WAIS4受けてきました。数値から見る得意と不得意、その解釈・対応

 どうも、夜沈です。みなさんはIQテスト受けたことありますか。なんだかんだ一度は聞いたことのある単語、IQすなわち知能指数。ネットではかなり多くの人が「これが解けたらIQ 180!!」みたいなテストを受けているのを観測できますね。私は児童養護施設に入ったタイミングや高校の時に病み散らかしたタイミングで心理テストをかなり受けていました。で、その中に知能テストがあったと。そして知能指数が高いと知らされるということがありました。でも、一度も結果を自分の目で見たことはなかったんですよね。児童養護施設時代のものはまだわかるけど、高校時代に受けたものはその時の主治医に「見せたるから、待っとき」と言われたきりで詳細を見たことがなかった。抑うつ状態で125くらいと知らされていたけれど、そういうものじゃないから!というのが本音でした。この手のテストって知能テストとは言われているものの、バランスを見るのが本来の目的で「ここが得意なのは○○に活かせるよ」とか「○○が弱いからこういう工夫をするとうまくいきそうだよ」というものに使われるものだからです。言ってしまえば全検査IQはおまけ。もちろん、各検査項目の内容から発達障害の診断のサポートに使うという目的もあります(これだけで判断することは稀ですが)。昨年最後の診察の日に主治医に過去の結果について教えてもらおうとしても、頑なに「見せられないことになっている」と言われて玉砕したので、自分で自費で受けてしまおう!となったわけですね。今回はその結果について心理士さんの解説、自分の解釈を含めて書いていこうと思います。

 はじめに、書くこと・書かないことを明らかにしようと思います。今回受けたのはWAIS4というテストで世界的に使われている知能テストの最新版です。この手のテストは試験内容を知ってしまうと結果にかなり影響が出てしまうので、一度受けたら最低でも1年、可能なら2−3年は空けた方が望ましいとされています。学習効果が働いてしまって結果が変わってしまいます。テストを受けることになった。それが医者・カウンセラー等の指示ならば余計なことはしないでありのままの状態で受けるようにしてください。結果が変わってしまうと自分に必要な支援や治療を受けるまでの時間が長くなることがあるので。そういったこともあるので具体的な検査内容は今回は控えます。「○○を測るためのテスト」あるいは「行列推理」など一般的な記述方法で話を進めていきます。また、これは私はあまり隠し事をしたくない質で、この文章も人に読ませるものということは理解してはいるのですが、自分のことをより深く理解して後で振り返るために書く側面が大きいので多くの個人的な話、数値の話をすることになると思われます。あらかじめご了承ください。


結果 こんな感じで講評がついてくると、とてもありがたい


 まずは数値上の値から。WAISは平均100、標準偏差(sd)は15になるように作られています。全検査IQ(FSIQ)は131。これが所謂IQで、パーセンタイルだと98です。大体50人に1人くらいの確率ですね。MENSAのボーダーくらいといえばわかりやすいでしょうか。高いけれどめちゃくちゃ高いわけではない、というのがわかると思います。ソシャゲのガチャの最高レアリティは1.5~1.6%くらいに設定されることが多いです。住む地域にもよりますが新宿など都会を歩いていれば、1日に1万人以上とすれ違うという予想もあるくらいです。そう考えてしまえば、200人以上は同程度かそれより上の値の人とすれ違っている、ということになりますね。全検査は高くて少し嬉しいくらいのものでしかないのでこれ以上深掘りはしません。
 次に言語理解(VCI)は141。これは言語を用いて情報を得たり、情報を伝える言語運用能力です。パーセンタイルは99.7。1000人に3人の水準ですね。流石にこれは高いと言って良いでしょう。昔から本を読むのが好きで文章を書くのも好きだったのが結果につながったのでしょうか。また、文章を読むこと、書くことについては自分で満足できる水準というのが高く、共通テストで現代文が97点だった後からも自身の読解力を疑い続けていました。最近も語彙を増やす本を読んでいた。基本を詰めれば高い結果が得られることが結果からわかりました。満足のいく結果です。
 3つ目は知覚推理(PRI)は135。これは主に視覚情報を使用して物事を論理的に判断したり、物と物の関係を捉える能力。また、断片を1つにまとめる能力を指します。パーセンタイルは99です。私が通っていた中学校は36人のクラスが3つだったので1位か2位くらいの水準ですね。特に行列推理に関しては満点だったそうなので、得意と言えると思います。
 4つ目はワーキングメモリ(WMI)、106。これはよく作業机の広さに喩えられる、作業をする際に使う短期的な記憶のことです。話を一言一句違わないようにメモするときになどに使う能力です。拡大解釈をすれば言語理解はほぼ長期記憶ともいえます。また、このテストでは聴覚を使うという特徴もあります。私は長期記憶に多くのリソースを割いているのかもしれません。パーセンタイルは66。平均よりやや上くらいです。
 最後に処理速度(PSI)、108。これは単純な仕事を早く正確に行う能力です。学校での授業中に黒板をノートに書き写す場面があったかと思います。そんな時に使われる能力です。私は少し変な解き方をしたので心理士さんからは多分もっと高いと言われています。詳細は後述します。パーセンタイルは70。中の上から上の下ですね。

 ここからは結果を受けた心理士さんからの言葉と私の解釈を書いていこうと思います。
 全体的に同世代の一般から見ると高い水準にあるものの、1番高い検査の値と低いものの差、これをディスクレパンシーと言います、が35と比較的大きい結果となりました。この差が大きいほど得意と不得意の差が大きいことにになるので、低い方がネックになりそこに生きづらさであったり困難を感じることが大きくなります。
 言語理解は長期記憶とも捉えることができると先でも述べました。経験を活かすことであったりは得意ですが、ワーキングメモリが低いので仕事を咄嗟に振られた時、特に単純なタスクや優先順位をその場で振り分けるのが苦手であると考えられそうです。私はよく「よくそんなことを覚えているよね」と友人から言われることが多いのですが、おそらく短期の記憶ではなく長期の記憶に入れるような聞き方をしているのだと思います。心理士さんにも、会話をしながら自分の世界に入っていて聞くことだけに集中するような聞き方ではないのではと指摘されました。確かに、聞くときは似た概念を使って説明できないかとか抽象化して似た場面は過去の自分に起こっていたかなどを考えることが多い印象があります。高校時代の授業のノートとかも綺麗に取るというよりは、乱雑な自分のアイデアや関連した事象について多くメモをしていた記憶があります。大学の授業でも比較文化論の講義でエスペラントという人工的言語についてのメモを書いていました。強固な記憶のために関連づけをすることが習慣になっていたのかもしれません。
 ワーキングメモリを鍛えるためには聞く時にメモをとる。それも正確に覚えるような一言一句正確にとるような機会を持つと良いとも教えてもらいました。翻訳の作業を伴わなければ英語のポッドキャストも有効だそうです。何も前提知識のない状態で1回目で聞き切る。予想をしないことが鍛える鍵になるそうです。
 また、ワーキングメモリの試験の中でも得意不得意が分かれました。得意だったものはその場で思いついた解き方がうまくハマりましたが、そうでないものはそもそも解法が思いつきませんでした。ワーキングメモリーが強い人はその場で柔軟に対応を変えられるようなので、そういう点でもワーキングメモリを強化したいなと感じました。
 処理速度が比較的低い点についても、自分としては納得のいく結果でした。というのも、単純な作業だと退屈に感じてしまうとその場で判断して単純作業の試験に記憶の能力を絡めるような解き方をしてしまったからです。そのことを話すと、想起するための時間がかかるから本来であればもっと高いスコアが出る可能性が高かったことを伝えられました。ここで柔軟に解き方を切り替えられなかったのもワーキングメモリと処理速度の低さから起因するものなのかもしれません。また、言語理解・知覚推理ともに高かったために、通常であれば単純なタスクとして片付けるところをより高度な仕事にしてしまうために疲れやすい可能性を指摘されました。接客などで十分すぎるほどの対応をしてしまうのではないかと質問された時に、「確かにそうかもしれないな」と思ったのを良く覚えています。
 私が今後能力を上げるためには言語理解、知覚推理を上げるというよりはワーキングメモリや処理速度を上げていく方が良いとの助言もいただきました。言語理解は十分すぎると。ほぼ天井を叩いているのでこれまで通りに活字に触れたり文章を書くことを続けると良いのだと思います。高度な文章で行うとより良いとも伝えられました。知覚推理はなかなか上がらないものらしいです。また、これも非常に高い水準であるために、上げる意識はしなくて良いとも言われました。

 また、WAIS4の後にAQ-J、ASRS、WURSという自閉症スペクトラム(ASD)と注意欠陥多動症(ADHD)を自己申告制の問診票のようなテストも受けました。結果としては成人後の問診票内でADHDにギリギリ該当する値が出て、それ以外は非該当でした。環境によってADHD的な特性が見える可能性が考えられるとのことでした。
 特に計画を立てて、その通りに実行することに苦手感が見られるそうです。私もその能力に関しては苦手意識が強かったので納得しました。IQから見られる通り能力が高いために、先延ばし→一気に終わらせるというパターンで成功体験を積んでしまった結果なのかなぁと個人的には思います。
 また、好きなことには集中してかつ継続できる一方で、苦手なこと、特にルーティンワーク的な作業、に関してはほとんどまたは全くできないという実感もあります。そこは修正した方が良いのかと意見を求めたところ、結局高い才能があるので好きなことや得意なことなど何かに特化して活動するのが私にはあっているとのことでした。計画をある程度意識することも大切なことではあるけれど、それを全てにしたり全体的にうまくしようとすると特化しているものがなだらかになってしまう可能性が高いとのことです。
 常に好きなことはやりながらも、苦手なことも少しやってモチベーションを保つのが良いやり方なのではないかと言われ、私としてもその方向でやっていきたいと感じました。状況次第で好きなことと苦手なことのバランスを調整できるようになるとより良いとも思いました。

 と、心理士さんとの会話はこんな感じだったと記憶しています。結果を受け取った時にはもちろん嬉しかったのですが、処理速度はもう少し高いかと思っていたのでその点だけは残念です。結果の詳細の話をする時に、行列推理に関しては満点だったことと(他の問題で時間切れで得点が低くなったらしい)、言語理解に関しては「文学や歴史、科学などの知識も豊富で、文系と理系の知識のバランスも取れています」の言葉はかなり嬉しかったのを覚えています。小学生低学年の時にダヴィンチの伝記を読んで万能人になりたいと思ったことがこの歳になって現れてきたのかと思うと感慨深いです。140オーバーのスコアは1つの検査項目についても見られることが少ないらしく心理士さんも驚いていました。

 総じて、今回のWAISを受けるという挑戦はして良かったと思いました。自分の能力のばらつきを数値として認識できるだけでなくて、その対応についても一緒に考えてもらえたので心理士さんには感謝しています。問題自体もとても面白いものが多かったので数年後か5が出るあたりにまた受けたいなと思いました。ワーキングメモリの値が増えていると嬉しいのですが……。ちなみにChat GPTでもこのようなテストはできません。気になったら受けてみましょう。

心理検査は専門の場所で受ける他にない




 正直結果を見るまであまり期待はしていなかったのですが、せっかくならメンサに入ってみようとウェブ申し込みをしました。書類を郵送で送って結果が出るまで約1ヶ月。新しいコミュニティに入れるのはワクワクします。

それでは、また。

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