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【内容一部公開】幅広い基礎知識を身につける――近刊『基礎からわかる物理化学<物質工学入門シリーズ>』

2024年8月下旬発行予定の新刊書籍、『基礎からわかる物理化学<物質工学入門シリーズ>』のご紹介です。
同書の一部を、発行に先駆けて公開します。



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はじめに

物理化学は、物質の構造、物性、反応を、物理学の視点で体系的に解明しようとする学問である。また、物理化学は、生体内の物質も含むあらゆる化合物を対象とするため、その基礎概念の習得は、理工学、生命科学、医学、および薬学といったさまざまな分野の学生、研究者、技術者にとって不可欠といえる。

本書は、大学・高専で物理化学をはじめて学ぶ学生を対象としており、90分×15回程度の授業の教科書として用いることを想定している。全12章からなるため、シラバスに応じて内容を適宜取捨選択し、1章を1~2回分の講義に割り当てて用いることができると思う。また、本書は薬学部における薬学教育モデル・コア・カリキュラムにおける物理化学の項目(C-1化学物質の物理化学的性質)にも準拠し、さらに、高専における物理化学の到達目標の三本柱、構造・物性、平衡、速度論をカバーしている。したがって、本書は、大学の理工系学部はもちろんのこと、広く、薬学部、医学部、生命科学系学部、および高専の教科書としても用いることができると考える。さらに本書は、研究者や技術者が必要に応じて学び直す際に、比較的短期間に通読して知識を整理する目的にも適した分量・内容であると思う。より詳細で豊富な記載を含む他書と併用しながら、本書を活用していただきたいと願う。

(後略)

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浜松医科大学 三浦康弘(共著)
東京工業高等専門学校 城石英伸(共著)
東京工業高等専門学校 井手智仁(共著)
東京理科大学 小野勇(共著)
神奈川工科大学 名誉教授 笹本忠(編集)
東京工業高等専門学校 名誉教授 高橋三男(編集)

図表をふんだんに使い、わかりやすい説明で書かれた入門書。幅広い項目をカバーしつつ、要点をおさえてコンパクトに解説しています。例題や演習問題には解答が設けられているので、計算の流れや考え方を理解しやすくなっています。とくに講義用の教科書として最適な一冊です。

【目次】
第1章 気体の性質
 1.1 状態方程式
 1.2 気体の分子運動論
 1.3 ボルツマン分布
 演習問題1

第2章 熱力学の基礎――熱と仕事
 2.1 系と外界
 2.2 熱力学第一法則
 2.3 状態関数と経路関数
 2.4 熱力学的過程
 2.5 エンタルピー
 2.6 熱容量
 2.7 化学反応とエンタルピー変化
 演習問題2

第3章 自発変化の方向
 3.1 エントロピー
 3.2 カルノーサイクル
 3.3 カルノーサイクルの効率
 3.4 クラウジウスの不等式と熱力学第二法則
 3.5 熱力学第三法則
 3.6 第一法則と第二法則の結合
 3.7 ヘルムホルツエネルギー
 3.8 ギブズエネルギー
 3.9 自発的な変化の方向
 3.10 共役反応
 演習問題3

第4章 化学平衡の原理
 4.1 可逆反応のギブズエネルギー
 4.2 ギブズエネルギーと平衡定数
 4.3 活量と平衡定数
 4.4 平衡定数と温度
 4.5 ルシャトリエの法則
 演習問題4

第5章 相平衡
 5.1 物質の状態
 5.2 相
 5.3 相転移
 5.4 1成分系の相平衡
 5.5 相律
 5.6 多形
 5.7 多成分系の平衡
 演習問題5

第6章 溶液の性質
 6.1 溶液の組成
 6.2 活量と活量係数
 6.3 固体の溶解度
 6.4 分配の法則
 6.5 溶液の束一的性質
 6.6 拡散
 6.7 電解質溶液
 演習問題6

第7章 電気化学
 7.1 金属電極と電子エネルギー
 7.2 分子中の電子のエネルギー
 7.3 電位の基準
 7.4 ネルンストの式
 7.5 基準電極
 7.6 電極を3本使う測定
 7.7 電極反応
 演習問題7

第8章 物質の変化
 8.1 反応速度論
 8.2 素反応と複合反応
 8.3 反応の次数
 8.4 反応速度と温度
 8.5 反応速度の理論
 8.6 さまざまな化学反応
 演習問題8

第9章 化学結合
 9.1 原子の構造
 9.2 電磁波の量子化
 9.3 水素原子の輝線スペクトルとボーアの原子模型
 9.4 ド・ブロイの物質波とシュレーディンガー方程式
 9.5 水素類似原子
 9.6 多電子原子の電子配置
 9.7 分子の中の電子
 9.8 分子軌道法
 演習問題9

第10章 分子間相互作用
 10.1 静電相互作用
 10.2 電荷-双極子相互作用
 10.3 双極子-双極子相互作用
 10.4 双極子-誘起双極子相互作用
 10.5 誘起双極子-誘起双極子相互作用
 10.6 電荷移動相互作用
 10.7 交換斥力
 10.8 ファンデルワールス力
 10.9 水素結合
 10.10 疎水性相互作用
 10.11 近似的な分子間ポテンシャル
 演習問題10

第11章 分子と電磁波

 11.1 分子の電気的性質と電磁波
 11.2 分子の磁気的性質と電磁波
 11.3 分子の光学的性質
 11.4 結晶構造と回折現象
 演習問題11

第12章 原子と放射線・核エネルギー

 12.1 同位体の安定性
 12.2 放射線
 12.3 半減期
 12.4 核エネルギーの利用
 演習問題12 

演習問題解答
参考文献
索引


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