やされる熱々のカールおじさん。
耳のそばあたりのカール部分のフーフーなんてのは、別のダメージだ。
後半に効いてくるであろう細かいフーフーを受けながら、何とかアイロンこてでの攻撃は終了した。
次のラウンドは、カール祭りとなっている頭上に冬場に売られるネット売りのみかんに使うようなネットを被った状態で、10分ほど放置される。
実はこの時間が、精神的に一番きつい時間なのである。私と同じくらいに入店したものは次々に帰っていき、新たなカット客が謎のネット男を横目で見つめてくるのである。
試練の10分間が終わると、いよいよ戦いはエンディングに向けて一気に加速する。
ネットを外されて、ドライヤーでブロウされて、盆栽のように成形される。
これで、試合終了だ。
すると、不意に理髪師が問うた。
『もみあげはどうしますか。』
細かいフーフーは受けながらも、終始試合を有利に進めていて【勝利】を確信していたため、上手く反応しきれなかった私は、
『普通でお願いします』
と答えてしまったのだ。
パンチ 6mm 耳上かりあげ10mm と歯切れよく言っておきながら、最後の最後に大きなミスをしてしまった。
散々、特殊な攻撃をしときながら、『普通で』である。
試合終了のゴングが無情にも鳴る。
それは、5度目の防衛を逃した合図でもあった。
思い返せば、細かいフーフーが効いたのか、それも分からない。
年齢的にもこれが最後の試合と決めていた。悔いはない。
『さぁ、お疲れ様でした。』
理髪師はどこか誇らしげだった。
これから、パンチパーマをかけたいと思っている方へ
①所要時間:約2時間(ロッドの太さが6mmの場合)
②価格:4300円~(店舗によって、異なります。)
③パンチパーマの種類
大きく分けると、バックとサイドわけがあります。
お勧めはバックですね。
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